生産量日本一を誇る三州瓦の中心的な産地として知られる愛知県高浜市。衣浦湾に面した一画に、日本で唯一の「かわら」をテーマにした美術館として1995年に開館した「かわら美術館」。公式HPによれば「日本の古代から近現代までの瓦はもちろん、外国の瓦類も展示。ハイビジョンシアターでは、瓦の歴史や生産工程の紹介も行なっています。」とあり、これは瓦好きならずとも興味をそそられます。
いぶし銀の鯱が美しい巨大な鯱一対にお出迎えされて館内に。チケット購入の際に手渡されたパンフレットに「常設展示では、鬼師(鬼瓦を作る職人)の技が光る手づくりの造形的な瓦、昔ながらの瓦造りから、現代の最先端の瓦造り、そしてエコで経済的で安心・安全な瓦の秘密まで、私たちが自慢したい三州瓦の魅力を、東アジアの瓦の歴史とともに紹介しています。」とあり、期待はさらに膨らむ一方(^▽^)/
展示室前で何故か『せんとくん』にバッタリ!。と思ったら、作者が同じな別物(^^;) 『籔内佐斗司氏』の作品は特徴がありすぎて、もはや何を見ても、どんなふうに名を変えていても関西人の私には、『せんとくん』にしか見えません(笑)
展示室入り口近くに「享保七歳 卯月吉日 いせ山田岩渕町 坂井善右衛門」と刻まれた鬼瓦。そうそう、この迫力。やっぱり鬼師の生み出す鬼瓦はどれほどの歳月を経ても、色あせる事はありません。
でも・・・展示室内は撮影禁止の為、画像はこれで終わり(^^;) 。まぁ美術館だから仕方ないのですが、それ以前に正直なところ期待はずれだった展示のあれこれ。私たちが見たかったのは学術的な内容ではなく、「三州瓦」を使って生み出された諸々の造形物。期待が大きかった分、外れたときの残念感は半端なく・・美術館と言う言葉は、本当に「ダテ」ではない!!と実感し、意気消沈のご亭主殿。
もっと多くの時間を費やす予定だった筈なのに・・と、所在なく窓の外を見ていた私の目に、ふっと飛び込んできた巨大な像・・あれは何だろう?このあと「鬼の道」の散策だから、時間が許せば寄ってみようか。
という事で早々に美術館見学を切り上げて、その前に・・・千石船のイメージでデザインされた「かわら美術館」にあわせて敷地内に作られた森前公園へ。海原にみたてた空間には、波や魚、さらには水神とされる龍などが置かれ、大人も子供もくつろげる空間となっています。
海原となる庭に敷き詰められたいぶし銀の瓦は、まるで波のうねりを思わせて輝き、そしてその海を支配するのは、いぶし銀に輝く巨大な龍。
子供たちは水辺に遊び、思いがけない生き物を見つけてはしゃぐ。大の大人も負けじと目を凝らし、水に潜む魚の影を探す。
龍や鬼面から伸びる瓦垣はまるで馬の背にも似て、きっと子供たちの格好の遊び場。大人たちは瓦垣の間に作られた段に座り、ゆっくりと子供たちが遊び疲れるのを待つのです。
さて、ひとしきり瓦の水辺を楽しんだ後は「新日本歩く道紀行100選、ふるさとの道」にも選ばれた4.5kの「鬼みち」ウォーク。どこまで歩けるかわかりませんが、郵便ポストの恵比須・大国さんに見送られてスタートです。
訪問日:2011年9月19日