家計調査:平均消費性向に変化の兆し?
今月8日、総務省から2020年11月分の家計調査が発表されました。
10月までは、昨年の消費税引き上げの影響という不規則要因がありましたが、11月からはほぼ平常の動きになるかなと思っていましたが、何か変化の兆しのようなものが感じられるので、報告しておきたいと思います。
前月グラフでお示ししましたように昨年10月、コロナの渦中ですが、2人以上の全所帯の消費支出が、1年2か月ぶりに前年同月比プラスになりました。
そして、11月も前年同月比プラスが継続しています。
2020年は9月の消費税導入前の掛け込み需要でも対前年同月比でプラスにならないような消費不振(自主的消費抑制)の年でしたが、コロナ禍という異常事態の経験の中で、家計の消費に対する意識が変わってきたのでしょうか。
勿論これはまだまだ分からないことですが、グラフを見て頂きたいと思います。
いつも申しあげておりますが、平均消費性向は可処分所得(手取り収入)のうち何%を消費支出したかという数字ですから、調査対象になるのは収入面の数字も調査されている勤労者所帯だけです。 したがって下の図は2人以上の「勤労者所帯」のものです。
平均消費性向の推移(過去2年間前年同月比較方式%)
総務省「家計調査」
ご覧いただきますと、一昨年12月から昨年9月まで、赤い柱は、前年同月の青い柱に比べてずっとマイナス(低い)になっています。昨年1年勤労者所帯は前年に比し、収入のより多くを貯蓄に回し消費を一貫して節約したという事です
そしてその傾向が昨年10月から変わったように見えるのです。具体的の数字は10月は前年より0.1%ポイント高く、11月は、同1.5%ポイント高くなっています。
この間は、政府はGoToキャンペーンに力を入れ、それに乗って結構多くの人が、出掛けたり、食べたり飲んだりを楽しんだようです。
おそらく消費支出が増加いたのはその影響もあったのでないかと思われます。政府の補助金も効いていたでしょう。
残念なことに、お陰で今年に入って早速に緊急事態宣言になってしまったのですが、これは政府の読み違いのせいで、結果は「永続的な経済活動の活発化」にはならなかったわけです。
しかし、もしそれが役に立った面があるとすれば、国民が、日本経済というのは、我々の消費によって良くも悪くもなるという事に気づいた可能性があるという事です。
確かに日本経済は、家計の消費支出に大きく依存しているのです。コロナ禍の中で、消費を切り詰めれば日本経済は縮み、みんなが消費を増やせば経済は拡大することを身近に体験できたのです。
今は国民が消費活動を活発にすれば、コロナの活動も活発になりますが、コロナ後になった時には、家計消費支出が増えれば経済成長率が高まるというプラス効果だけが残るわけです。
巣籠り消費には限度もありますが、コロナ後は人と人との接触の制限はなくなるでしょうから、GoToのような消費活動の活発化は、人々の生活の楽しみを増すのと同時に経済成長を高める大きな手段になります。
これまで、政府が将来不安をあまりに言うものですから、将来のための貯蓄に精を出して、結果的に経済成長力を無くしていた日本人が、今日の生活のより充実が必要という意識を持ち始め、それが経済成長率を高め、将来不安を解消していく大きな効果を持つ事に気が付けば、日本経済はかなり違ったものになるのです。
12月以降の数字がどうなるかは解りませんが、このコロナ禍を経験し、日本の家計が、行き過ぎた貯蓄超過の生活パターンを少しでも変えるきっかけになればと思って、今後も「平均消費性向」の数字を追っていくつもりです。
今月8日、総務省から2020年11月分の家計調査が発表されました。
10月までは、昨年の消費税引き上げの影響という不規則要因がありましたが、11月からはほぼ平常の動きになるかなと思っていましたが、何か変化の兆しのようなものが感じられるので、報告しておきたいと思います。
前月グラフでお示ししましたように昨年10月、コロナの渦中ですが、2人以上の全所帯の消費支出が、1年2か月ぶりに前年同月比プラスになりました。
そして、11月も前年同月比プラスが継続しています。
2020年は9月の消費税導入前の掛け込み需要でも対前年同月比でプラスにならないような消費不振(自主的消費抑制)の年でしたが、コロナ禍という異常事態の経験の中で、家計の消費に対する意識が変わってきたのでしょうか。
勿論これはまだまだ分からないことですが、グラフを見て頂きたいと思います。
いつも申しあげておりますが、平均消費性向は可処分所得(手取り収入)のうち何%を消費支出したかという数字ですから、調査対象になるのは収入面の数字も調査されている勤労者所帯だけです。 したがって下の図は2人以上の「勤労者所帯」のものです。
平均消費性向の推移(過去2年間前年同月比較方式%)
総務省「家計調査」
ご覧いただきますと、一昨年12月から昨年9月まで、赤い柱は、前年同月の青い柱に比べてずっとマイナス(低い)になっています。昨年1年勤労者所帯は前年に比し、収入のより多くを貯蓄に回し消費を一貫して節約したという事です
そしてその傾向が昨年10月から変わったように見えるのです。具体的の数字は10月は前年より0.1%ポイント高く、11月は、同1.5%ポイント高くなっています。
この間は、政府はGoToキャンペーンに力を入れ、それに乗って結構多くの人が、出掛けたり、食べたり飲んだりを楽しんだようです。
おそらく消費支出が増加いたのはその影響もあったのでないかと思われます。政府の補助金も効いていたでしょう。
残念なことに、お陰で今年に入って早速に緊急事態宣言になってしまったのですが、これは政府の読み違いのせいで、結果は「永続的な経済活動の活発化」にはならなかったわけです。
しかし、もしそれが役に立った面があるとすれば、国民が、日本経済というのは、我々の消費によって良くも悪くもなるという事に気づいた可能性があるという事です。
確かに日本経済は、家計の消費支出に大きく依存しているのです。コロナ禍の中で、消費を切り詰めれば日本経済は縮み、みんなが消費を増やせば経済は拡大することを身近に体験できたのです。
今は国民が消費活動を活発にすれば、コロナの活動も活発になりますが、コロナ後になった時には、家計消費支出が増えれば経済成長率が高まるというプラス効果だけが残るわけです。
巣籠り消費には限度もありますが、コロナ後は人と人との接触の制限はなくなるでしょうから、GoToのような消費活動の活発化は、人々の生活の楽しみを増すのと同時に経済成長を高める大きな手段になります。
これまで、政府が将来不安をあまりに言うものですから、将来のための貯蓄に精を出して、結果的に経済成長力を無くしていた日本人が、今日の生活のより充実が必要という意識を持ち始め、それが経済成長率を高め、将来不安を解消していく大きな効果を持つ事に気が付けば、日本経済はかなり違ったものになるのです。
12月以降の数字がどうなるかは解りませんが、このコロナ禍を経験し、日本の家計が、行き過ぎた貯蓄超過の生活パターンを少しでも変えるきっかけになればと思って、今後も「平均消費性向」の数字を追っていくつもりです。