tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円安進行1ドル140円、日銀は放置?

2022年09月02日 15時41分35秒 | 経済
円安が進行しています。139円50銭超えるかといことで、少しモタモタしていましたが今日はスッキリ140円台に乗せ、15時半現在140円35銭です。

139円でも140円台に乗せても大きな変化ではないですが、やっぱり心理的なものはあるでしょうし、投機筋では1銭も大きいのでしょう。

140円台は28年ぶりだそうで、28年前は、バブル崩壊地価暴落の中で何とかやりくりの努力をしてきた長銀や不動産銀行がやっぱりアウトという事になった時でした。

今はそういった日本経済自体の問題は出はなく、アメリカの急なインフレ化を抑えるためのFRBの金利引き上げのとばっちりというのが主因です。

原因が日本かアメリカかは別として、為替相場があまり動くと実体経済に良い影響はないので、為替は安定が良いというのが一般的認識でしょう。

問題は、アメリカのインフレが急速で、それを抑えようというFRBの意思が強固で、「アメリカの企業や家計に犠牲が出ても」インフレ退治が優先といったパウエルさんの引き締まった表情です。

7月に、一見上げ止まったと見えるアメリカのインフレですが、行く先は未だ解りません。
それをこのまま止めたいというパウエルさんの一心が、余計な賃上げや便乗値上げは「許さん!」という気迫になっているのでしょう。

その気迫にマーケットは気押されて、未だ金利は大幅に上がると読んで、結果は異次元緩和の方針を一向に変えない日本の円は安くなるというのが物事の順序の様です。

ところで、アメリカの都合で円安に追いやれた日本では、輸出産業と輸入産業の収益格差がどんどん開きます。

国際的物価高と一緒になって我慢も限界、少しずつ価格転嫁で物価が上がると、微成長、僅少賃上げ、ゼロ金利のなかですから2%台のインフレでも政府も大騒ぎ、「悪いインフレ」更には「悪い円安」などという言葉まで出来て右往左往です。

漸く、トヨタと日鉄が合理的な対策を取り始めましたが、政府、日銀はさて来週からどうするのでしょう。

政府は、輸入業者は積極的に価格転嫁(転嫁であって便乗値上げはダメですね)すべしとか、日銀は口先だけでも異次元緩和の見直しとか言って、マーケットの反応を見るぐらいやってもと思うのですが、上手くやれるでしょうか心配です。
アメリカのインフレ抑制が上手く行かず、アメリカ経済が不調になれば、ドル安円高に戻る可能性もあるでしょう。
上手く行っても、アメリカの赤字垂れ流しが続けばやっぱりまた円高でしょう。

円高は日本が赤字国にならない限り続くのが自然ですが、アメリカの高金利政策が長くなりますと、その間は円安が続いて、日本はプラザ合意の前のように、物価の安い国になり、コロナが終息すればインバウンドはとめどなく増え、輸出は伸び、日本は意図的に円安にして怪しからんなどと批判されることになりそうです。
批判が高まれば、円高圧力が日本を覆うでしょう。

現状、アメリカヨーロッパは軒並み10%近いインフレですから、その辺の付き合い方も考え上手くお付き合いをしないと、世の中多数が正義の民主主義ですので、処世術(経済外交力)に長けた日本にはなれないのではないでしょうか。