くもった車の窓の内側が、凍結してまだらなドット模様になっている。
仮眠を取った奥日光赤沼の駐車場。夜明けの気温はマイナス6℃。
カメラの準備のため車のドアを開けると、林の向こうに動く影が見えた。
一匹の中型の野犬だった。
木立の中からこちらをうかがうように見ている。道路に出てくる気配はない。完全に野生化した動物の動きだ。
どういういきさつで、こんな山の中で野生化したのか想像もつかない。
だが、ともかく彼らはたくましく自分たちで餌となるシカなどを捕って食べているようだ。
赤沼から小田代が原へ。
雪明りのせいで、ハイクコースにつけられたトレースをたどるのはたやすい。
踏まれた後の雪は硬くしまっていて、でこぼこに足を取られがちなのだが、踏み抜くことはない。
山おろしの通り道なのだろうか。吹きっさらしの場所では、風にあおられて地表の雪が舞いおどる。
凍結した雪を踏み行くザクザクとした大きな音があたりに響く。
2匹の見事なシカだった。こちらの足音に驚いて逃げていく。
冬毛を通してお尻に白い毛が密集している。これが木立の中をぽんぽん跳ねるから目立つ。
きっと、身を隠すことのできない雪原では、この白いお尻が保護色となるのかもしれない。
もう、ツキノワグマは冬眠を終えた頃だろう。
山は春に向かって動いている。
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