tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

新自由主義経済を高見の見物

2025年01月24日 14時04分35秒 | 経済

ソフトバンク・グループの孫正義さんやオープンAIのアルトマンさん達がアメリカで最大5000億ドルに上るAIインフラの整備、10万人の雇用を生み出す投資をするという事で、トランプさんが大変喜んでいるというニュースがありました。

孫さんも凄いなとびっくりしていましたら、今やトランプ大統領の側近とみられているテスラのイーロン・マスクさんが、「彼らはカネを持っていいない。孫さんの持っているのは100億ドル程度」と成功を危ぶむような発言をしたいうニュースが入ってきました。

マスコミは、さっそくこの話を取り上げ、トランプさんとマスクさんの間に意見の相違が・・、といった報道をしました。

その後の報道ではトランプさんは、(人間関係もあるだろうが)そんなことは問題ないと気に留めないという事のようです。

トランプさんにしてみれば、アメリカに金を注ぎ込んでくれて、雇用を生み出してくれるという企画は大歓迎という事のようです。

こんなニュースを聞いて、つくづく感じたのは、最近の話題の主、新自由主義経済のチャンピオンたちの金銭感覚と実体経済の金銭感覚とのズレの巨大さです。

調べてみるとイーロンマスク氏の資産は4500億ドルを超えて2位のアマゾンのベソス氏に2000億ドルの差をつけたとか言われています。

マスク氏の資産の元は電気自動車テスラでしょう。ほかにも宇宙船のスペースX や“X”さらにAIのプロジェクトも在りますが、事業そのものでそんな巨大な利益が出るような段階ではないようです。

そこでテスラの時価総額をみましたら、驚く勿れ1兆4000億ドルです。それも、トランプさんが当選して70%増えた結果だそうです。

マスクさんがテスラの株の何%を持っているのか知りませんが、トヨタの時価総額の3300億ドルに比べてその巨大さが知られます。

ついでに車の生産台数で見ますと、トヨタは世界で約1000万台、テスラは僅か181万台(2023年)という事で、この差にまた驚かされます。台数は年に3割ほど伸びているようですが、倍になっても知れています。

こうした比較から解ることは、マスクさんの資産は、テスラの生産、販売という実体経済の利益でで成り立っているのではなく、株価の値上がりで生じているものらしいという事です。

経済学的に言えば、テスラ社の将来の利益と株価の値上がりの期待が織り込まれた株価の上に載っている資産価値という事でしょうか。

嘗て、アマゾンが創業した頃、長い間配当もないのに株価が上がって不思議がられたことがありました。アマゾン発展の今その回答が出ていると言えるのか計算はしていませんが、テスラの答えはだいぶ先でしょう。

電気自動車が大事のマスク氏が、ガソリン車重視のトランプ大統領にすり寄ったのも何かあると勘繰る人もいるようです。

という事で、最近の新自由主義の経済は、実体経済と次第に縁遠くなって、付加価値を作るよりも、思惑や期待感、人気と射幸心が入り混じった巨大なマネーの世界が、政治にまで影響力を持つ巨大な人工マネー空間として広がるという姿になっているようです。

ラストベルトを復活させるといトランプさんの実体経済のレベルでの公約が、新自由主義経済を使って成功するのか、地べたからですが、「高みの見物」と洒落込んでみるのもいいかなという所でしょうか。


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