就職氷河期世代の支援に思う
新型コロナのニュースに隠れてしまっているきらいはありますが、政府が就職氷河期の世代の支援に2億3000万円の支出を決めたというニュースがありました。
就職氷河期そのものが、ここ数年求人倍率の高止まりの中で忘れられかけていたかもしれませんが、この問題は、今後の日本の雇用政策を考えるうえでも、十分認識しておかなければならない問題のように思います。
就職氷河期とは、1992~3年から始まり2004~5年まで続いた 学卒就職希望者の受難の時期で、リーマンショックで再発、2013年まで続いています。
事の起こりは1985年のプラザ合意にさかのぼります。ニューヨークのプラザホテルで開かれたG5で、当時世界に誇る国際競争力を持っていた日本は円高を要求され、気軽にOKしました。
結果、$1=¥240が2年後には$1=¥120になり、平成長期円高不況の原因を作ったのです。
バブル景気は1991年で終わり、92年から日本経済は暗転、長期不況を恐れた企業は新卒採用を急激に絞り、就職氷河期は始まりました。そしてリーマンショック(2008年)の直前3年ほど氷河期も解消かといわれましたが、リーマンショックで一層深刻となり、円安が実現し日本経済が正常化する2013年まで続きました。
偶々この就職氷河期に卒業した方たちは正社員として就職できない場合が多く、社会人としての第一歩を安定雇用という形で踏み出せなかったという不運に見舞われたのです。
こんなことが起きたのも、日本政府が安易に円高を承認したという経済外交政策上の大失敗のせいですが、就職氷河期世代というのは、まさにその失敗の犠牲者だったという事でしょう。
2013~4年、円レートが$1=¥80から120円に戻って、就職氷河期は解消、有効求人倍率は上がり、新規学卒は売り手市場となりました。
しかし当時失業か非正規での就職だった方々のその後の苦難は続き、この所、80・50問題など種々社会問題も起きていました。
こうした、平成超円高不況の犠牲者とも言うべき就職氷河期世代への支援策が講じられるのは、遅きに失したとはいえ、大変大事なことといえましょう。
余談になりますが、中国はアメリカから人民元切り上げを要求された時、はっきりと拒否しています。彼らは日本の失敗の経験に学んでいました。
短期の不況は戦後の日本でも何度もありました、不況が短期であれば、企業は長期戦略の中で採用計画を立てますから、あまり問題は起きません。
しかし、平成不況のような長期不況には、採用削減しか対策はありません。
その意味では、不況があまりに長期化するような政策の失敗は、徹底して避けるような政策が、経済だけでなく、社会の安定のためにも必要なのでしょう。
現在の新型コロナ問題は、一部に、採用削減の動きはあるものの、長期的視点を持つ企業は安定した採用計画を維持しようとしているようです。
その意味では、新型コロナによる景気の落ち込みを、どうすれば最も短くすることが出来るかという問題を、政府は企業・労働組合とともに、よくよく相談して、禍根を残さないよう知恵を絞る必要があるように思う所です。
新型コロナのニュースに隠れてしまっているきらいはありますが、政府が就職氷河期の世代の支援に2億3000万円の支出を決めたというニュースがありました。
就職氷河期そのものが、ここ数年求人倍率の高止まりの中で忘れられかけていたかもしれませんが、この問題は、今後の日本の雇用政策を考えるうえでも、十分認識しておかなければならない問題のように思います。
就職氷河期とは、1992~3年から始まり2004~5年まで続いた 学卒就職希望者の受難の時期で、リーマンショックで再発、2013年まで続いています。
事の起こりは1985年のプラザ合意にさかのぼります。ニューヨークのプラザホテルで開かれたG5で、当時世界に誇る国際競争力を持っていた日本は円高を要求され、気軽にOKしました。
結果、$1=¥240が2年後には$1=¥120になり、平成長期円高不況の原因を作ったのです。
バブル景気は1991年で終わり、92年から日本経済は暗転、長期不況を恐れた企業は新卒採用を急激に絞り、就職氷河期は始まりました。そしてリーマンショック(2008年)の直前3年ほど氷河期も解消かといわれましたが、リーマンショックで一層深刻となり、円安が実現し日本経済が正常化する2013年まで続きました。
偶々この就職氷河期に卒業した方たちは正社員として就職できない場合が多く、社会人としての第一歩を安定雇用という形で踏み出せなかったという不運に見舞われたのです。
こんなことが起きたのも、日本政府が安易に円高を承認したという経済外交政策上の大失敗のせいですが、就職氷河期世代というのは、まさにその失敗の犠牲者だったという事でしょう。
2013~4年、円レートが$1=¥80から120円に戻って、就職氷河期は解消、有効求人倍率は上がり、新規学卒は売り手市場となりました。
しかし当時失業か非正規での就職だった方々のその後の苦難は続き、この所、80・50問題など種々社会問題も起きていました。
こうした、平成超円高不況の犠牲者とも言うべき就職氷河期世代への支援策が講じられるのは、遅きに失したとはいえ、大変大事なことといえましょう。
余談になりますが、中国はアメリカから人民元切り上げを要求された時、はっきりと拒否しています。彼らは日本の失敗の経験に学んでいました。
短期の不況は戦後の日本でも何度もありました、不況が短期であれば、企業は長期戦略の中で採用計画を立てますから、あまり問題は起きません。
しかし、平成不況のような長期不況には、採用削減しか対策はありません。
その意味では、不況があまりに長期化するような政策の失敗は、徹底して避けるような政策が、経済だけでなく、社会の安定のためにも必要なのでしょう。
現在の新型コロナ問題は、一部に、採用削減の動きはあるものの、長期的視点を持つ企業は安定した採用計画を維持しようとしているようです。
その意味では、新型コロナによる景気の落ち込みを、どうすれば最も短くすることが出来るかという問題を、政府は企業・労働組合とともに、よくよく相談して、禍根を残さないよう知恵を絞る必要があるように思う所です。