いよいよ選挙戦に入りました。選挙の争点は、国民の立場からすれば大きく2つでしょう。
1つは、政治改革です。はっきり言えば、自分のためではなく国民のための政治をしたい人が政治家になるシステムを作る事でしょう。
2つは、日本経済の活性化です。少なくとも2~3%の実質成長率が安定的に達成できる日本経済を作り上げることでしょう。
差し当たって、この2つについて、国民が納得できるような状態になれば、マスコミの報道が、聞きたくないような問題が次から次といったことも少なくなり、国民の表情も明るくなって、日本はさっぱりと住みやすく、誰もが何かやる気になるような社会になるのではないでしょうか。
お読みになる方々には、多分、それは大変結構なことだけれども、簡単に出来ることではないですね。それでみんな苦労しているのですから、と言われそうです。
確かにおっしゃる通りです。しかし本気になれば、方法はあります。
私は政治のことは素人なのですが、まず50%台の投票率を90~100%に上げれば、現状は大きく変わるように思います。これは国民が本気になれば出来ることです。
経済の方は多少知識もありますからアベノミクス以来(円レートが正常化して以来)の失敗を正す方法はほぼ解っています。
為替レートの正常化は政府・日銀の問題ですが、それが出来たら、あとは民間労使の問題です。政府・日銀はレフェリーかせいぜいアドバイザー役に回って、民間労使に「分配と成長の問題」への取り組みを「頼むよ」と任せるのです。
経済成長は、基本的には「分配の結果」として決まってきます。これは政府には出来ません。労使の分配、具体的には賃金決定(理論的には労働分配率の決定)が成長の最大決定要因なのです。
単純化すれば、労働分配率が高過ぎると利益が減って投資減少→成長阻害となり、労働分配率が低すぎると労働意欲の低下・消費不振→成長阻害となります。
労使が共通に望ましい成長率を目標に持ち、その実現のための適正労働分配率を労使交渉で実現したとき成長率は極大になるのです。
適正労働分配率より高めの分配になるとその分インフレになります。
2%程度のインフレならば許容範囲というのが常識となるようです。逆に、低めになるとその分デフレになります。デフレには許容範囲はありません。理由は「デフレ3悪」をご参照ください。
アベノミクス以来日本の政府がやってきたのは、労働分配率が高すぎれば、企業に補助金を出し、労働分配率が低すぎれば家計に給付金を出すという政策です。
これは「政府の見える手」で、労使が適正な労働分配率を議論して、結果に責任を持つという経済活動についての労使の責任感を不要にし、経済の自然な動き、つまり自由経済原則、価格機構の働きを壊すもので、政府による「小さな親切・大きな失敗」なのです。
勿論、労使にも失敗はあります。最近のアメリカのインフレはその好例です。そのときはFRBが出て金利政策で労使の誤りを正すことが必要(大きな回り道)になります。
オランダのワッセナー合意(1982年)は、かみ合わない労使の議論に政府がアドバイザー役を果たし政労使3者協力で成功した稀有の例で有名になりました。
さてそれでは、今の日本ではどうすればいいのでしょうか。この最も肝心な問題を書こうとしたのですが、長くなってしまうので、次回とさせて頂きます。