tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

<月曜随想>報復の応酬か和解か、その原点

2024年08月12日 17時06分47秒 | 文化社会

ハマスが積年の圧迫に耐えかねて暴発、イスラエルを攻撃しました。イスラエルの報復は異常に執拗で、「ハマスの殲滅」という言葉さえ聞こえ、ガザは戦禍の地獄の様相です。

更にイスラエルはハマスのリーダーをイラン国内で、無人機で爆殺しました。イランはこの暴挙を主権に関わるものと怒り、報復を宣言しました。  

日本もかつて新興国だったころ、列強の禁油政策などに対抗、国運を賭ける気で太平洋戦争を引き起こしました。結果は世界で唯一の被爆国にもなり、主要都市はすべて廃墟と化し、膨大な民間人の死者を出しての敗戦でした。

あれから今年で79年ですが、その間日本からは報復という言葉も、原爆投下に対する恨みの発言もありません。

原爆投下に対しては、投下国アメリカの大統領と日本の被爆者代表が、「世紀の和解」をしているのです。

そして今、日本はこれからも戦争をしないという平和憲法を掲げ、世界を平和にしようと呼びかけているのです。

多くの国が戦争を経験しています。もし戦争をした国が、たとえ負けても、それを恨みや報復の形で記憶するのではなく、戦争は勝っても負けても、破壊と殺戮の経験でしかない、もうそんな事はやめようと思えば、戦争はなくなるのです。

そう考えてみますと、日本に出来たことが、なぜ広く一般的にならないか、という問題が残ります。

日本は特殊な国で、一般的には日本のようなことはできないし、そんな屈辱的なことはやる気もない、というのが世界の常識なのでしょうか。

われわれ日本人は、特殊でしょか。「過ぎたことは水に流して」という考え方は今は未来志向と言われ尊重されています。日本人が特殊なら、なぜ?

この問題は長い間いろいろと考えていました。

日本については、縄文1万何千年の間、多様な過去とDNAを持つ人間集団が日本列島という閉ざされた、しかし恵まれた自然環境の中で、平和共存して混血し、あたかも純血種のような日本人になったという経験が基底にあり、人間はみんな同じ様であると考えるようです。

もっと昔の話ですが、10万年ほど前、アフリカを出て、ユーラシア大陸に拡散していった現生人類(ホモサピエンス)は、現生人類でない旧人類が先住民として生活している所にいわば入植したのです。ヨーロッパ地域にはネアンデルタール人が、その東にはデニソワ人がいました。

ネアンデルタール人は2万年ほど前までは生存していたといわれますが、すべて絶滅しています。問題は原住民と入植者の関係です。

かつては現生人類は旧人とは交雑しなかったといわれていましたが、いまはDNAの研究から、交雑したことが解っています。しかし、彼らは現生人類に滅ぼされたのではなく、生きる力が弱く、次第に絶滅したという説が主流です。

しかし、40万年ほども前からヨーロッパに住み着いていたネアンデルタール人が、現生人類がアフリカを出てヨーロッパに拡散しはじめてから僅か何万年かで絶滅してという事は、対立や争いがあり、現生人類がその知能の高さをもって、彼等旧人の絶滅を速めたと考える方が自然でしょう。

次は千数百年ほど前の話です。現生人類は、アフリカを出て、何万年かで南アメリカの南端まで広がったといわれますが、その後ヨーロッパで高度な文明を築いた人たちは、改めてアメリカ大陸を発見し、そこに入植しました。しかしそこにはすでに同じ現生人類ですが、文明の発達の遅れた先住民がいたのです。インディアン、インディオです。そこで何が起こったかは誰もが知っています。

次は戦後の話です。戦後イスラエルという国が建設されました。そこはパレスチナと言われえる土地で、アラブ人主体の先住民がいました。多分史上最後の先住者と入植者の問題という事になるのでしょう。

それ以上は書きませんが、先住民と入植者という問題はいつの世でも大変厳しいようです。

日本列島には先住民はいませんでした。入植者がいなかったとも言えます。そうした葛藤のなかった日本人は、葛藤に縛られない、対等で平和な考え方に行き着いたのかもしれません。

まだまだ答えに到達しませんが、こんな要素も、人間や、国の行動に関係があるようにも思われます。


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