企業収益構造の変化と労働分配率:2
前回、問題提起をしたのは、企業の収益構造が、労使の協力の結果を示す「営業利益」より、海外投資による資本利得(利子配当など)や為替差益、支払金利の減少、法人減税などで当期純利益が増えるといった状況になっている中で、賃上げをどうすべきかという議論が明確になされていないのではないかという問題です。
企業活動の成果である「付加価値」を労使でどう配分するかは労働分配率という指標(総額人件費/付加価値の割合)で示されるのですが、これは、伝統的に、「付加価値は資本と労働が協力して生み出したものだから、労使で分け合う」という考え方からきているという事でしょう。
海外投資からの配当が増えたとか、為替差益が出たとか、支払金利が減ったなどで当期純利益が増えても、労働組合も、「我々が頑張ったから」とは言いにくいのかもしれませんし、経営サイドとしても、これは資本が稼いだもので、労働は関係していないと考える可能性もあるでしょう。
という事で、この問題にどう対応したらという事になるのですが、これは付加価値分配の基本問題です。伝統的にこの問題には大きく2つの理論(哲学?)があるようです。
① 付加価値は、労使(資)の貢献度に従って分配すべきである
② 付加価値は、企業目標の実現に適した分配をすべきである
伝統的には、①の貢献度による分配という考え方が強かったと思われます。賃金などでも貢献度による配分が基本という考え方から来るのでしょうか。
そのために、生産関数などで、資本と労働の貢献度を計測して参考にするといった事とも行われたりしました。
しかし、近年は次第に考え方が変わってきたようです。それは、企業は(国民経済でも同様)常に成長発展して、社会を「より豊かで快適なものにする」という社会的責任(CSR)を持つという考え方から来るもので、付加価値の配分もその実現に最も適したものでなければならないという考え方でしょう。
社会をより豊かで快適にするためには、技術開発が大事で、技術開発投資が巨大になるという時代ですが、その目的は開発の成果が人々に活用されなければならず、そのための購買力は企業の支払う人件費(賃金)に支えられるということになります。
それを具体的にしていくのは、企業にとっては、労使の合意のもとに策定される「経営計画」でしょう。
国民経済では、経済成長目標を実現するために最適な投資、消費、その調整役である社会保障制度、などのバランスよい 国民所得(純付加価値)の配分という事になるのでしょう。
その実現のためには、企業では労使の合意と協力、一国経済では、国民の総意を確り汲み上げる経済成長政策、それを支える財政金融政策ということになるのではないでしょうか。
従業員と朋に企業の将来像を考える、国民とともに、国の将来像を考えるといったことが確り行われて、その具体化である 経営計画 、経済成長計画の中で割り出された付加価値の分配が、あるべき付加価値分配の姿という事ではないでしょうか。
そのためには、まず労使の対話、国民と政府の対話そして合意が確り行われることが必須になってきます。それが出来る企業が発展し、それが出来る国が成長するという事でしょうか。
前回、問題提起をしたのは、企業の収益構造が、労使の協力の結果を示す「営業利益」より、海外投資による資本利得(利子配当など)や為替差益、支払金利の減少、法人減税などで当期純利益が増えるといった状況になっている中で、賃上げをどうすべきかという議論が明確になされていないのではないかという問題です。
企業活動の成果である「付加価値」を労使でどう配分するかは労働分配率という指標(総額人件費/付加価値の割合)で示されるのですが、これは、伝統的に、「付加価値は資本と労働が協力して生み出したものだから、労使で分け合う」という考え方からきているという事でしょう。
海外投資からの配当が増えたとか、為替差益が出たとか、支払金利が減ったなどで当期純利益が増えても、労働組合も、「我々が頑張ったから」とは言いにくいのかもしれませんし、経営サイドとしても、これは資本が稼いだもので、労働は関係していないと考える可能性もあるでしょう。
という事で、この問題にどう対応したらという事になるのですが、これは付加価値分配の基本問題です。伝統的にこの問題には大きく2つの理論(哲学?)があるようです。
① 付加価値は、労使(資)の貢献度に従って分配すべきである
② 付加価値は、企業目標の実現に適した分配をすべきである
伝統的には、①の貢献度による分配という考え方が強かったと思われます。賃金などでも貢献度による配分が基本という考え方から来るのでしょうか。
そのために、生産関数などで、資本と労働の貢献度を計測して参考にするといった事とも行われたりしました。
しかし、近年は次第に考え方が変わってきたようです。それは、企業は(国民経済でも同様)常に成長発展して、社会を「より豊かで快適なものにする」という社会的責任(CSR)を持つという考え方から来るもので、付加価値の配分もその実現に最も適したものでなければならないという考え方でしょう。
社会をより豊かで快適にするためには、技術開発が大事で、技術開発投資が巨大になるという時代ですが、その目的は開発の成果が人々に活用されなければならず、そのための購買力は企業の支払う人件費(賃金)に支えられるということになります。
それを具体的にしていくのは、企業にとっては、労使の合意のもとに策定される「経営計画」でしょう。
国民経済では、経済成長目標を実現するために最適な投資、消費、その調整役である社会保障制度、などのバランスよい 国民所得(純付加価値)の配分という事になるのでしょう。
その実現のためには、企業では労使の合意と協力、一国経済では、国民の総意を確り汲み上げる経済成長政策、それを支える財政金融政策ということになるのではないでしょうか。
従業員と朋に企業の将来像を考える、国民とともに、国の将来像を考えるといったことが確り行われて、その具体化である 経営計画 、経済成長計画の中で割り出された付加価値の分配が、あるべき付加価値分配の姿という事ではないでしょうか。
そのためには、まず労使の対話、国民と政府の対話そして合意が確り行われることが必須になってきます。それが出来る企業が発展し、それが出来る国が成長するという事でしょうか。