tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

縮小均衡経済からの脱出:その5 経済力低下と為替上昇のパラドックスを考える

2010年02月25日 11時38分20秒 | 経済
縮小均衡経済からの脱出:その5 経済力低下と為替上昇のパラドックスを考える

 縮小均衡経済からの脱出:1~4までで明らかになってきたことは、失われた10年以降の日本経済の中での経済主体(消費者、企業など)の行動は、先行きの困難を見越して、貯蓄を増やしリスクに備えることが中心になっているらしいという事でした。

 縮小均衡経済からの脱出:1の最後の3行には、「不安が不安を呼んで、さらに消費を削って貯蓄に回す、消費が減れば一層不況になるという事で、結局は、経済活動の縮小過程です。将来のための貯蓄が、経済を縮小させ、将来の収入を減らす、さらに不安になって消費を切り詰める。今の日本はこんな縮小均衡経済のようです。」と書いてあります。

 こうして日本経済はジリ貧の様相を強め、経済的にも社会的にも世界のランキングを落とし、最近では日本経済の破綻を予言して、政府はデフォルト、ハイパーインフレ必至、もう日本株は買えない、などという意見まで日本国内では出ています。

 そうなっても、「円」はまだ円高でしょうか、多分「円」は暴落、金利暴騰という事になるのでしょうが、もちろんそんなことが一夜にして起きるわけではないでしょう。そのまえにIMFなどから種々の警告が為され、投機筋も不安に思い、そのプロセスで円安が進むはずです。
 円安が進めば、多分日本経済はそれだけで体力を回復するのではないでしょうか。現在でも日本産業の技術力は高く、問題はほとんどコスト高の一点に集中しているからです。

 今日本経済が閉塞状態なっている最大の原因は、「経済がジリ貧になりながら、円の価値は上がる」という、まともな経済学から見れば、まさにパラドックスと言うべき状態にあることでしょう。
 同時にこれは、政府の累積債務が世界のトップクラスの国の通貨の価値が常に切り上げを予想されるような状態にあるという点からもまさにパラドックスという表現も可能でしょう。

 最近マスコミに書かれるギリシャやポルトガル、一部の中東欧の国と違って、「円」は大変健全な通貨だと、国際的な金融マーケットでは認識されているのではないでしょうか。
 でも、本当に日本経済は健全なのでしょうか。