今日の国会の議論を聞いていましても、「賃金を上げなければならない」、「特に中小企業の賃金引き上げが必要」といった意見については、与党の野党もみんな賛成ということのようです。
法律制度を伴う細かな点については、国会で議論する事が必要でしょうから、「103万円の壁」というだけではなくて、制度を変えて、同じ賃金でも、手取り(可処分所得=消費性向を計算する際の分母)が増えるようにするのは、具体的に法律制度をどう変えなければならないかといった問題は、国会で、きちんと詰めなければなりません。
これは数兆円というコストのかかる問題ですから、政府が身銭を切ってやるのでなければ、税制改正が必要です。
与野党もこの点では、方向は一致しているようですから、十分に熟議して、合理的な一致点を見出してほしいと思っています。
勿論、この問題は、早速問題になっている中央と地方の問題を始めとして、より本質的な問題としては、所得税制の累進税率をどうするかという問題を含むでしょう。
嘗ての日本のよう極端ともいえる累進税率に帰ることは考えられないとしても、与党の中にも、富裕税といった構想もあるようです。何が富裕かという問題は、多分大議論になるでしょうが。
こうした発想はすべて、基本的にはこの所の日本の格差社会化が、与野党共に掲げている安定した中間所得層の拡大という目標を達成困難にしているので、何とかしなければという意識に根差すものでしょう。
思いが共通であれば、与党も、自分たちが壊してきた、この30余年の日本を何とか再建しようと謙虚に考えることもできるでしょう。
勿論、政治が直接手を下せることは、こうした法律制度の整備に限られていることも事実でしょう。
今日の国会の議論などを聞いていますと、賃上げ、特に中小企業の賃上げといった言葉が次々と出て来ます。しかし、本来、政府には賃上げ能力なく、それは労使の専権事項です。
現実には、労働サイドには立憲民主党は連合と関係がありますし、国民民主党は電力労組などとの関係があります。自民党はというと関係は経団連という企業サイドですから、政治献金も賃上げもとは言いにくいでしょうし、政治献金はやめても賃上げをとは言わないでしょうから、政権与党の権限である補助金や給付金を非課税世帯などへのバラマキを言います。これは結局、国民からの借金で将来の国民負担です。
補助金や給付金は、結果的には正常な経済活動を狂わせる弊害の方が大きいのですが、政権は、身銭を切るわけではないので、好んでとる方法です。
こうした三角関係か四角関係か解らない背景の中で、共に、中間所得層の拡大という共通目的を追求するのが今国会なのでしょう。
本当に大事なのは、労使が中間所得層の拡大をしやすくするような国際、国内の環境整備に成功するかですから、ここは自己都合はすべて二の次にして、本気で日本経済・社会の再建に集中してほしいと思っています。