tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

総資本付加価値率

2009年02月25日 12時36分19秒 | 経営
総資本付加価値率
 最近、「総資本付加価値率」という財務比率が一部に注目されているようです。

 総資本営業利益率などの、総資本利益率、つまり、運用している総資本で、どれだけの、何パーセントの利益を上げたかという比率は従来から良く使われてきているものです。
 この「利益」(営業利益、経常利益、課税前利益、当期純利益などのいずれでも)を「総資本」で割った結果の比率は「運用総資本の収益率」、で100円の総資本が何円の利益を生み出しているかを見るものです。

 一方、総資本付加価値率は「付加価値」を「運用総資本」で割って、100円の運用総資本が何パーセントの付加価値を生み出しているか」を見ようということですから、「企業の目的は利益よりも付加価値」という立場からすれば、重要な指標ということになるでしょう。

 ところでこれを別の面から見てみますと、「総資本付加価値率」は「総資本付加価値生産性」と同じものなのです。このブログでも資本生産性 については、「付加価値額/総資本」という形、つまり「100円の投下資本が何円の付加価値を生み出したか」という形で(総資本付加価値率では何パーセントという表示になります)、付加価値分析の手法の中で触れています。、この「総資産」を「有形固定資産」に置き換えたものは設備生産性としてよく使われます。

 総資産付加価値率の場合は、工場・店舗などの有形固定資産も、知的財産などの無形固定資産も、運転資金も、みんな込みこみで、どれだけ効率よく活用されたか、ということです。この比率のパーセントを円に置き換えれば、100円の総資産が、何円の付加価値を生み出したかという総資本生産性そのものになります。

 ハイテクの時代ですから資本生産性を有形固定資産だけでなく無形固定資本も入れて、計算するケースも増えていますが、運転資金も入れれば、トータルの資本効率がわかるということです。

 マクロの経済分析では、総資本付加価値率を逆さにして、総資本/付加価値(=C/Y)として、これを「資本係数」といっています。1円の付加価値(GDP or 国民所得)を生み出すのに、何円の資本を寝かせたかといいう指標です。

 いずれの比率でも、意味するものは共通で、少ない資本でより多くの生産を上げることを目指すものですから、概念としてより頭にピンとくるものを選べばいいということでしょう。
 因みに、 総資本生産性=付加価値率×総資本回転率 ということになります。各比率を分解して確かめてみてください。
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