原発で家と農業を追われた秋山豊著『原発難民日記』に心打たれ、怒り満ちた
「さようなら、阿武隈の美しい森よ-。記者、宇宙飛行士として活躍後、福島県内で有機農業を営んできた著者は、原発事故がおきて以来『難民』となった。本書は、郡山郊外のホテルへの一時避難、群馬県の友人農家宅への疎開、モスクワでの健康チェックなど漂流の日々を、怒りの炎に支えられて綴った日記である」。
秋山さんが宇宙飛行士であったことは知っていたが、「アキヤマファーム」を主宰し農業を営んでいたことを私は知らなかった。ま、私の場合には「無知蒙昧」(四文字熟語で、「知恵が浅く、愚かな事が『無知』。物事の道理が分からないことが『蒙昧』」、わざわざ書く必要もないのだが)故に、知らないことばかりだ。
それにしてもこの著書には結構厳しい言葉がずいぶんと使用されているが、読んでいての感想は、とても沈着冷静な感じを受けた。秋山さんのお人柄故であろうか。
同時に、1995年から開始した農業そして暮らしの場から追われた、その怒りはひしひしと伝わってくる。本書にも登場するが、「トイレのないマンション」を建設したその国民へのツケは余りに大きすぎる。怒りに震える。
こうした本を読んでいる今も、まだ東電・福島第一原発は事故ったままで、放射能は垂れ流されている。空気も土地も、そして海も、目には見えないが汚染され続けている。その恐怖に震える。
「400円の差はとても大きい」と、今日の「与勇輝展」の鑑賞を諦めた
今日所用があり、まちに出た。田舎に暮らすとなかなか街に出る機会がないので、その際にできるだけ所用やしたいことをするようにしている。
今日は、今タカシマヤで開催されている「与勇輝展」を観に行こうと会場に行った。入場料金は800円(前売りは600円)となっており、「高齢者割引」はなかった。
その入場券を買おうと思って、ふと横を見ると「カード会員でご入場(ゴールド会員はご招待券)」と書かれた紙が見えた。そのことは知らなかった。そして、タカシマヤカードは持ってはいるが、いつも持って歩いているわけではない。
私の暮らしからして400円の差は大きい。悩みに悩んで末、今日見るのを諦めて、会期は24日(火)までなので後日鑑賞こととした。
人間生きていると、いろんなことを判断することが求められる。下りのエレベーターに乗って、大きなため息が一つ出た。
俳優の入川保則さんは自分が最期を迎える病院を決め、葬式の準備も進めて逝った
「末期がんで余命宣告を受けながら延命治療を拒否し、昨年12月24日に直腸がんのため亡くなった俳優・入川保則さんの通夜が4日、神奈川・相模原市営斎場で営まれた。」。もうずいぶんと時間が流れているが、入川保則さんの逝き様に、共鳴している。
入川保則さんは自分が最期を迎える病院を決め、葬式の準備も進めて逝った。お通夜には自分で録音した挨拶が流された。
「病院にはひとつだけ条件を言ってある。絶対に苦しませないで逝かせてくれ。葬式も葬儀屋と段取りや料金を相談している。家族だけ10人ほどに集まってもらう。自分で読んだ般若心経と家族に残す言葉を録音しておいて流してもらう。録音はスタジオですよ。俺の人生は楽しかった。みんなも、それぞれに楽しんでくれ。そんな内容かな。葬式は30分で終わる。それから、酒でも飲みながら、故人は頭が悪かったとか、話題にしてもらえばいいよ」、と語っていたそうだ。それは、私の考えていることでもある。
今の世の中では、死をタブー視せず、生前から死と向き合う人が増える。私もその一人だ。「日本人の葬儀観」も、全体として変わってきているように思う。
私は葬儀社とまだやりとりはしていないが、家族葬の見積もりはしてもらっている。何しろ遺体を家族に車で運ばせられないので、そこは葬儀社にお願いしなければならない。輝いて生きて、静かに永久の旅立ちをしたい、今はそんな思いだ。