雇用ポートフォリオをこのブログで最初に取り上げたのは2007年9月18日でした。
その時は、この言葉は1980年代から日経連が使っており、1995年に日経連が出した「新時代の日本的経営」以来広く使われるようになり、その後長期不況の中で、企業が人件費削減のために非正規を多用する論拠になった事などを書き、最後に、
「日本経済の回復基調とともに、これまでの非正規社員多用の「雇用ポートフォリオ」のあり方も、その中身となる人事制度のあり方も、次第に見直しされていくのではないでしょうか。企業の自然な努力で、格差問題の改善が進むのを期待したいと思います。」
と書きました。
これはリーマンショックの前年で、日本経済に復活の兆しが見え、就活が売り手市場になった年でしたが、この翌年の秋にはリーマンショックで$1=76~80円という超円高になり日本は一層深刻な円高不況に沈みました。
この不況は「日本経済が頑張れば頑張るほど円高になる」という最悪の不況でしたが、2013~2014年の、まさに「異次元の円高対策」、黒田日銀の2発のバズーカ砲で、$1=120円と為替レートは正常化しアベノミクスに期待がかかる事になりました。
この段階途中の2013年1月25日から4回ほどに亘って、「円安と企業の果たすべき役割」のシリーズを書き
「企業は・・これをチャンスに生産活動を活発化します。円安で増加した円建ての付加価値はこうした生産活動の活発化、それによるGDPの増加になって、利益増、雇用増、賃金上昇を生み、実体経済の改善、経済成長につながります。」
と書いていますが、そううまくはいきませんでした。
この2007年と2013年のブログに共通しているのは、日本経済が円高の克服、あるいは円高からの脱出が可能性が見えた時、それまでのコスト削減のための雇用・賃金構造の歪み(低賃金の非正規の多用など)の是正が必要という意味の「雇用ポートフォリオ」の再検討の必要を指摘したつもりでした。
しかし、残念ながら諸般の事情の中で、日本の労使は、アベノミクスの期間を通じても、「雇用ポートフォリオの再検討」の作業をせずに、更にコスト削減を続け、非正規雇用は雇用者の40%にも達したのです。
そして今年の春闘で、初めて労使はその反省に立ち、賃金引き上げについて合意しました。しかし、またも残念ながら、非正規雇用の問題を含む雇用・賃金の新しい在り方に繋がる「雇用ポートフォリオの再検討」という問題への言及はありません。
折しも「働き方改革」の中で、「ジョブ型」の雇用賃金の問題がクローズアップされています。
この問題も包括して、「新・新時代の日本的経営」を検討しようという動きが起きて来るかと期待していますが、現状、何処からも聞こえてきません。
しかし、今の日本の経済・社会にとって、これこそが必要なことではないでしょうか。今、企業は、今後に向けての雇用ポートフォリオの再構築を必要としていますし、若者はいかなる雇用を選択すべきか迷っているのではないかと思われます。
権威ある経団連、連合といった組織、更にはアカデミアの協力も得て、そうした検討が為されることが、政府の「働き方改革」に対する、産業に直接従事する民間の回答にもなりうるのではないかと思っているところです。
その時は、この言葉は1980年代から日経連が使っており、1995年に日経連が出した「新時代の日本的経営」以来広く使われるようになり、その後長期不況の中で、企業が人件費削減のために非正規を多用する論拠になった事などを書き、最後に、
「日本経済の回復基調とともに、これまでの非正規社員多用の「雇用ポートフォリオ」のあり方も、その中身となる人事制度のあり方も、次第に見直しされていくのではないでしょうか。企業の自然な努力で、格差問題の改善が進むのを期待したいと思います。」
と書きました。
これはリーマンショックの前年で、日本経済に復活の兆しが見え、就活が売り手市場になった年でしたが、この翌年の秋にはリーマンショックで$1=76~80円という超円高になり日本は一層深刻な円高不況に沈みました。
この不況は「日本経済が頑張れば頑張るほど円高になる」という最悪の不況でしたが、2013~2014年の、まさに「異次元の円高対策」、黒田日銀の2発のバズーカ砲で、$1=120円と為替レートは正常化しアベノミクスに期待がかかる事になりました。
この段階途中の2013年1月25日から4回ほどに亘って、「円安と企業の果たすべき役割」のシリーズを書き
「企業は・・これをチャンスに生産活動を活発化します。円安で増加した円建ての付加価値はこうした生産活動の活発化、それによるGDPの増加になって、利益増、雇用増、賃金上昇を生み、実体経済の改善、経済成長につながります。」
と書いていますが、そううまくはいきませんでした。
この2007年と2013年のブログに共通しているのは、日本経済が円高の克服、あるいは円高からの脱出が可能性が見えた時、それまでのコスト削減のための雇用・賃金構造の歪み(低賃金の非正規の多用など)の是正が必要という意味の「雇用ポートフォリオ」の再検討の必要を指摘したつもりでした。
しかし、残念ながら諸般の事情の中で、日本の労使は、アベノミクスの期間を通じても、「雇用ポートフォリオの再検討」の作業をせずに、更にコスト削減を続け、非正規雇用は雇用者の40%にも達したのです。
そして今年の春闘で、初めて労使はその反省に立ち、賃金引き上げについて合意しました。しかし、またも残念ながら、非正規雇用の問題を含む雇用・賃金の新しい在り方に繋がる「雇用ポートフォリオの再検討」という問題への言及はありません。
折しも「働き方改革」の中で、「ジョブ型」の雇用賃金の問題がクローズアップされています。
この問題も包括して、「新・新時代の日本的経営」を検討しようという動きが起きて来るかと期待していますが、現状、何処からも聞こえてきません。
しかし、今の日本の経済・社会にとって、これこそが必要なことではないでしょうか。今、企業は、今後に向けての雇用ポートフォリオの再構築を必要としていますし、若者はいかなる雇用を選択すべきか迷っているのではないかと思われます。
権威ある経団連、連合といった組織、更にはアカデミアの協力も得て、そうした検討が為されることが、政府の「働き方改革」に対する、産業に直接従事する民間の回答にもなりうるのではないかと思っているところです。