今朝。総務省統計局から家計調査の2004年5月の「家計収支編」が発表になりました。
5月、6月は新年度の賃上げが家計に反映される月なので、特に 今年は賃上げ幅が大きかったことが労使の調査でも確認されているので、特に勤労者世帯について注目したいと思っていたところです。
統計表で最初に出てくるのは2人以上の全世帯の消費動向ですが、これはマスコミの見出しのように対前年比実質マイナス1.8%で消費支出減速という状況です。
今年の1月は異常な落ち込みでしたが、2月から対前年比マイナス幅を縮小し4月には前年比実質0.5%のプラスでした。
しかし5月は名目で1.4%の伸びでしたから消費者物価指数が生鮮食品を中心2.8%も上がったので残念ながら、実質消費は前年比マイナスに転落です。
実質消費支出のマイナス1.8%に最も大きく寄与しているのは、10大費目の中の食料で0.94のマイナスです、5月には生鮮食品が大きく値上がったことも影響しているのでしょうか。
光熱・水道がマイナス0.77の寄与になっていますが、これは政府の補助金の廃止の影響が出ているものと考えられます。
増加で寄与しているのは交通・通信(+0.54)の中の自動車購入でこれは型式問題で買い急ぎがあったせいでしょうか。
いずれにしても、行政の関係で、自然の経済活動の動きが混乱させられるのは、経済分析にとっては困ったことです。
ところで、勤労者世帯はどんなことになっているのだろう、賃金は順調に上がったのかなと2人以上勤労者世帯について見てみましたら、こちらは少し状況が違いました。
5月は名目可処分所得が対前年8.8%と大幅上昇で、実質可処分取得も同5.3%の増加と賃上げのせいでしょうか予想外の大幅増加です。(配偶者の収入も増えている)
この実質可処分所得の増加が平均消費性向にどんな影響をもたらしたかと「平均消費性向」の数字を見ますと下図です。
平均消費性向の推移(2人以上勤労世帯)
料:総務省「家計調査」
平均消費性向は、昨年5月の90.2%から、84.7%へと大幅に下がっています。昨年の5月が些か異常で収入が減り、節約がそれに追いつかなかったという感じの90.2%だったのですが、今年は、賃金上昇率も高めで、その逆の現象のようです。
平均消費性向が上がることで消費需要が増え、消費不振の日本経済が復活するきっかけにしようというのがこのブログの主張ですが、平均消費性向が下がってしまっては消費支出は増えません。
そこでこんな計算をしてみました。去年の5月は100円の収入で90.2円使って生活した。今年の5月は108.8円の収入があった。そしてその84.7%を生活に使った。今年の5月生活に使ったのは何円でしょう? 答えは92円15銭です。
つまり、平均消費性向は下がったけれど消費支出は名目値では増えたという事です。
現実の家計を考えれば収入や可処分所得が増えたからと言ってすぐにその分を消費に回すのではなく、先を見ながら次第に増やしていくといったことでしょう。
さて、6月以降の可処分所得はどう動くのか、そして平均消費性向はどう動くか、日経平均は上がっているようですが、日本経済はどうなうのでしょう、もう少し見ていく必要がありそうです。