tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

真実は外国から:安倍さんの忖度?

2018年10月12日 21時41分48秒 | 政治
真実は外国から:安倍さんの忖度?
 しつこいようですが、安倍政権に日本の将来を期待する立場の国民としては矢張り指摘しておかなければならないと思いつつ書いています。

 加計学園問題では加計理事長が先日記者会見しましたが、関連資料に目も通さず、およそ不真面目なものでした。
 森友問題ではごみの埋まった深さの正確性がまた問題になっています。
 国民の疑念がいつまでたっても払拭されていない状況は変わっていません。説明が丁寧でないからでしょう。

 そこに、また新しい問題が出てきました。2017年2月、トランプさんとの会談の際、正式な会談の席ではなかったようですが、トランプさんから日本進出をしたいカジノの経営者がいるので宜しくというような話があって、安倍さんは「情報を有難う」とだけ答えたという報道がアメリカ側から流れてきました。

 外国との交渉で密約があったという話は、今迄もいろいろあります。
 これまでも、安倍さんが強行採決してまでカジノにこだわるのは、トランプさんから言われているからだという 情報通の発言は広く流布されていました。
 私どもは半信半疑でした。

 こうした報道が、アメリカ側から入ってきて初めて「やはりそうだったのか、」という事になってしまうのが実情です。「トランプさんの意向を安倍さんが『忖度』した」「安倍さんも忖度されるだけじゃないんだ」などという声が聞かれます。

 勿論外国から入ってくる情報がすべて正しいとは言えないのでしょうが、何故安倍さんがカジノにあそこまでこだわるのかは多くの国民の疑問でした。
 それが、今回の米プロパブリカの報道で、多くの方々にとって「やはり…」と腑に落ちたというのが現実ではなかったでしょうか。

 これまで安倍さんは、カジノへの執着について、トランプさんのことは全く説明していませんでした。ただ、外国人観光客の誘致とか、地域経済の活性化などといった、それならもっと日本経済・社会にとっていい方法があるのではないかと多くの国民が思うような説明だけでした。

 私自身も阿部さんはそんな 低俗な卑しい考えしかない人なのかと慨嘆していました。
 もう法案は通っていまっていますから、どういう展開になるのか解りませんが、国民にしてみれば、やっぱり安倍さんから納得のいく説明を改めて聞きたいと思うのは当然でしょう。

 これから、安倍さんから何が聞けるか解りませんが、将来進出企業が決まってその時初めて国民が納得するといったことにならないように願いたいと思っています。
 やっぱり日本の総理ですから、日本国民の意見の方を「忖度」してほしいと思う所です。

トランプ対FRB の確執、株式市場へ影響?

2018年10月11日 15時03分02秒 | 経済
トランプ対FRB の確執、株式市場へ影響?
 この表題が適切かどうかは解りませんが、昨日突然にNYダウが832ドルの急落を記録しました。 NY市場の影響をまともに受ける東京市場では後場に入ると1000円前後の下落となっています。

 対中貿易の関税合戦はあるものの、アメリカの雇用は一応堅調、賃金上昇率はアマゾンの最低賃金時給15ドルはマスコミに出ましたが(カリフォルニア州の最低賃金は15ドル)一般的には緩やかなものにとどまっているようです。

 経済状態としては、まあまあの状態で、これまで順調に来たNYダウが急に下がったのに対して、余り解り易い説明はありません。
 もともと株式市場というのは、こうしたことは良くあるのでしょう。それほどの景気でもないのに、ダウ平均は随分史上最高値更新を繰り返してきていますから、「マダはモウなり」でそろそろといった心理もあるのかもしれません。

 FRBが金利引き上げの姿勢を変えないという点では、景気はまだ堅調とFRBは見ているという事なのでしょうが、トランプさんは、金利引き上げはドル高を呼び、折角関税戦争をやっているのにアメリカを不利にするのかといった気持ちが強いようですから、その辺りを読んでという事もあるのでしょうか。

 いずれにしても、NY市場の動きは、何かアメリカの経済への警鐘を含むものなのか、それとも単なる高値警戒の心理・思惑によるものか、株式市場が長期的には実体経済を反映するものとすれば、矢張り実体経済の方を見てくのが良いような気もします。

 翻って日本の状況を見ますと、アメリカより大幅な下落率を記録するような要因はあまり見当たりません。昔言われた「アメリカがクシャミをすれば、日本は風邪をひく」といった時代ではありません。

 しかし、もともとマーケットというものは往々メインプレイヤーたちの思惑がリードするもののようですから、それはそれとして、米中問題が深刻化して、今回の株の下落が、この悪化を先読みしたものだったなどと言われることが無いように、米中お互いの経済を、その相互関係も含めて、大事にしてもらいたいと思うところです。

 東京市場の先行きを心配される方も多いかと思われますが、日本の実体経済はアメリカ以上に健全だと思います。マネーマーケットではいろいろありますが、日本の実体経済はまだまだ頑張っていけるのではないでしょうか。

米中関係に強まる懸念

2018年10月09日 23時19分20秒 | 国際政治
米中関係に強まる懸念
 ポンペイオ米国務長官は、日本に立ち寄り、北朝鮮で金正恩さんと会談、2回目の米朝首脳会談の打ち合わせをし、次いで、中国に向かい、中国の王毅外相と会談したとのことです。

 報道によれば、この2人の会談は、かなり厳しいやり取りになったようです。
 現状はまさに、トランプさんの仕掛けた関税引き上げ、貿易戦争のさ中ですから、平穏にいくとは当初から予想しにくいところですが、今後の展開が心配されます。

 客観的に見ても、ともにリーダーの性格 (?)から 独裁色(独善色?)を強める今のアメリカ と 終身政権の今の中国の関係がスムーズにいくことは至難でしょう。常識的に考えて、強く出れば相手が引っ込むといったことは多分考えられないでしょうから大変です。

 アメリカは、自国の万年赤字を、これまで経済的な手段でやり繰りして来ましたが、リーマン・ショックで アメリカの経済的な信用が失墜したことから、今度は力ずくの貿易戦争に解決を求めることになったようです。

 一方中国は、将来戦略の基盤に、世界の資源を握ることに置いてきたようで、南シナ海進出では国際世論を無視し、 国際仲裁裁判所の裁定すら「紙屑」と決めつけ、最近では アフリカの資源に目をつけて経済協力の金の力で、資源獲得に動いていると指摘されたりしています。

 リーダーの個人的な考え方においても、トランプさんの(世界の警察官はやらないと言いながら)力ずくの2国間協定方式で、競争力を失ったアメリカ産業を保護しようという自国中心の考え方、習近平さんの方は、慣例を破って自ら終身中国の首席であることを明確にし、一帯一路の完成と覇権の確立を狙うと評されたりしているといった、まさに世界を舞台のライバルということになるようです。
 
 現状では米中の対立と言っても、お互い立場によるゼスチャーもあり、舌戦は激しくても、どこかで妥協点を探ろうという駆け引きの中の行動と考えるべきでしょうが、往々これが本気の争いに発展するというが歴史の示すところです。

 その危険性は、リーダーの独裁志向にも大きく依存するようなので、米中首脳の本心は知るべくもありませんが、何か、あまりいい感じのしない状況が進んでいるようで、どうすればもう少し良い世の中になってくれるのかな、などと考えてしまいます。
 「杞憂でしょうか」というのは、中国の諺ですから、トランプさんではなく、習近平さんに聞くべきなのでしょうか?

車の世界、HV いろいろ、面白くなりそうですね

2018年10月08日 16時08分50秒 | 科学技術
車の世界、HV いろいろ、面白くなりそうですね
 日産がノートという車を発表して、ガソリンエンジンで発電、その電気を蓄電池に貯めてモーターで走る方式だというので、何か不思議でした。
 それなら直接エンジンで走った方が効率が良いのではないかと思ったからです。

 説明によれば、「ガソリン→エンジン→エンジン走行」よりも「ガソリン→エンジン→発電→蓄電→モーター走行」の方が省エネで効率的になるな理由は「ガソリンエンジンが常に最も効率がよい状態で発電するから」ということだそうで、そういうことかと納得しました。

 電気自動車(EV)の泣き所は、充電に時間がかかる、航続距離が短い、の2点で、さらに寒冷地で暖房に電気を使うと航続距離は更に短くなる点もあります。

 PHVや、電池そのものを入れ替えるという工夫もありますが、十分な解決にはならないようです。

 ところで日経産業新聞によれば、今度は、小さくて効率的なガソリンエンジンをEVに装備し、それを必要に応じて作動させ発電して、EVの航続距離を長くする工夫が実用化されてくるようです。

 三菱重工はお得意のガスタービンエンジンを超小型化して効率よく発電する装置を開発するそうで、マツダはお得意のロータリーエンジンで静かに発電して、共に必要に応じて随時畜電池に発電した電気を供給すといった方法で、航続距離を伸ばす構想だそうです。

 BMWは自社で作っている二輪車のエンジンを使って、実用化していると日経産業新聞は報じていますが、小さなガソリンエンジンを併設して、効率的に必要に応じて随時充電し、省エネと航続距離延長に役立てば、また新しいタイプのハイブリッド車、丁度日産ノートと従来のHVの中間の様な構造のHVになるのでしょうか。

 報道にはありませんでしたが、随時エンジンも動かして発電するということになりますと、電池をあまり大きくしなくてもいいのかもしれませんし、さらに、エンジンから発生する熱は、暖房にも使えるわけで、寒冷地でも航続距離を気にしなくていいようになるのかもしれません。

 いろいろ出て来て選択に迷うかもしれませんが、生活必需品の自動車です、こうした開発競争は、大歓迎で、楽しみにしつつ、成果を期待したいところです。

就活ルール、政府主導へ・・・?

2018年10月07日 10時02分51秒 | 就活
就活ルール、政府主導へ・・・?
 新規学卒の就職活動のルール、いわゆる就活ルールについて、去る9月、経団連会長が、経済団体として采配することには「極めて違和感がある」として「採用選考に関する指針」からの撤退(2021年卒から采配をやめる)を表明しました。

 これに対して、安倍総理は、現状のこのルールは(学業と就職活動のバランスという立場から)、みんなで守って欲しいという発言をしていました。
 経済団体の間でも、マスコミ上でも、ネット上でも、賛否両論が伯仲していたようで、どちらに軍配ということにはならなかったようですが、経団連はその役割から降りることを決めたようです。

 就活ルールについてはこのブログでは、一応の意見を述べていますが、その後どうなるかと経過を見ていました。

 現状の就活ルールを前提に、安倍総理は「守るべき」と発言していましたが、具体的な動きを見ますと、経済界を抜きにして、政府主導で大学側と話し合いを進めるのではないかという様子も見えるようです。

 最近の動きでは、安倍総理率いる第4次安倍改造内閣は、一昨日、首相官邸で「未来投資会議」を開いて、生涯現役社会を目指し、全世代型社会保障制度改革を進め、その中で「雇用制度の改革」を検討するということのようです。

 雇用制度改革については、まず高齢者が働き続けられる環境を整備し、社会保障制度の安定化を図るとともに、日本型雇用慣行を見直すことの中で、「 新卒一括採用の見直し」や、中途採用の拡大の重視についても、具体的な検討を進めることを考えているようです。

 現状では、この会議での検討が、就職ルールについてどんな方針を出すのか予測の外ですが、学生、大学、企業が夫々に意見を持ち、これまで何十年もも試行錯誤を繰り返している問題を、政府主導(大学と企業の代表も1人ずつ入っていますが)で決めて「みんな守れ」といっても簡単にうまく行くとは考えられません。

 働き方改革もそうですが、現政権は日本的経営についての理解が極めて薄いように思われます。日本では企業は人間集団で、欧米とは背景の文化が違います。今の企業は、リーマンショックの後遺症で日本的経営を踏み外したりしていますが、いずれ戻るでしょう。

 日本的経営は「人間中心と長期的視点」の2つが特徴で、そのベースには「人間の育成には時間がかかる」という本質の理解があるのです。
 新卒一括採用は、 若年層失業率を世界でもダントツに低くしていますし、生真面目で勤勉な社会人の育成に大きく貢献してきています。
 これは、企業が新卒採用を控えた就職期氷河期世代の経験からも明らかです。

 実は戦後からの経験で、現場ではあるべき姿はほぼ見えてきているのでしょう。当事者が皆、余り従いたくないようなルールを作ってみても、「労多くして功少なし」ということになるのではないでしょうか。

 当事者同士が何十年もいろいろやってきて結局うまく行かないものを、政府が頭ごなしに決めてみても、役に立ちそうにありません。
何より、日本の文化・社会・企業の在り方に適したものでないと、「人」に関わる問題はうまく行かないものだとつくづく思うところです。

勤労者所帯の消費性向上昇に転じるか?

2018年10月05日 16時59分32秒 | 経済
勤労者所帯の消費性向上昇に転じるか?
 今日、総務省から家計調査報告が発表になりました。
 定点観測のようなつもりで、毎月、勤労者所帯の平均消費性向を追いかけていますが、今年の8月は75.7%で昨年8月の75.2%に比べて0.5%ポイントの上昇ということになりました。
 昨年8月から今年の8月までの13か月の数字はこんな状況です。



 月々の数字は季節変動その他変動が大きいので、傾向の判断には、対前年同月の変化を見ることになるのですが、今年は1月に前年比3%ポイントの上昇があり、年が明けて消費性向にも変化が出るかと期待しましたが、この期待は全く外れて、2月以降は毎月大幅な低下ということになり、勤労者の家計はますます倹約をして貯蓄の励むといった状況でした。

 春闘の賃上げもそれなりにありましたし、景気全体としては決して悪くないのに、サラリーマンの家庭は消費を抑え、貯蓄に精励ということで、サラリーマンの将来不安はここまで大きいのかと、迷走する政治に愛想が尽きる気分でした。

 夏のボーナスが比較的良かったせいでしょうか、あるいはこの夏の異常な暑さのせいでしょうか、7月から、消費性向の落ち込みは小さくなり、8月に至ってかすかながら上昇に転じたのは、確たる理由は掴めませんが、日本経済には良い影響が出てくるはずです。

 このブログでは、消費性向の低下、消費不振による経済の低迷について、今迄もいろいろな角度から見て来ましたが、基本的には格差社会化の進行、公的年金への不安、退職金や企業年金における不確定要素の拡大(確定拠出方式の導入など)少子高齢化についての政府やアカデミアの深刻化を予想する発言などなど多様な要因が絡み、さらには貯蓄しても貯蓄してもゼロ金利で貯蓄が増えない状態などもあるようです。

 貯蓄して将来に備えるという行動が一般的になると、消費不振が経済成長を阻害します。能天気と言われても、アメリカのように金を使ったほうが景気は良くなります。
 貯蓄しすぎもまずい、カネの使い過ぎもまずいということになりますと、では「どの程度使えば丁度いいのか」ということになりますが、1つの判断基準は経常収支でしょう。

 アメリカは経常赤字の国、日本は経常黒字の国です。日本の経常黒字は年に20兆円、GDPの4%近くです。そこまでは使っても、赤字にはならない。生かして使えば経済は活性化するのですが、さて、誰がどう使うかが難しいところです。

 「あなた使いますか」と言われれば、「我が家は老後のために貯蓄です」というのが今のサラリーマンの家計でしょう。
 誰もが、危険を冒して金を使ってしまうのは、例え日本経済のためによいといわれても賢明ではないと考えるでしょう。
 この問題の解決には、政府が、国民がの将来について、安心できるようなビジョンを示し、国民と共に実行するしかないでしょう。

 世界一金持ちと言われる日本ですが、政府は世界一の借金政府です。こんな変な組み合わせに長い年月をかけてしてしまったのはやはり日本の政治だったのでしょう。

言葉尻を掴まえるようですが・・

2018年10月04日 13時38分11秒 | 政治
言葉尻を掴まえるようですが・・
 第4次安倍改造内閣が発足しました。さて、この内閣は国民のために何をしてくれるのでしょうか。

 総理を長くやっている安倍さんには、かなり常識的でない発言が目立ちます。女性大臣が一人になって、当初安倍さんが言っていた女性活躍社会、女性活躍が日本を変えるといった女性重視の方針が、だんだん先細りになってきたようです。

 これも、選んで大臣に抜擢した女性たちが、必ずしも国民の期待に応えるような活躍が出来る器でなかった結果のような気がしていますが、今回は一人になっていまった女性大臣は、安倍総理に「3人分働いてください」と言われたと言っていました。

 それで本来の女性活躍社会の方針との整合性があるとはとても考えられませんが、こうしたいい加減な発言でお茶を濁すというのが、精神的な腐敗の始まりではないかなどと心配してしまいます。

 「真摯に」「丁寧に」に説明、という言葉は相変わらず出ている様ですが、今迄の森友、加計問題でも私共に解るような説明は聞かれません。
 時間切れにならないように強行採決を平然とやりながら、「強行採決などは考えたこともない」という説明には納得する人はどのくらいいるのでしょか。
 財政再建については、2020年という目標を決めながら、現実には殆どやらない(出来ない)という実態についての説明も「財政再建の旗は降ろしません」だけでした。そんなことは当たり前で、説明になっていないと感じました。

 第4次安倍内閣の目的の第1は改憲だそうです。
 国民にとってみれば、財政再建も含め、税と社会保障の一体改革は、「一体」どうなっていくのか早く説明してほしいところですし、株は当面上がっていますが実体経済の低迷が続いていてもいいのかどうか、ゼロ金利継続で貯金しても利息は片道の電車賃といった状態は何時改善するのか、などなど説明はなかなか聞かれない状態で、国民は先行き不安で貯金に励まざるを得ない状態でしょう。

 国民にとってみれば問題山積で、改憲はそのあとで、ゆっくり議論すればいいのです。国民がやって欲しいことをまずやってくれるのがまともな政治でしょう。
 前回の選挙で付託を受けたといっても、状況はどんどん変わります。改憲などは国民の関心事項ではずっと下位ですね。

 安倍さんもそれは知っているようです。だから新内閣発足後の記者会見の最後に、改憲について「三分の二で発議をして、国民投票で過半数と高いハードルでありますが」と言っています。

 国民が希望していることをやるのであれば「ハードルが高い」はずはありません。国民の期待は低いが自分がやりたいことを無理してでもやろうとしているということが解っているので、「ハードルが高い」という言葉が出てしまったのでしょう。

 言葉尻を捕まえるようですが、こういう所につい本音が出てしまうのですから、やっぱり国民の思いより自分の思いが大事とお考え、などと言われるのではないでしょうか。
 以上安倍総理への諫言です。

産油国アメリカの現状

2018年10月03日 16時02分47秒 | 国際経済
産油国アメリカの現状
 アメリカがサウジを抜いてロシアに次ぐ産油国になったという記事があったので、ちょっと興味を持って調べてみました。

 以前アメリカのシェールオイル・ガスなどの生産額がどのくらいの規模のものか調べてみましたら、GDPの5%ぐらいになるといった数字があり、嘗てはアメリカの経常赤字がGDPの4~5%でしたので、 丁度赤字を消すぐらいの規模だとびっくりしたことがありました。

 その後アメリカは韓国や日本にLNGなどを輸出するようになったようですが、ロイターによれば、2016年まではゼロだった中国輸出が今年1月には日量40万バレル、10億ドルと報道されています。
 12ヶ月にすれば120億ドルですから、かなりの額でアメリカの対中国貿易赤字(4000億ドルほど)の緩和にどんな役割を果たすのでしょうか。

 そこで、ついでにアメリカの、原油、石油関連製品の輸出の統計を見てみました。
 U.S. energy information administration 発表の資料ですが、それまでずっと横ばいだった数字が2005年あたりから伸びはじめ2010年以降は急速な伸び昨年は2005年の6倍になっています。



 アメリカの貿易収支の赤字が異常な大きさなので、2018年に入っての貿易赤字の縮小は見られるものの、まだまだトランプさんの活躍が必要なのかもしれませんが、アメリカが世界一の産油国になるかもしれないといった可能性は、トランプさんの貿易戦争に今後影響して来るかといったことも起こりうるかもしれません。

 先月、日本の国際収支の構造変化を取り上げましたが、アメリカは、サービス収支と第一次所得収支は、万年黒字の状態です。
 本当は、この万年黒字で経常収支全体の黒字を維持すべきなのでしょうが、消費中心の経済成長路線が行き過ぎて、消費し過ぎになり経常赤字、借金国家に転落ということになったのでしょう。

 逆に日本は、消費の不振が経済の足を引っ張って、思うように成長しないという現状ですが、アメリカは消費に行きすぎ、日本は消費過少(貯蓄に行きすぎ)、という形のようで、中庸を保つというのはなかなか難しいのかもしれません。

当面の景気はピークを過ぎたか:日銀短観

2018年10月02日 12時42分06秒 | 経済
当面の景気はピークを過ぎたか:日銀短観
昨日、9月時点の調査の日銀短観が発表になりました。結論から言うと、景気はピークを過ぎたかなといった感じです。
 勿論、異常事態でも起きない限り、世界経済は多様性はあっても総体的には安定上昇基調の中にあるようですから、日本の場合もこのまま景気が下降を続けると考える必要なないのでしょうが、当面不安定要因が多すぎ、企業は慎重の度をいくらか強めているという所ではないでしょうか。
 
 短観の最初の表を見ますと、こんな状況です。



  景気を主導する大企業の数字では、「良い」企業の割合から「悪い」企業の割合を差し引いた結果は、製造業では、6月調査の21から19に2ポイント減り、非製造業では24から22への同じく2ポイント減っていますが、先行き(3か月後)については横ばい、つまり現状程度で推移するという見通しになっています。

 中堅企業では、同じように見て来ますと、製造業が20から15ㇸ5ポイント減、先行きについても2ポイント減、非製造業では20から18に2ポイント減、先行きは3ポイント減となっています。

 中小企業では、製造業が14から14で変わらず、先行きは3ポイント減、非製造業は8から10へ2ポイント改善、先行きは5ポイント減となっています。

 先行きは慎重に見る傾向があることなどを勘案すれば、景気は、昨年来のピークは過ぎましたが、現状維持程度の状況は大方の視野の中という事ではないでしょうか。
 ただ、トランプさんのツイッターが突然どんなことを言い出すかといった不安は常に付きまとい、NAFTAの再交渉は、名前を変えて当面収まったという状況ですが、米中関係は、お互いの意地の張り合いから今後さらにこじれる可能性もあり、日本企業へのとばっちりも当然予測されるでしょう。

 さらには、日米間の貿易問題も、安倍さんは当面影響が出ないように確約した(交渉中が自動車の関税は上げないなど)とニコニコ顔ですが、トランプさんは、トランプさんで、日本は巨額の防衛装備品を買ってくれると国内向けには成果を自慢しています。

 FRBの金融正常化の方向が示され、当面為替は円安の方向に動いますが、FRBとホワイトハウスの確執も予断は許されないでしょうし、世界的に安定志向で改善状態にある経済に政治が波風を起すといった状況は続きそうです。

 11月のアメリカの中間選挙の結果でどうなるかも皆目わからないところで、経済にとっては困った政治家が多くなったという所が景気の最大の問題点かもしれません。
ポピュリズム化した民主主義の結果かもしれませんが、折角よくなってきている世界経済をもっと大事にしてほしいものです。