tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

14.あとがき

2006-11-30 20:35:35 | 日記

自らの死を選択した先達に対して、そこに至った背景を理解しようすることは、残された大抵の人間がやろうとすることである。ジャックは、「理解するなんて頼んでもいないこと、大きなお世話。」と言い捨てるかもしれない。しかし、この宇宙において、地球のような生命体が繁殖する星の存在確率は、さほど高くは無いと推測される。その中でも、高度な文明社会を形成している地球は奇跡の存在と言ってよい。すなわち、日常のささいな事でも、それは種々の奇跡の綾なすことであり、我々の毎日の生活は十分に意味のある貴重な時間を過ごしていると言ってよい。神は我々の中にいるのだ。だから、我々は生きようとする意志、生きる本能をわれ等自身に持っている。自殺者に対してその心情を理解しようとするのは、逆に生きるためにはどうすれば良いのか、その答えを見つけ出そうとするわれ等の生存本能によるものなのだ。
この地球では、10歳にも満たない年齢で戦場に駆り出されたり、生きたくても生きられない人間が多数いる。その一方で、自らの意思で死を選ぶ人間もいる。その数を考えると、人間としては自殺が必然性のあることかもしないと考えざるを得ない。
一つの仮説であるが、闘争本能が脳内の活性物質による作用なら、その分泌レベルによっては死の恐怖や心の痛みを和らげる機能もあるのだろう。すなわち、脳内活性物質の分泌濃度によっては、ある閾値よりも下のレベルでスイッチが入り、死の恐怖を失い、そして自らの死を選ぶ。特定の精神状態の状況下で、自らの重量が21グラムの軽減する結果、こうしたことが起こるのかもしれない。そして、これは人間の種だけが、太古より遺伝子レベルでプログラムされていることなのだろう。

ジャック、ぼくはさよならは言わない。
彼のメッセージは、我々の心の奥底で生き続ける。
彼は、最後に船出よりも陸路を選んだだけだ。ぼくは、オールを立てて彼を見送る。
Have a good trip. I promise to do my best for my life、 Jacques Mayol !!.


13.伝説の終わり

2006-11-29 20:19:08 | 日記

ジャックの訃報を聞いて、ぼくは真っ先に長年のダイビングによる肉体的・精神的なダメージの蓄積を疑った。死の淵を垣間見て、そこに身をさらすことは、精神に重大なダメージを与えることを前述した。だから、彼の心の奥深くまでダイブして、彼の死の真相を知りたいと思ったのだ。しかし、いろいろ資料を集めて調べて行く内に、彼は何事にも囚われない自由人であることに気が付いた。彼は愛する家族も捨てて、世界中を泳ぎまわっている。彼のライバルであったもう一人の伝説のダイバーであるエンゾ・マヨルカは、ジャックのように自由に生きることをやめて、家族を大切にし、海を守るために政治家にもなった。ジャックとエンゾは、選択した道こそ違うが、「海を守る」という同じ目的のため後年行動を起こしている。
「もし人間の思考と精神に、兄弟であるイルカのインスピレーションが少しでもあったら、傷ついてしまった我々共通の惑星地球は、かつてそうであったようにパラダイスに戻ることができるだろう・・・・・。」
晩年は白髪に、白い口ひげを蓄え人懐っこい笑顔。日焼けして深くしわが刻まれた顔に、グレーの目が印象的だった。彼の夢とともに彼の思い出はいつまでも我々の心に生き続ける。彼はまた、ぼくらの心の奥深くまでダイビングした人であった。
自然の叡知を学び、「今」を生きる。休暇で賑わうクリスマスの前日に、老け行く自分をはっきりと意識した自由人ジャックは、イルカと同様に群れからひっそり離れることを希望した。イルカとともにあった彼は、また海に帰って行っただけなのかもしれない。どこかの海のブルーから群青へのグラディエーションのなかで、元気の泳ぎ回ることを夢見て。伝説はあっけなく幕を降ろしていく。現実とはそんなものなのだ。

Jacques、 I won’t say good bye. His message will forever be alive at the deep bottom part our hearts.
He just select his last trip not by sea、 but by land. I see off him with tossing the oars.
Have a good trip. I promise to do my best for my life、 Jacques Mayol.


12.宿命

2006-11-28 20:18:46 | 日記
海の中での生存は、思ったよりも難しい。小魚類を餌とするイルカ達の捕食法はさまざまなパターンがある。同種のイルカでも棲む海域によってエサとなる魚の生態が違うので、環境に合わせた方法で捕食している。しかし、個体よりも集団で捕食することが多い。群れで魚影の下に入り込み、魚を水面まで追い上げ取り囲んでしまい、その魚群の中に突進してパニックになった魚を捕る豪快な漁を行う。クジラやイルカの老衰により死亡した漂着死体がまったく観察されないのは、年老いた個体は群れに留まることができず、単独で行動せざるを得ないからだ。群集生活を送る野生動物がその群れを離れれば、それは直ぐに死を意味する。単独で取ることができる餌の量は知れているからである。また、外敵に襲われれば一個体ではひとたまりもない。いずれ、泳ぐ能力の衰えた年老いた個体は、ダルマザメなど天敵の餌食とならざるを得ない運命なのだ。
また、座礁個体の内の約1/3には、尾ビレが千切れて無くなっているものがある。以前は、サメによるものと考えられていたが、定置網に掛かった個体の尾を漁師が切り落としているのが事実のようだ。また、定置網以外の場合でもイルカを捕獲した場合は、漁のジャマをされないように尾を切り落とすらしい。泳ぐ能力の低下した個体を1/3ほど持つ群れ。こうした群れが外敵に襲われれば、必然的に集団で浅瀬に逃げ込まざるを得ないのかもしれない。ジャックの主張は、この点に関しても人間が自然の動物に手出しをするなという警告を込めてのことである。

11.イルカは自殺しない

2006-11-27 20:40:31 | 日記
イルカが自殺することはない。日本近海で2000年以降急増している小型鯨類の集団座礁や大型鯨類の座礁(ライブ・ストランディング)に対して、個体に感染した伝染病が群れに蔓延することを防ぐため、あるいは自ら個体数を調節して集団自殺するとする説がある。しかしながら、イルカや鯨類はかなり臆病であり、サメや大きな音などに驚いて浅瀬や湾、港の中に入り込むことはよくあることらしい。また、最近、米軍が認めた潜水艦や船のソナーによるイルカ達の聴覚及び脳への傷害が彼等の座礁につながっていることが明らかになってきた。米カリフォルニア沿岸だけでなく、世界中にその危険があり、座礁の主要因となっている可能性がある。少なくとも、ジャックはイルカが自殺しないことがわかっていた。なぜなら、臆病なイルカ達がまったく未知の浅瀬にわざわざ泳いで座礁するよりも、深海に潜って呼吸の限界近くで浮上してブラックアウトした方がより楽に死ねることを身をもって学んでいたからである。
ジャックが無くなる数年前のこと。唐津湾に三頭の小さなクジラが迷い込んだことがある。唐津に来たジャックは、クジラを湾から保護しようする人々に向かって、「死ぬものなら、死なせろ!」と叫んだそうだ。
「クジラがいつ、助けてくれと言った?いいか。助けてくれと言ったわけでもないのに、助けようとすること自体がおこがましい。あのクジラたちは人間に助けてもらおうなんて夢にも思ってもいないのだよ」
結局、水族館に保護された二頭のクジラのうち一頭は死んでしまう。ジャックは、この時、イルカばかりでなく、特定のクジラにもそばで泳ぐことができるほど海の動物のふれあいに長けていたらしい。そんな彼が、あえて迷い込んだクジラを放っておけと主張したのは、彼等は必要があれば自分の意思で浅瀬から出て行くことができることを知っていたからであろう。また、浅瀬に迷い込んだのは、身体の変調が原因であり、浅瀬から出て行ったところでダルマザメ(クッキーカッターシャーク)に襲われ長くは生きられないことを知っているからだ。どうせ、生きられないのなら彼等の好きにさせれば良い。彼はそう考えての発言と考えられる。

ダイニングテーブル(2)

2006-11-26 16:07:28 | 日記

のみの痕をできるだけ生かすデザインを予定していたでやんすが、あまりにも表面が粗すぎやしたので、今日はカンナ掛け。
あっしが持っているカンナは、ドイツ製の奴でやんす。えー、大工の風上にも置けない奴って?勘弁してください。これ、ほんとに優れものなんすよ。ほとんど、調整が入りやせん。押して削るんでやんすが、もう、薄い紙みたいな鉋屑が簡単に出てくるんでやんす。

本日活躍した道具達でやんす。

WOODEN BLOCK PLANE
アジャスタブルブロックプレーン。ドイツ製でやんすが、和鉋の面倒な調整は必要ありません。はい。これはE.C.E社のものでやんす。

砥石
使い終わったら毎日カンナの刃を研ぐでやんす。刃の付け角度は、アタッチメントを使って一定にするでやんす。