地底人の独り言

いつまでもみずみずしい感性を持ち続けて生きたいと願いつつ、日々の思いや暮らしを綴っていきます

芦川さんに惹かれる

2022年08月13日 | 読書


 芥川賞受賞作の高瀬隼子著『おいしいごはんが食べられますように』を読み終えた。面白かった。

 埼玉にある支店の二谷さんという男性と、芦川さん、押尾さんという二人の女性の三人のお話し。

 芦川さんが何ともいい。いつも静かで笑顔、同僚の男性に自身のペットボトルを一口飲まれても、笑顔で自分も飲むような女性。ただ、体調不良で午後から休暇とか研修などでは必ず当日ドタキャン、みんなが残業していても通常で帰る。ただ、芦川さんは料理が上手く、手作りのケーキなどを会社に持参し、おやつタイム等に全員に配る。

 そんな芦川さんと二谷さんは結ばれている仲たが、大学生時代はチアリーダーの押尾さんとは途中でセックスを中断したりもしたが、時々押尾さんと飲んだりしながら芦川さんの悪口を言い、「二人で、芦川さんにいたずらしましょう」と約束したり。

 この女性二人はとても魅力的に書かれているが、二谷さんはお腹がすかなければ何も食べないでいいのにと真剣に思い、一錠で三食分の栄養が補給できる錠剤が開発されることを考えながら、食事作りに時間を取られるのはもったいないといつもはカップ麺。

 芦川さんと土・日などは一緒に過ごしながら、職場で配られた芦川さんのケーキを食べないでゴミ箱に捨てたり、同じ職場の押尾さんとの時間も持っている。そんな二谷さんは少しだけ理解し難い。

 にしても、芥川賞審査員の山田詠美さんは、その選評で「私を含む多くの女性が天敵と恐れる『猛禽の滝波ユカリさん』登場!}と書き、松浦寿輝さんは「これはほとんど恐怖小説」と評している。ただ、私的には芦川さんには惹かれるものがある。やはり、男だからだろうか。

 ともあれ、高瀬隼子さんの別の作品を読んでみようと思う。そしてまた、滝波ユカリさんの漫画はまだ読んだことがないので、今度読んでみようと思う。

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