tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

頑張る日銀、円安を試すのも一策?

2022年05月02日 14時46分10秒 | 経済
この所の様子を見ていますと、日銀はの為替政策は,,かなり徹底しているようです。

黒田総裁は、この程度の円安であれば、日本経済にとってはマイナスよりプラス効果の方が大きいと、今の所では、見ているのでしょう。

もうひとつは、2%インフレターゲットが明確になるまで円安を見極めてもいいということもあるのかもしれません。
その場合、目指したインフレの意味が、輸入インフレを含むものか、それとも、アメリカでいう「コアコア」、日本でいえば、「生鮮食品とエネルギー除く総合」を指しているのかという見方の違いがあります。

消費者物価の総合であれば、4月の数字が出ればほぼ確実に2%を達成しますが、「生鮮食品とエネルギーを除く総合」であれば、まだ1%に届くかどうかでしょう。

表面的な現象としては、海外価格と値上がりと円安で消費者物価が2%を突破しても、コロナや、ウクライナ問題が終息に向かえば、こうした異常事態による物価の値上がりは消えていくでしょうから、やっぱり日本の消費者物価は、諸外国に比して上がっていないということになる可能性も大きいわけです。

この辺りの多様な組み合わせをどう判断するかですが、恐らく、日銀がここまでやるのは、それなりの考え方と見通しをきちんと勘案してのことでしょう。

円安進行についても、今の日本経済のファンダメンタルズを考えれば、このままずるず円安が進むという可能性は高くないでしょうし、この程度の円安では、ある程度価格転嫁が進めば(政府は、多分選挙のために気にしすぎのようですが)日本経済としては、円安のメリットも考えれば、大きな問題は生じないでしょう。

なんといっても、ガソリンその他の値上がりは日本だけではなく、世界中そうなのですから、日本だけ「値上がりは困る」と言っても誰にもどうにも出来ない事なのですし、事が収まればまた下がることも十分あり得るといった現象も勘案するのが長期的視点からの見方ではないでしょうか。

ただ問題は、諸外国が、諸先進国も含めて、7%台の消費者物価上昇などと、かつてのオイルショックの時の様に、輸入インフレへの対応に相変わらず失敗しているのが現状だという事です。

日本だけが真面目にやって、自家製インフレを誘発するなどの失敗をせず、確りした対応をしていますと、輸入インフレへの対応に失敗(場合によってはスタグフレーション化の可能性もあり)、経済の健全化維持に苦労する国々から、上手く対応している日本は少しやり過ぎなので、「日本は円の切り上げを認めるべきではないか」などという意見が出て来ることが心配されます。

自由経済諸国は民主主義で、失敗した国の方が多いと、失敗しなかった国は少数意見という事で多数決になる恐れがあるように思うわけで、そんなことも、かつての経験から学んで(プラザ合意など)十分配慮しておくことも必要ではないかという気もします。