tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

主役だれ? 明日の経済 年の暮れ

2023年12月30日 14時01分20秒 | 経済

政治の泥沼を這いまわっているニュースの中ですが、経済面では、昨日今日のニュースは、「2023年、日経平均は28%上昇」というのがトップのようです。

確かに株は上がりました。しかし株価が上ってもGDPが増えなければ日本人の生活はよくなりません。ウォーレン・バフェットが日本株を囃して海外の日本株買いがあったり、アメリカの金利引き上げで円安になり為替差益で潤ったりしましたが、来年は円高のようです。

日本の実体経済は相変わらず停滞のまま年を越すことになりますが、過ぎたことは仕方がないとして、その中から学ぶべきことを学び、来年に生かしてこそが発展のプロセスでしょう。

その意味で大事なのは、アベノミクス以来の、何でも政府が主導し、政治分野では、野党はその欠陥を突くことでけに専念し、自分たちが政権を取ったらどんな日本にするかという一番大事な主張を忘れているのではないかといった問題があります。

そして経済分野では、政府が赤字国債を原資にいろいろな補助金や給付金を出すのに迎合し、もっと手厚くと言ったり、雇用や働き方まで政府が指導したりで、民間産業の自立、労使の協力が基本といった民間の自主性や気概の希薄化が顕著の様に思われます。

嘗ては民営化が大きな課題でしたが、これは産業の発展には民間の自主性と自立が大事という基本に基づくものでしょう。経済は官営では上手く行かないのです。

そして、産業の自主・自立にさらに踏み込めば、SDGsの理念に基づく付加価値生産性の向上こそが産業の使命であり、その実現のためには、生産性向上を実現する労働と資本の組み合わせ、そのベースとなる労使関係、就中、賃金決定が重要なのです。

その賃金決定についてまで、政府が発言し、それに影響されるようでは、産業の自立は望めません。

戦後の日本産業の発展は、試行錯誤を繰り返しながらも、労使がその立場を主張し、付加価値生産性の向上と、労使の分配関係ありかたを、年々の春闘の経験の中で積み上げ、その成果で、欧米がスタグフレーションの呻吟する中、「ジャパンアスナンバーワン」と言われるまでになっているのが日本の経験です。

この成功は「プラザ合意」の円高により一挙に突き崩されました。それから約30年、黒田日銀による円レートの正常化でようやく円レートは正常化されました。

残念ながら、円レート正常化にも拘らず、その後のアベノミクス流の政府主導方式が、円高対策で疲れ果てた日本産業界の自主性回復を阻害する事になってしまいました。

昨年に至って、長らく失われた産業界の自主性回復の動きが出て来たようです。パッチワークばかりの政府に愛想が尽きたのか、コロナ終息で元気が出たのか、矢張り産業界、産業労使は自力で経済・産業活動を回復すべきという雰囲気が感じられます。

消費者物価を押し上げている一斉値上の動きも、その表れでしょう。これに対して労働組合の賃上げ意欲の高まりも生まれつつあります。

これを単なる労使紛争でなく「労使こそが産業の発展を担う原動力」というより高邁なレベルに引き上げる(かつての日本の労使関係を思い起こす)動きも見えるようです。

来年の日本経済は、こうした動きの進捗に支えられた新時代の動きの出発点にしたいものです。


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