ジュゴクとは、バリ島西部のジュンブラナ県に伝わる伝統的な竹筒ガムランの中でもっとも巨大な楽器のこと。
これに大小様々な竹製打楽器を加えたアンサンブルもジュゴクと呼ばれる。竹製打楽器の4つの音階は、東西南北の方位を意味し、それぞれに神が宿りその中心にシバ神があるらしい。この音楽は、深い森に覆われた村での通信手段として使われていたとも、寂しい夜に心をまぎらわすために打楽器を作ったのが始まりともいわれている。
だが、オランダ植民地時代には、楽器の竹が武器として使われることを恐れ、楽器の使用を禁止されて長い間演奏されることはなかったようだ。
竹の長さを変えて作られる4音階の打楽器の合奏には、重低音の音のうねりがあり、周囲との反響やこだまによって、独特の音楽空間が形成される。
観客は全員スタンディングで打ち鳴らされるリズムに乗ってダンス・ダンス。地面から沸き起こるような打楽器の音に酔いしれた夜だった。
バリ国際空港(ングラ・ライ)のあるデンパサールから約40km東にある一番大きな町はクルンクン。17世紀から300年に渡り、バリ島を支配したゲルゲル王朝の古都である。我々がバリで見る伝統芸能はこの町で完成されたのだ。
イスラムの力が強大になってきたジャワで、ヒンズー教のマジャパイト王朝は16世紀に衰退。その王子が数千人の部下を引き連れてバリに亡命し、クルンクンでゲルゲル王朝をつくった。現代のバリの宮廷演劇やワヤン・クリ(影絵芝居)、踊り、音楽、絵画などの様式は、当時の文化遺産によるものである。
残念ながら、19世紀半ばから50年に渡ってオランダ軍との戦争が続き、1908年、クルンクンはオランダ軍の攻撃で壊滅的なダメージを受け、当時の遺跡はほとんど残ってはいない。
クルンクンからさらに車で東に約30分、ロンボク島へのフェリーが発着する小さな港町がパタンバイ。カズさんの家族が住む町。フェリーの桟橋の両側には、バリ独特のカラフルカヌーであるジュクンが何隻も波に揺られていたり、砂浜に並べられていたりする。この港周辺がバリで人気のダイビング・スポット。ビーチには数件のコテージが並ぶ。ロンボク島へはフェリーが1日に6便出港しているらしい。多くの乗船客が乗り降りする。
昔ながらのバリの生活が残る東海岸で、漁村特有の素朴な雰囲気を持ちつづけているのがチャンディダサ。さらにその東、トゥガナンは、バリ島先住民族(バリアガ)が暮らす村。ダブルイカットと呼ばれる独特の織物や、アタ籠製品の産地としても有名だ。
日本で、めったに口にできないか、あるいはあっても1人前五千円から一万円という超高価な鍋に、アラ鍋がある。使われる魚はクエ。クエというのは、体長1m以上になるマハタ科の根魚で、日本では本州南部と九州にしかいないため、関東以北の人にとっては幻の魚だ。
小さめのクエは、中華料理で蒸し料理として超人気で、今回の旅行では、カズさんにクタの中華レストランに連れてってもらってこれを食した。食事中、ぼくは現地のダイビングガイドのダルマさんと、沈船ダイビング中に大きなクエを見たことを話あっていた。 了
追記
ネットで探したツアーで確保したホテルの部屋を放棄して、無理やり下田ダイバーズのダイビングツアーに途中乱入させていただきました。
そんなぼくを暖かく迎えてくださいました下田ダイバーズのカズさん、キャサリン美穂さん。そして、ツアーメンバーの林氏、バディのUMEちゃんには、ツアー中、大変お世話になりました。この場を借りて厚くお礼を申し上げます。またいつか、よろしく。
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