今の日本経済の重要な問題の1つは矢張り消費者物価の動きでしょう。
このブログでは、この所、消費者物価の動きを追ってきました。
その上で、指摘してきた問題は、消費者物価の主要3指数の中で「生鮮食品とエネルギーを除く総合」(いわゆるコアコア指数)の動きに注意しなければいけないという事でした。
といいうのは、生鮮食品はお天気次第で変動します。エネルギーは産油国の価格戦略で動きます。日本の農家や企業が努力してもし切れるものではありません。
しかし、生鮮食品の価格は天気が良くなれば下がりますし、原油価格なども上がり過ぎると下がります。しかも世界中で上がるので、影響は世界共通です。
この両方は手の打ちようが無いので、国内の物価政策で手の打てるのは上記の「コアコア指数」だけです。
つまり物価政策というのは、コアコア指数が安定(2%以下に)することが基本です。
コアコア指数が何故上がるかと言えば、要因は2つ、製品価格の内の「人件費(賃金)」の部分が増えるか、「利益」の部分が増えるかです。
賃金部分増によるのは「賃金インフレ」、利益部分増によるのは「便乗値上げ」などと言われます。共に国内要因によるインフレです。
今年5月までの1年間の「コアコア指数」の動き(対前年上昇率)を全国の動向と、先行指標である東京都区部の動向を並べてみたのが下のグラフです。
消費者物価「コアコア指数」:全国と東京都区部(速報)

資料:総務省統計局「消費者物価指数」
日本の消費者物価が上がり始めたのは昨年からですが、加工食品、飲料、日用生活物資などの一斉値上げ、それも波状的に何回も上がりました。
その原因は、これまでの国民の節約志向、コロナによる消費需要の低迷で、輸入品や政府の最低賃金引き上げ政策などで上がったコストを製品価格に転嫁できず、企業としては利益が出なくなって苦しんでいたことなどがあります。
昨年からコロナの鎮静化もあり、国民の貯蓄志向から消費も重視しようという生活態度の変化もあり、これまでのコストアップを価格転嫁しようというムードが生まれ、「みんなで渡れば怖くない」といった心理もあって一斉値上げが始まったのでしょう。
そのあたりの感じがグラフにはっきり表れているようです。
消費者(国民)も、事情が解っていますから「多少の値上げも仕方ないね」と昨年来の物価上昇はある程度認めようという気持ちだったようです。
ところが今年に入ってモノによっては「ちょっと上がり過ぎ?」といった雰囲気も出、石油元売り会社が政府の補助金を貰いながら至上雄最高益を出したり、公共料金である電気・ガスなどの価格が大幅に上がったりという事も何か気になって来たようです。
毎月賃金統計の発表があるたびに、「賃金は上がったが、物価がもっと上がっているので実質賃金はマイナス」などという解説も続いたりして、消費者も敏感になったようです。
という事で上のグラフですが、6月に至って東京都区部の「コアコア指数」の対前年上昇率が下がりました。
これが、今後も続くかどうかは解りませんが、何と無く、消費者の気持ちと、やっと値上げで一息ついた企業の感覚が一致して、この辺で値上げは止め、別の経営戦略で消費者のインフレ懸念に応えようといったムードになって来たのでしょうか。
6月の全国の数字、7月の数字・・・と出て来れば、そのあたりの実態が見えてくると思うのですが。もし予想通りであれば、日銀総裁もきっと大喜びではないでしょうか。
このブログでは、この所、消費者物価の動きを追ってきました。
その上で、指摘してきた問題は、消費者物価の主要3指数の中で「生鮮食品とエネルギーを除く総合」(いわゆるコアコア指数)の動きに注意しなければいけないという事でした。
といいうのは、生鮮食品はお天気次第で変動します。エネルギーは産油国の価格戦略で動きます。日本の農家や企業が努力してもし切れるものではありません。
しかし、生鮮食品の価格は天気が良くなれば下がりますし、原油価格なども上がり過ぎると下がります。しかも世界中で上がるので、影響は世界共通です。
この両方は手の打ちようが無いので、国内の物価政策で手の打てるのは上記の「コアコア指数」だけです。
つまり物価政策というのは、コアコア指数が安定(2%以下に)することが基本です。
コアコア指数が何故上がるかと言えば、要因は2つ、製品価格の内の「人件費(賃金)」の部分が増えるか、「利益」の部分が増えるかです。
賃金部分増によるのは「賃金インフレ」、利益部分増によるのは「便乗値上げ」などと言われます。共に国内要因によるインフレです。
今年5月までの1年間の「コアコア指数」の動き(対前年上昇率)を全国の動向と、先行指標である東京都区部の動向を並べてみたのが下のグラフです。
消費者物価「コアコア指数」:全国と東京都区部(速報)

資料:総務省統計局「消費者物価指数」
日本の消費者物価が上がり始めたのは昨年からですが、加工食品、飲料、日用生活物資などの一斉値上げ、それも波状的に何回も上がりました。
その原因は、これまでの国民の節約志向、コロナによる消費需要の低迷で、輸入品や政府の最低賃金引き上げ政策などで上がったコストを製品価格に転嫁できず、企業としては利益が出なくなって苦しんでいたことなどがあります。
昨年からコロナの鎮静化もあり、国民の貯蓄志向から消費も重視しようという生活態度の変化もあり、これまでのコストアップを価格転嫁しようというムードが生まれ、「みんなで渡れば怖くない」といった心理もあって一斉値上げが始まったのでしょう。
そのあたりの感じがグラフにはっきり表れているようです。
消費者(国民)も、事情が解っていますから「多少の値上げも仕方ないね」と昨年来の物価上昇はある程度認めようという気持ちだったようです。
ところが今年に入ってモノによっては「ちょっと上がり過ぎ?」といった雰囲気も出、石油元売り会社が政府の補助金を貰いながら至上雄最高益を出したり、公共料金である電気・ガスなどの価格が大幅に上がったりという事も何か気になって来たようです。
毎月賃金統計の発表があるたびに、「賃金は上がったが、物価がもっと上がっているので実質賃金はマイナス」などという解説も続いたりして、消費者も敏感になったようです。
という事で上のグラフですが、6月に至って東京都区部の「コアコア指数」の対前年上昇率が下がりました。
これが、今後も続くかどうかは解りませんが、何と無く、消費者の気持ちと、やっと値上げで一息ついた企業の感覚が一致して、この辺で値上げは止め、別の経営戦略で消費者のインフレ懸念に応えようといったムードになって来たのでしょうか。
6月の全国の数字、7月の数字・・・と出て来れば、そのあたりの実態が見えてくると思うのですが。もし予想通りであれば、日銀総裁もきっと大喜びではないでしょうか。