作家・水木洋子の脚本によるラジオドラマで一躍有名になった「北限の海女」。
このドラマは、昭和34年(1959年)11月27日の夜、NHKラジオ第一で放送されたものだ。そして、その年の芸術祭賞を受賞。
この脚本を読みたくてあちこちを探してみたのだが見つからない。そこであらすじだけでもとネットで探すと、
「都会から小袖を訪ねた女性(荒木道子)が、境遇が対照的な二人の海女(原泉、賀原夏子)に出会い、これからの自分の生き方を模索するという物語」
とある。
当時の海女の生活の様子が描かれているらしい。
水木洋子がドラマの取材のため小袖に来たのは50年も前の話だから、実際に出会った人々はもうかなり高齢になっていることになる。
小袖海岸あたりの岩手の海では、ウニやアワビ、海藻などが採れる。
同じ東北の青森や秋田の沿岸では、これらの海産物を漁船から箱めがねと鈎棒で採捕するのだが、複雑な海岸線の陸中では、高さ50m~200mにも及ぶ大規模な海食断崖が連続するため、波や流れも複雑で船での採取は無理だ。
このため、女性たちが潜って海産物を採捕することが行われてきた。
もちろん、漁船からの採捕はそれより沖合いの定常的な波の水域で行われていて、こちらは男性が担当している。
当地の海女さんたちは、上半身裸で素潜り漁をしていて「もぐり」と呼ばれていたようだ。
採捕した海産物は家庭内で消費されるほか、旧・南九戸郡久慈町などに持ち込んで売っていた(三・八まぢ市日)。
海女さんたちは、重い海産物をかついで、宇部村から久慈町まで10km以上に及ぶ三陸海岸沿いの険しい道を、市日が始まる早朝までに着けるよう夜通し歩いて運んでいたという。この姿から「かつぎ」とも呼ばれていたらしい。
なんとも当時の生活の厳しさが伺われる話だ。
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