tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

蓄積社会に必要な金融の安定

2012年03月07日 10時40分02秒 | 経済
蓄積社会に必要な金融の安定
 ここ何回か書いてきたのは、日本人は真面目に貯蓄して、世界にまれな巨大個人金融資産を持つ蓄積社会を築いて来ました。そして、失われた20年と言われるような、成長しない経済に陥っても、未だ蓄積を続け、その成果で、社会の安定も、技術開発の原資も、超高齢化もある程度は支えつもりで頑張っています。

 ところがここにきて、金融がますます不安定になり、蓄積社会に種々の不具合が生じています。積み立てた基金で損失が多発。果てはAIJのような犯罪・・・・・。
 蓄積社会には金融の安定が最も大事なのに、なぜ、一番大事な時に、こんなことになってしまったのか。日本としては、巨大な蓄積を無駄にしないためにも、それを避けることは出来ないのか、という事です。

 国民が蓄積の運用に困っているのは、具体的に言えば、「良い金融商品がない」という事でしょう。確かに、普通預金から国債まで、確定利付き商品はあります。しかし、いずれも金利は殆どつかず、ペイオフの危険性はあります。国債暴落の危険性も言われますが、政府は国債は絶対安全ですとは言ってくれません。

 金融機関が薦めるのは、元本が目減りするものばかり、何とか、利回りが安定したものを探した結果がAIJだった、というのが現実に起きていることなのです。
「安定した利回りなど信じるのが馬鹿だ」と言われて反省したが後の祭り、といった所でしょうか。人気の高い、ブラジルボンドやグローバルソブリンでも多くの人はマイナスでしょう。金融機関が実績のピーク時に営業を強める結果でしょうか。皮肉なことです。

 野田総理が、「安定した社会保障で分厚い中間層を」などと言われるのを聞きましたが、社会保障で中間層が出来るでしょうか。社会保障の財源は消費税です。 結局自分で払って自分で貰うだけ、と解ってしまっています。
 もちろん、金利を引き下げ、ペイオフを導入し、年金積立に確定拠出(給付は不明という意味)を入れたのは自民党政府ですが、民主党になっても何も変わりません。

 せめて、ペイオフはやりません。預金は全額保証します。国債は満期まで持っていれば、必ず満額償還されます。国債暴落でご迷惑をかけるようなことは絶対ありません。ぐらい言って、国民を安心させたらどうでしょか。
 蓄積社会を安定させるには、まず金融の安定です。それが出来ないというのなら、次の「何故」、「なぜ出来ないか。これからが一番必要な時なのに」、を問わねばなりません。