tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日銀、平穏裡に政策金利を0.5%に

2025年01月25日 15時49分48秒 | 経済

昨日、日銀は政策金利を0.25%引き上げて0.5%にすることを決定しました。昨年8月の0.25%へのホンの小幅の引き上げが、国際投機資本にとってサプライズだという事で、日経平均の大幅下落、1ドル140台への円高を招いた時とは様変わりの反応の無さです。

そういう意味では、今回の利上げは、日銀としては、経験からしっかり学び、余計な混乱を避けるという意味で、様変わりの進歩でしょう。

日本経済としては、金利の正常化(適切な水準までの引き上げ)を実現して、経済活動を反映し、経済活動に影響を与え、金融政策が機能するような形になるのが目標ですからまだ先は長いようです。

今回の引き上げは、前回より実体経済に与える影響は大きいと思われます。差し当たって影響を受けるのは住宅融資の変動金利の引き上げでしょうか。一方、預金の方は普通預金の金利も引き上げられるようです。

今までは、日本の借金王である日本政府が、殆んど金利のつかない金を国民から借りて大変な楽をし、国民は貯金をしても利息が付かないので、その分自分で利息を付けるという意味も含めて、消費を抑え、貯蓄志向というのが家計の動きでした。

まだまだ少しですが、政府が国民に利息を払う事になったのは結構なことで、多くの家計は更なる利上げを望むでしょう。 

ところで、今回の金利引き上げで、マスコミが報じている中に、ひとつ、今までの説明と全く逆の要因が挙げられています。

勿論それは日銀から説明があったからですが、それは、金融機能の正常化の方向を示すとともに、日本経済が、今までの賃金の上がらない経済から、賃金の上がる経済に変わっていく動きを示唆、予測、奨励するといった、日本経済の新傾向についての見方に関わると感じるところです。

昨年8月の政策金利引き上げについての日銀の説明は、消費者物価指数の上昇が、2%程度まで収まったので引き上げに踏切るというものでした。

元々物価が下がったら金利を引き上げる理論は、経済学にはありません。日本の場合は特別で、インフレが目標の2%まで下がったら経済が正常化したと考え金利の正常化(ゼロ金利脱出)が可能になるという特別の考え方でした。 

昨年8月の引き上げは、そうした日銀の認識の結果でしょう。ですから日銀はその後も引き上げの機会を狙っていましたが、国際情勢から国際投機資本を刺激しないよういに時期を待ちました。

トランプさん再登場、ドル高指向、NYダウ上昇という環境もあって円高も進みにくく、国内では、今春闘の経営者の賃上げ指向も強く、消費者物価再上昇で周到な対外意思表示も行われ、結果は思い通りという事でしょう。

中でも、お米を始め食料品価格の上昇で「インフレ懸念」という説明が入って来ました。インフレ進行を抑えるための賃上げというのは世界共通の認識です。物価が下がったから金利引き上げという考え方は消えて来ています。

今回の金利引き上げで注目すべきは、日銀がその本来の意識である貨幣価値の維持(インフレ防止)を指摘している事、その背後には賃金が上がり始めるのではないかという意識や、もしかしたら農協のコメ買取価格の引き上げのように、農業政策は旧態のままで価格だけ上げていくという日本の主食であるコメにつての政府の姿勢といった問題があるようにも感じられるところです。


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