前回書いてきたことは、
政治改革では、まず今度の選挙で、投票率を90~100%に上げること。
成長経済のでは、賃金上昇の加速を労使でやること。政府は補助金や給付金などを出さない事です。
今回の選挙の公約でも、消費需要不足で経済が伸びないのだから、消費を増やすために給付金を増やせ、減税をせよという「政府の力で消費を増やす」政策を言っている政党がありますが、それは厳禁です。
政府支出を増やせばツケは結局国民に回ります。もともと国には金はないのです。国民はそれを知っています。
国民が消費を増やすのは、自分で稼いで収入が増えて初めてその気になるのです。労使が頑張って会社の業績が上がり賃上げが増えて初めて従業員は消費を増やす気になるのです。
つまり、政権を取っても、現実に減税ができる環境にないことは国民はみんな知っていますから、そんな公約はすぐ剥げてしまうと思っています。
頼りになるのは自分の働いている企業です。
企業は「労使」から成り立っています。株主もいますが、株主も企業が順調に発展してくれれば喜ぶはずです。
ただ、マネーゲームで株を持っている株主もいますから、そういう株主は要注意です。株価だけ上げたい株主の思惑に引っかからないようにしましょう。
話を元に戻して、では賃金を上げるにはどうするかです。これは今春闘の連合と経団連の意見や態度からも判断可能でしょう。
今春闘では、大手企業中心に満額回答が軒並みでした。要求以上の回答さえもありました。バブル以前でもこんな記憶はありません。
つまり企業には「賃金支払い能力」があるのです。しかし連合の要求が5%以上ですから、それ以上出したら連合に失礼と思う経営者もいるのではないでしょうか。
客観的にも2年ほど前まで、円レート110円ほどで経営をやっていたのです。一時160円まで行きましたが、今の140円台でもドル建ての日本の賃金は大幅に下がっていて、賃金支払い能力には余裕があるのです。
資源エネルギ価格が上がっているという意見もありますが、これは世界共通ですから日本だけ不利になることはありません。
つまり連合が、日本経済の低成長を気にして、賃金要求を控えめにして来ていたこともあって、労使の分配は「使」に偏り、「労」に行き渡っていなかったのです。
これは、国民経済レベルでも、法人企業統計レベルでも確認できることです。
経済活動を活発にするには軽度(2%)のインフレが良いというのは定説で、日本政府・日銀もそう言っていますが、これは経常的なホームメイドインフレを指すこと日銀はよく知っています。
アベノミクス以来の賃上げは、賃上げの担当者でない政府の「官製春闘」という「言葉」だけで終わっていて、「労使」は本気で参加していませんでした。今の分配の不均衡はその積み上げですが、消費不振が経済成長を阻害していましたから、一見「低成長、低賃上げ」がバランスしているように見えていたのです。
ここまで見てくれば、ご理解いただけると思いますが、今は、これまでの基調的低賃上げ経済を、賃上げ主導で逆転し、高賃上げ→消費支出増→経済成長実現→高賃上げ、という、高賃金決定主導の経済活動の方向への転換開始の時期なのです。
そんなことをしたらインフレになって…、などというご意見もあるかもしれません。しかしホームメイドインフレ(賃金インフレ)が2%以上になれば、日銀は金利引き上げでインフレ抑制が可能ですし、連合が、賃金要求を少し引き下げればいいのです。
という事で、当面の賃上げ要求は 7~8%というのはどうでしょうか。
経営者は、昔のように業績が上がれば報いる相手は従業員、株主には定期預金を多少上回る程度の利回りでご納得いただく、マネーゲームには出来るだけ与しないという経営方針、企業は社会のために存在する「公器」であるという自覚が必要なようです。