ナース達は日3度、勤務班が交代する。日勤と夜勤、休日を組み合わせて、だいたい2日おきにシフトするサイクルのようだ。廊下を挟んで東側と西側の病室でナースのチームが異なり、急性患者がいる東側では経験充分なナース達と若手の組み合わせが、亜急性患者が多くいる西側の病室は、冷静・沈着な中堅どころと若いナース達が担当している。また、ナースステーションに近い病室ほど、看護に手のかかる患者達が入室している。
男性の入院患者は、そのほとんどが”入院先の白衣の天使達にあこがれる”と言われても、少なくともぼくは否定はしない。ぼくは白衣の天使が、うら若き乙女だろうが、250ccの中型バイクを乗り回すバイク野郎だろうが、ヒマさえあれば声をかけまくっていた。
ナース達は本当に良き話し相手になってくれた。
そのバイク野郎のナース。女性入院患者にとって、若い男性ナースは人気のようである。彼が病室の担当になれば、その病室のあちこちのベッドの女性患者から話しかけられ、なかなか、女性の病室から脱出することができない。だから、女性のナースの場合よりも、相応に女性患者の心のケアに役立っているようだ。ただし、下の世話に関しては話は別で、この時ばかりは同性のナースの方が喜ばれるようである。
これは、男性の入院患者の場合も同じ。尿瓶の交換などをお願いする時などは、若いキャピキャピの女性ナースが来るとついつい言いそびれてしまうのだが、男性ナースの彼が来るとこの時とばかり気楽にお願いすることができる。
さて、前にも書いたが、手術の翌日に排尿のためナニの先に突っ込んだチューブを引き抜いてくれたのがM嬢。ショートカットのさらさらの髪の毛が似合う女性なのだが、チューブを引き抜く際に思わず痛いとうめいたぼくに
「痛いと言ったでしょう」
と一言で一蹴したのが彼女だ。
それ以来、ぼくは彼女に対して、一方的に絶大の信頼を寄せている。どういうめぐり合わせか、手術後の始めての入浴も彼女が面倒をみてくれた。入浴の際は、ひょっとして一緒に入るのかなとドキドキしていたのだが、全裸になった片足立ちのぼくをシャワーの前に連れて行ってくれただけ。
「何かあったらナースコールを押してね」
と言う言葉を残し、彼女はシャワー室から出て行った。