tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

これで日本経済復活になるのでは?

2022年09月06日 15時02分03秒 | 経済
為替レートが正常化した2013~14年からそろそろ10年になろうというのに、日本経済は相変わらず低迷を続けています。

これは多分、基本的な経済政策が誤っていたという前提で、これまでの失敗の分析の結果から、ではどうすれば上手く行くのではと考えてみたのが前回です。
今回は、結論から先にして、こうすれば上手く回るようになるのではないですかという点から入ってみます。

先日、トヨタと日鉄が鋼材値上げで合意したというニュースがあり、民間の知恵だと書きました。それもヒントになります。やはり価格機構をきちんと働かせないと、経済というのは巧く動かないという事のようです。

先ず、国際価格上昇で(円安は後述)、輸入物価が上がったら、その分は国内物価に転嫁していくべきでしょう。(ガソリン値上げ、鋼材値上げなどはOK)

そうすれば、輸入部門だけがコストを負担するのではなく輸出部門も高い原材料で作ることになります。それは当然で、世界中共通です。国際競争力には影響はありません。

消費者も高い物を買うことになりますが、これは輸入物価の高騰によるGDPの海外流出分を国民みんなが負担するという事で避けられない事です。
生産性を引き上げて、経済を成長させて、海外に値上がりで支払った分(GDP流出分)を稼がなければ、元の生活水準には戻らないのです。

嘗ての日本は、こういう場合、(賃上げもしましたが)頑張って生産性を上げ、経済成長で取り返していました。毎年確り賃上げをすることが当たり前という春闘が機能していたので、投資と消費がバランスよく伸びていたから成長したのです。

多分今必要なことは、毎年、ある程度の賃金上昇があるという状態を創りだしことでしょう。
政府の賃上げ奨励は着想はい良いのですが、環境条件を整備しないで旗だけ振っても労使は動きませんから賃上げは僅少で、消費は伸びず、経済は成長しません。

物には順序があって、まず、輸入物価を国内価格に確り転嫁する、現状それをやれば、国内物価がそれだけで3~4%上がるでしょう。
政府は慌ててはいけません。賃金決定は労使の仕事です。価格転嫁が順調に進んで家計が苦しくなります。おそらく翌春闘に向けて、労使の動きが活発になるでしょう。

こうして労使の自主的賃金決定の在り方の見直しの環境が整備されます。欧米では大幅賃上げで大幅インフレになりましたが、日本の労使は適正な範囲で妥結します。

円安の場合も価格転嫁をプライス・メカニズムに従ってきちんと価格転嫁を行えば、為替差益と差損は中和・キャンセルされて、円安分だけ物価が上がり、国民からの賃上げ圧力で労組は賃上げ要求を組むでしょう。その分物価が上がっても、円安になっているので国際競争力は変わりません。

付随して変えなければならないのは金利です。日銀はゼロ金利を見直し、国債や定期預金には適切な利息が付くでしょう。預金は黙っていても毎年増えるようになります。
そして、金融の正常化が進み、金融経済面も正常化するでしょう。

20数年来溜っていた原材料などの負担の価格転嫁が始まっています。消費者物価も少しは上がるでしょう。ここから、世間並み(世界並み)の半分ぐらいの賃金上昇でも、労使が自主的以賃金上昇を考えるようになれば、このほかの種々の問題も含めて、日本経済は多分大きく変わるでしょう。

経済政策は「総じて後追い」のこの所の政府ですが、どうでしょう、少し先取りに転換してダメモトと思ってやってみませんか。