tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2020年5月「家計調査」:消費の落ち込みは異常事態

2020年07月07日 22時19分49秒 | 経済
2020年5月「家計調査」:消費の落ち込みは異常事態
 今日、総務省から5月分の家計調査が発表になりました。新型コロナ下の家計は、まさに異常事態で、stay home が齎した消費の急落が歴然です。

 同時に発表された毎月勤労統計では全産業全規模の平均で所定内給与は前年比0.2%増えました(賃上げはあった)が、現金給与総額はマイナス2.1%(残業減)です。
 給与の落ち込みはこの程度ですが、消費の落ち込みは深刻です。

 何時ものように、2人以上所帯全体と2人以上勤労者所帯について見ます。
 全所帯は収入の統計はないので消費支出だけですが、新型コロナが言われ始めた2月から対前年同月比で2月マイナス0.3%、3月マイナス6.0%、4月マイナス11.1%、そして5月は16.2%です。

 外出しないので、減っているのは被服、交通(旅行など)、教育、教養娯楽などで、軒並み30~40%台のマイナスです。増えているのは、家具家事用品の2.9%のみ。

 収入と支出が調査されている勤労者所帯では、収入は増えていて、前年同月比9.8%増、ただし世帯主の定期収入は僅か0.1%の増。増えているのは配偶者の収入で、14.3%増です。

 この辺りの特殊事情は、統計の数字だけではわかりませんが(少し怪しいかも?)、結果的に家計としての可処分所得(手取り収入)は、13.4%増になっています。
 しかし、消費支出の方は15.5%のマイナスで、結果的に「平均消費性向」は、73.3%と前年同月が98.3%でしたから、差し引きマイナス25.0%ポイントとまさに異常な大幅の低下という事になってしまっています。

 これは、従来の、将来不安に備えた貯蓄性向の高まりによるというより、政府の要請で家に蟄居しているのですから、外食、飲み会、旅行、スポーツ(含観戦)などすべて自粛で、お金を使いたくても使えないという事情によるものですから、このブログで従来から指摘している、将来不安や老後不安から来るのとは別ですが、原因は違っても、消費支出が減るという事の経済的な帰結は同じで、経済の急激な落ち込みとなります。

 今度四半期別GDP統計が出るときにはその辺りの関係がはっきりと見られるでしょう。
消費支出はGDPの最大の構成項目ですから、影響は当然大きいわけです。

ところで、5月では、まだ1人当たり10万円の補助金はほとんど出ていないでしょうから、それが出た段階ではまた統計がどう変化するか、よく見ておく必要がありそうです。

 緊急事態が徐々に解除されたことで、消費支出もこの辺りを底に回復してくれますと経済の落ち込みも軽くなるのですが、この所のコロナ第二波論議がどうなっていくのか、大変気になるところです。

 いずれにしても、秋になるまで、諸費支出の動きからは目が離せない状況が続くのでしょう。
 これからもきちんと追っていくつもりですので、お付き合いいただければ幸甚です。