tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

APECを前に米中舌戦:残念なアメリカの現状

2018年11月18日 13時05分49秒 | 国際関係
APECを前に米中舌戦:残念なアメリカの現状
 パプアニューギニアでのAPECの首脳会議を前に、中国の習近平主席とトランプ米大統領の代理で出席するペンス副大統領の演説のニュースが入ってきました。

 この両方を拝見しますと、何か中国の習近平さんの演説の方が、世界を広くとらえ、自由で公正な経済圏を創るという理想論を堂々と主張しているように見えてしまいました。
 特にその中で、「保護主義、一国主義の古い道は世界経済の不確定性を増すもの」といった所を見れば、中國こそが正論を主張する国という印象を受けます。

 習近平さんのこの発言は、当然「アメリカ・ファースト」を掲げ、関税障壁で貿易赤字を防ごうという今のアメリカの姿勢への批判であり、そのまま受け取れば、アメリカは一国主義で自己中心、中国は開かれた経済を大事にし、国際秩序を尊重する国、という事になってしまします。

 もし、アメリカが、従来のように、自由貿易を中心に開かれた世界経済システムが世界の経済発展を進めるものだという主張をしていれば、中国は、上の様な発言で中国の経済政策の正当性を主張しても、今回の様な説得力はなかったでしょう。

 もともと中国については、南シナ海問題での(国際) 仲裁裁判所の「判断」を「紙屑」といって無視し続けたり、知的財産権については数々の問題を起したり、最近は、アジアやアフリカの新興国に過大な融資をして、財政破綻に陥らせたり、自国中心の行動が目立つところです。

 もし、アメリカが、従来の国連やWTO といった国際機関を大事にし、多国間の協定を中心の国際問題を解決しようという姿勢で進んでいれば、中国はアメリカの自国中心を批判することはなく、APECもアメリカの自国中心主義問題ではなく、世界第二の経済大国である中国の問題行動についての議論が重視されることになったのではないでしょうか。

 現実には、中国はまだまだ途上国の部分を多く残し、国際的に見れば、もっともっとお行儀のよい、国際協調重視の国になってもらわなければ困るという状況にあるのです。
 特に、中国経済の巨大さと急速な経済発展を考えれば、これは焦眉の急ともいえる問題でしょう。

 にも拘らず、アメリカがトランプさんのもと、突然に方向転換し、アメリカ自身が目指してきた戦後の世界の政治・経済体制に反するような態度を取り始めたため、中国に、アメリカを批判し、中国の行動を正当化するといった対応を可能にしたという事になるようです。

 どうも、世界の発展をリードしてきたアメリカの予期せぬ方向転換が、世界の正常な発展に歪みを生じることは明らかなようです。

 米中抗争に対し、第三者としての国々、特に主要国はどう対応するか、そしてアメリカ自身の良識(良心)が、何時いかに甦るか、事態が残念な方向に進むことを何とか避けたいのが地球人類の本音ではないでしょうか。