変動相場制の不都合な点
前回、サミットで変動相場制についてのまともな論議をやってほしいと書きましたが、その理由も少し書いておきたいと思います。
学者や専門家の中にも、変動相場制は合理的だという考えもあります。理由は、世界には競争力の強い国も弱い国もあるが、通貨価値がマーケットで決まる変動相場制では、競争力の弱い国の通貨価値は下がり、競争力を回復するし、強すぎれば通貨高になって、競争力の国際的なバランスはマーケットによって、実現されるから、大変合理的なシステムだという説明です。
力のある国の通貨価値は上がりますから、通貨価値が高まることはその国が優れたパフォーマンスを上げている証拠の勲章だという見方もあります。
プラザ合意で日本が円高になった時 も、円高は日本の価値が上がったことで日本への勲章だから喜ぶべきだと言われた方も当初は大勢いました。
確かにそういわれればその通りですが、経済社会の進歩発展という立場から考えるとこれには決定的な欠点があります。
世界の国々は、それぞれにより豊かで快適な国づくりをしようと頑張っています。科学技術や、社会制度をより優れたものにして、良いモノやサービスをより安く提供し、しかも快適な生活環境を維持しようとしているわけです。
一方にはずっと遅れた国もあります。そうした国は、科学技術を学び、生産性を高め、良い社会制度を作って先進国に追いつこうと努力をしなければなりません。
こうした国の間で為替レートの調整が行われた場合、どうなるでしょか。
頑張り屋の国がいくら頑張って生産性を上げても、その分通貨高になって競争力は強くなりません。逆に頑張らない国ではは通貨安になって、そのままでも競争力が付きますから、特に頑張る必要は無くなります。
科学技術や経済社会のシステムを高度化して国民経済の生産性を上げるメリットは減少します。
戦後の通貨の動きを見ても、£1=1008円だった英国ポンドは今は155円、$1=360円だった米ドルは今は106円です。
結果的に先進国が、生産性を上げずに、競争力を維持するために役に立ったのが変動相場制です。
近年、日本も$1=80円を120円に切り下げて、アベノミクス大成功と言っていますが、イギリスやアメリカの通った道に一歩踏み込んだということでしょう。
そんなに頑張らなくても、為替レートが調整してくれるからいいよ、というのが変動相場制の意義で、頑張り屋には損で怠け者に得なシステムということになるのです。
さらに今日の変動相場制には、もう一つの大きな問題があります。それは、為替レートは本当に正常なマーケットによって決まるのかという問題です。
アメリカが今回、日本、ドイツ、中国などの5か国を、為替政策のよう監視国に入れたことに見られますように、為替マーケットへの影響力は基軸通貨国が決定的に有利でしょう。
そして、為替マーケットのメインプレーヤーである国際投機資本は、ほとんどアメリカ本拠のようです。
「マーケットは正しい」といっても信用する人は今では余りいないでしょう。
これでは、世界経済がうまく機能するのは至難です。今の人類には、これだけの知恵しかないのでしょうか。それでは情けないというのが前回の指摘の趣旨です。
前回、サミットで変動相場制についてのまともな論議をやってほしいと書きましたが、その理由も少し書いておきたいと思います。
学者や専門家の中にも、変動相場制は合理的だという考えもあります。理由は、世界には競争力の強い国も弱い国もあるが、通貨価値がマーケットで決まる変動相場制では、競争力の弱い国の通貨価値は下がり、競争力を回復するし、強すぎれば通貨高になって、競争力の国際的なバランスはマーケットによって、実現されるから、大変合理的なシステムだという説明です。
力のある国の通貨価値は上がりますから、通貨価値が高まることはその国が優れたパフォーマンスを上げている証拠の勲章だという見方もあります。
プラザ合意で日本が円高になった時 も、円高は日本の価値が上がったことで日本への勲章だから喜ぶべきだと言われた方も当初は大勢いました。
確かにそういわれればその通りですが、経済社会の進歩発展という立場から考えるとこれには決定的な欠点があります。
世界の国々は、それぞれにより豊かで快適な国づくりをしようと頑張っています。科学技術や、社会制度をより優れたものにして、良いモノやサービスをより安く提供し、しかも快適な生活環境を維持しようとしているわけです。
一方にはずっと遅れた国もあります。そうした国は、科学技術を学び、生産性を高め、良い社会制度を作って先進国に追いつこうと努力をしなければなりません。
こうした国の間で為替レートの調整が行われた場合、どうなるでしょか。
頑張り屋の国がいくら頑張って生産性を上げても、その分通貨高になって競争力は強くなりません。逆に頑張らない国ではは通貨安になって、そのままでも競争力が付きますから、特に頑張る必要は無くなります。
科学技術や経済社会のシステムを高度化して国民経済の生産性を上げるメリットは減少します。
戦後の通貨の動きを見ても、£1=1008円だった英国ポンドは今は155円、$1=360円だった米ドルは今は106円です。
結果的に先進国が、生産性を上げずに、競争力を維持するために役に立ったのが変動相場制です。
近年、日本も$1=80円を120円に切り下げて、アベノミクス大成功と言っていますが、イギリスやアメリカの通った道に一歩踏み込んだということでしょう。
そんなに頑張らなくても、為替レートが調整してくれるからいいよ、というのが変動相場制の意義で、頑張り屋には損で怠け者に得なシステムということになるのです。
さらに今日の変動相場制には、もう一つの大きな問題があります。それは、為替レートは本当に正常なマーケットによって決まるのかという問題です。
アメリカが今回、日本、ドイツ、中国などの5か国を、為替政策のよう監視国に入れたことに見られますように、為替マーケットへの影響力は基軸通貨国が決定的に有利でしょう。
そして、為替マーケットのメインプレーヤーである国際投機資本は、ほとんどアメリカ本拠のようです。
「マーケットは正しい」といっても信用する人は今では余りいないでしょう。
これでは、世界経済がうまく機能するのは至難です。今の人類には、これだけの知恵しかないのでしょうか。それでは情けないというのが前回の指摘の趣旨です。