tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

賃上げ継続、人手不足、休日増加、生産性向上

2025年01月11日 14時20分49秒 | 労働問題

今春闘では高めの賃上げを継続するのが主たる問題でしょう。しかしそれに加えて休日増、労働時間の短縮や弾力化といった問題も提起されているようです。

労使が春闘を機に、労働条件に関わる種々の問題を話し合う事は、労使のコミュニケーションの促進、ひいては労使関係の安定や進化のために大変結構だと思うところです。

嘗ては、賃金は春闘で、制度その他の問題は秋闘でとの慣行もありましたが、長期不況の中で忘れられたようです。ようやく賃上げだけは戻ってきましたが・・・。

本来、賃金・雇用・労働時間といった問題は、労使関係、労働問題の基本的な部分ですから、労使で、勿論政府も、十分な話し合いをしながら、検討し、経済環境、社会状況に応じて適切な配慮をしなければならない問題です。

企業は、「財やサービスを生産」するのと同時に、社会に対し、安定した雇用、適正な賃金、合理的な労働時間その他の「労働の場」を提供するという役割を持っています。

そして、提供する生産の成果においても、労働の場においても、その量も十分であり、その質も時とともに改善されていかなければならないのです。

経営サイドは生産の面により関心があり、労働サイトは,労働条件により関心があるのでしょうが、それを十分に摺り合わせて、労使関係をwin=winの関係に持っていく事が望まれるのです。

そこで登場するのが「労働生産性向上」の概念です。労働経済学の公式から言えば、労働生産性向上の成果は、賃金上昇と労働時間短縮に分配されるという事になります。生産性3原則をご記憶の方も多いと思いますが、①雇用の維持拡大、②労使の協力と協議、③成果の公正な分配の3項目です。

このブログでは、就業者一人当たりの実質GDPが「国民経済生産性」で、その伸び率が賃金上昇の基準になるといった説明をしています。GDPは所得分配の面では、雇用者報酬(人件費の総額)、営業余剰(企業の総利益)、財産所得(利子配当、時代家賃など)ですから、実質GDP成長率と実質賃金が同程度の伸びなら労使の分配関係は変わらないという考え方です。

所が現実を見ますと、この30年ほど日本の実質GDPはほとんど増えていませんから、賃金の上がらないのは当然なのです。このところ円安などで、少し企業利益の方に配分が多くなっていますので、そういう企業は連合の要求より高い賃上げをするようで、日本には真面目な経営者も多いようです。

ただ、企業はそれぞれに生産性向上に頑張っているのですが、なかなか生産性は上がりません。その結果、GDPはなかなか増えない、経済成長しないという事ことで、日本済の労働生産性は、一人当たりGDPの世界ランキングの低下とともにランキングを下げて現状では世40位ほどまで落ちました。

ここいら辺りで、かつて盛んだった生産性向上の議論をもう一度復活させる必要があるように思っています。


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