tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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消費者物価、国内物価はほぼ安定へ

2024年07月19日 14時24分24秒 | 経済

今日総務省統計局から2024年6月分の消費者物価指数が発表になりました。

今、消費者物価指数は2つの意味で大変重要です。1つは日銀が金融政策の変更、現状のゼロ金利政策を変更して日本経済を金利が機能する正常な状態に戻す政策に踏み切るための条件として2%インフレ目標を重視しているという点、もう1つは、毎月勤労統計の賃金指数の上昇が、物価の上昇を上回ることが消費不振によるゼロ・低成長経済脱出の必須条件となっているという点からです。

まず前者の点から見ますと、日銀のインフレ目標2%というのは「賃金上昇を伴う消費者物価指数の上昇と言っているところから、日本の国内経済が生み出す消費者物価指数の上昇が2%というのが基本的視点だろうと思われます。

これは消費者物価指数でいえば、「生鮮食品とエネルギーを除く総合」に近い概念だと思われますので、下に掲げるグラフでいえば、緑の線に当たります。

消費者物価主要3指数の推移(総務省「消費者物価指数」)

消費者物価主要3指数の対前年上昇率(%、出所:同上)

図で見ますと、緑の線は、上のグラフ、指数自体では5月、6月は106.6で横ばい、対前年上昇率は下のグラフで見ますと5月2.1%。6月2.2%でほぼ2%になってきています。青の線はエネルギー関係の上昇を反映、赤の線は天候不順による生鮮食品の価格上昇をを反映して多少の上昇基調です。

日銀が、国内経済の基本的な動きを重視しているとすれば、政策金利の正常化(引き上げ)はそろそろ視野に入るということでしょう。

一方、後者の毎月報道されている実質賃金低下傾向につきましては、2022年4月から、この5月まで25か月連続で対前年実質賃金低下という長期にわたる異常事態で、6月の数字が発表される来月上旬が待たれますが、感じでは少し難しいかなです。ボーナスが入る現金給与総額では、ボーナスが良かったようですから可能かもしれませんが。   

ところで、もともと金融政策で賃金を上げることは、日本では難しいのです。黒田前日銀総裁は、アジア開銀におられ、為替が安くなったり輸入インインフレとなれば、たちまち賃上げ圧力が強まり国内インフレに転嫁されるという世界の常識の中で、大幅円安となれば2%インフレは容易に可能、後のインフレ抑制が大事とお考えだったのでしょう。

所が、日本はそうでないのです。日本は、「賃金は経済成長率にリンクすべし」という稀有な認識を労働組合、企業の従業員が持っている国なのです。

この読み違いが今に至っているのですが、連合が本気になって、物価上昇を大幅に上回る賃金獲得に動かなければ実質賃金はなかなか上がらないでしょう。

この辺りを日銀も、企業労使も、もちろん政府も、理解しないと、実質賃金上昇ははかばかしくなく、そのせいで、金融正常化(金利引き上げ)もやりにくいという困った状況が続くのではないかと心配しています。


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