tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

国際関係の基礎は「競いの文化」で築こう

2023年03月23日 14時10分07秒 | 国際関係
新形コロナというパンデミックが世界を揺るがし、延び延びになっていた第5回WBCの優勝者は「侍ジャパン」でした。

昨年優勝のアメリカは、連覇を目指して途中、対メキシコでの失点もありましたが、満を持して決勝に勝ち上がってきたようです。

日本は準決勝でメキシコに逆転勝ちで決勝進出。夢の日米対決の優勝決定戦がマイアミでくり広げられました。
そして結果は、大谷、ダルビッシュ、村上、それに吉田の驚異の打撃力、そして、メジャーリーガーの強力打線を要所で封じる継投に活躍した投手陣等々の総合的な頑張りで「侍ジャパン」が念願の3度目の優勝を3‐2で飾ったのです。

放送席からは「呆然としているアメリカチーム」などという言葉も聞かれました。
そしてこれは、次回への切磋琢磨、それぞれの力と技の向上で、次回の優勝を目指しての研鑚に繋がっていくのでしょう。

スポーツの世界は「清々しい」世界です。勝っても負けても、それは努力・向上の「糧」となって将来に進んでいくのです。

優勝の感激で少し長く書き過ぎましたが、この清々しさは「競いの文化」に基礎を置くからと考えています。

「競いの文化」の対極は「争いの文化」です。これは今、現実に「ロシアのウクライナ侵攻」という形で起きています。

「争いの文化」では、石や棍棒から戦車、ミサイル、核爆弾まで、武器によって相手を滅ぼし自らの優位を保つという人類の野蛮な時代の遺物のような文化です。

今、この文化が残っているのは世界の少数な独裁国においてで、民主主義国ではほとんど見られない文化です。

そうした意味で考えてみますと、プーチンのロシアは「争いの文化」を是とする国であることをウクライナ侵攻で証明しました。

もう1つの問題国は、中国です。中国は南シナ海、更には台湾問題で、「争いの文化」を含む意識をもつ国であることを示唆する態度・行動をとっています。

但し中国は、これらの問題は国内問題という主張で国際関係には影響しないという立場のようですが、現実が「国内問題」と言えるものかどうかが、中国が独裁国家であるかどうかを(国際的に)に判断する証左になるのでしょう。

こうした中で、最も重要なカギを握るのは、アメリカでしょう。

中国は、台湾進攻を言いながら、交渉による平和的解決が望ましいという事も常に発言しています。
恐らく、独裁者の様相を強めている習近平も、プーチンの様に、国際輿論から「独裁者」と決めつけられるのは避けたいという気持ちはあるようです。

心配なのはアメリカの態度で、揺れ動く習近平の気持ちを、独裁者としての存在に踏み切らせるかどうかは、アメリカがこれからいかなる態度で習近平の中国に接するかにかかっているのではないでしょうか。

経済的には米中覇権争いという問題があります。経済覇権は、あくまでも「競いの文化」の問題であるべきです。経済発展を競い合うべき問題でしょう。
相手の経済力を潰して勝つような、たとえば、行き過ぎた経済制裁、関税合戦、貿易制限などは「争いの文化」の経済版で、人類社会の豊かさへの阻害要因でしょう。

「競いの文化」こそが人類社会の発展を支える文化で、「争いの文化」の要素がそこに入り込むことは結局人類社会の破壊や発展の阻害であることを覇権国アメリカが、十分に認識し、民主主義社会の良さを世界に示すことが期待されているのではないでしょうか。