tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

電気の貯蔵技術を国家戦略に

2016年05月01日 09時52分22秒 | 科学技術
電気の貯蔵技術を国家戦略に
 今日から5月、浅緑から深緑、様々な緑に囲まれる時期です。 太陽エネルギーと葉緑素、生命を作り出す源の躍動、日本経済のエネルギーもあやかりたいところです。

 一国の産業活動の状況を一致指標で見たいと思ったら、電力の使用量が最も適切な指標と言われます。この場合、使用量といっても、通常は発電量を使っているのが現状ではないでしょうか。

 発電量と使用量が同じというのは、電気が貯蔵できないからです。電力会社は、常に電力使用量と同じだけ発電しなければなりません。まさに電気は、ジャスト・イン・タイムの典型でしょう。

 ですから電力会社は、最大使用量を予測して、最大使用量を供給できる生産設備を整えなければなりません。しかし最大使用量を記録することは滅多になくて、設備の稼働率はだいたい70~90パーセントです。

 ところで、もし電気が貯蔵できるのであれば、発電設備は平均使用量の相当する分だけでよいことになって、余った分は貯蔵しておいて、足りないときに使えばいいわけです。
 貯蔵できるものの典型はおカネで、おカネが出来て人間の生活は大変便利になり、さらに銀行のようなおカネの貯蔵機関が出来て、一層便利になりました。

 ならば、もし、電気の貯蔵が可能になれば、人間生活は随分便利になるでしょう。ということで、人間は電気の貯蔵を考えてきました。
 最初は揚水発電あたりで、電気エネルギーを位置のエネルギに変えて貯めておくといった単純なものでしたが、化学反応を利用して電気を貯蔵する性能の良い蓄電池が出来て、多様性が増しました。

 プラグインハイブリッドカーや電気自動車のバッテリーと家庭の電源をつなぐことも現実になっています。さらには、家庭用蓄電池も製品化され、ソーラー発電の電気を家単位で貯蔵して、電力会社から電気を買うのは非常時だけといった「スマートハウス」もあります。

 産業界用には、さらに大規模の蓄電設備が開発されていますし、燃料電池の登場で、電気を水素にして貯蔵するといったことも現実になっています。
 さらに進めれば、超電導利用で、究極の蓄電も研究されています。

 問題は蓄電のコストです。これが壁になって、現在の電力会社方式の電力供給が最も安いということになっているわけです。これも原発の後始末を考えれば、本当に安いかわからない、とも言われますが、差しあたっては安いのです。

 電気の需要はこれからもますます増えるでしょう。そして資源問題、環境問題も深刻化するでしょう。 そう考えると矢張りこれからの出番は電気の貯蔵を可能にする「蓄電」技術の進歩がますます大事ということになりそうです。

 この問題と今の日本経済の停滞状態を考え合わせますと、目標が決まれば必ず頑張る日本人です。「ペイする蓄電技術の開発」を国家目標に掲げて、突っ走るというのはどうでしょうか。

 考えてみれば、人類の活用できるエネルギーは、大部分が太陽が無償で提供してくれる太陽光、太陽熱が源泉です。石炭も石油も、川の流れも風も波も、太陽エネルギーが作り出したものです。
 この太陽の恩恵を、もっと巧く使いこなせるように人間の知恵を絞ることで、人類の生活も環境も、もっと便利で快適なものになるのではないでしょうか。

 人間がその知恵で自然に働きかけ、自然をより有効に活用できるように考え、より快適な生活環境を作るという思想は「 里山」と同じです。これは日本人が最も得意とするところではないでしょうか。