tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

連合、最低賃金を2035年1600円超に

2023年12月23日 15時01分42秒 | 労働問題
来春闘で、連合が今春の要求の定昇込み5%に「定昇込み5%以上」と「以上」を付けただけの要求を掲げたところ、金属労協が今年の6000円要求を10000円に、基幹労連が今年の3500円要求を12000円に引き上げて、来春闘に向けての強力な賃上げ意欲を示しました。

労組のナショナルセンターである連合としては些かモデストに過ぎる要求基準という雰囲気になってしまったかなという感じを受けていたところに、今度は連合が、今年時給1000円という目標を達成した最低賃金について、2035年までに1600円以上に引き上げるという目標を固めたという報道がありました。

連合の意識としては大企業の賃上げで中小企業との賃金格差が拡大しないよう、最低賃金の引き上げで格差是正をという意識が強いと思われますが、12年で6割上げるというのは年率4%です。長期計画も長期に過ぎる感じです。その間何が起きるか・・・。

ところで、今年は4%の最低賃金の上昇が実現して1000円乗せになったわけですが、この所の最低賃金の急激な引き上げは、厚労省主導のもので、審議会では公益委員が厚労省の方針を示し、当然労働側は引き上げに賛成、使用者側はが反対しても2対1で多数決というケースが多いようです。

一方厚労省はこの夏に2030年代半ばに最低賃金を1500円にするという目標を掲げていますから、連合の目標は政府と連合の合意でほぼ達成でしょう。

それはそれでいいにしても、問題が2つほど残るという気がします。
1つは、これで格差是正が目に見えて進むかという問題、2つは、最賃引き上げで、非正規労働者の問題は解決するのかです。

賃金格差問題の発生は、基本的には、企業の非正規労働者の多用によるものです。雇用構造からみても、格差拡大に発する種々の社会問題から見ても、正規労働者として働いて家計を支えるべき人が、正規雇用者になれないという問題こそが主因でしょう。

嘗ての円高不況の中でコスト削減のための窮余の一策だったはずの非正規雇用の増加が円安になってももとにもどらないという経営者の行動を正していくのは、連合の大きな役割ではないでしょうか。(連合は正規雇用者の組織といった意識はもうないはずです)

これは連合自身が、経営者と話し合わなければならない問題でしょう。
非正規雇用4割という現実が、如何に格差問題を含む社会問題に大きなひずみを齎しているかを説き、労使の徹底した真剣な取り組みによって解決すべき問題ではないでしょうか。

最低賃金引き上げで政府・労働の協力も結構かもしれませんが、雇用構造の是正といったより構造的、本質的な問題についても、ナショナルセンターとしての連合の、経営者の在り方につての積極的発言が大いに期待されるところではないでしょいうか。

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