日本航空(JAL)の経営破綻から10年、今朝のNHKテレビではこの問題を報じていました。
「親方日の丸」の経営で破綻したJALが、10年後、再出発したLALは、国の支援もあり、経営の方法を改善して順調に再建が進んでいる と報じていました。
JALを一旦、破綻させ、そのドサクサに働くひとを理不尽に首切りした上での再建です。私は、国鉄民営化の時とおなじでやり方だと思います。今、話題の日産も、工場を閉鎖し、働くものを理不尽に会社から放り出したうえでの再建だったと思います。
JAL破綻時に首を切られたパイロットや客室乗務員などが職場復帰を求めて運動を進めています。オリンピックを機に外国人の来日が急増します。私は、その足とも言うべき航空会社の争議を一日も早く解決することを望みます。
破綻10年にあたってのLAL争議団の声明を掲載しますので、ぜひ、お読みください。そして、争議解決にみなさんの力を貸してください。
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経営破たんから10 年
争議の解決なくして、JALの真の再建はない
2010年 1 月 19 日、日本航空は政府主導の下で破たん、再建が進められる中でパイロッ
ト 81 名と客室乗務員 84 名を、年齢と病欠歴の基準で同年 12 月 31 日に整理解雇しまし
た。当時の営業利益は 1586 億円、人員削減目標 1500 名に対して、 1696 名に達していまし
た。また、稲盛和夫会長 当時 が記者会見や裁判で、「経営上解雇の必要性はなかった」と
明言した解雇でした。
この間、「地位確認訴訟」と「不当労働行為事件」の二つの裁判が争われてきまし
た。地位確認訴訟では、 2015 年 2 月に最高裁で「管財人の行った解雇には合理性が
ある」との判断が出されました。一方、解雇の過程での管財人の不当労働行為につい
ては、 2011 年 8 月 、東京都労働委員会から不当労働行為救済命令が出されました。
ところが、日本航空は「命令の取り消し」を求めて、 2011 年 9 月に行政訴訟を起こ
しました。この裁判で日本航空は、地裁で敗訴、控訴審で は 2015 年 6 月に「管財人
の行為は憲法 28 条違反」と断罪され、 2016 年 9 月には最高裁で高裁判決が維持さ
れ確定しました。
この最高裁決定について、
2016 年 10 月 20 日、参議院国土交通委員会で石井国土
交通大臣(当時)は「遺憾と申し上げた通りであります。整理解雇につきましては
(中略)日本航空において適切に対処すべきもの」と答弁しています。
日本航空の解雇事件では、
2012 年 6 月に ILO から勧告も出され 、 2 018 年 11 月ま
でに 4 度の勧告が出されています。勧告は「意義ある対話」の重要性を強調すると
と もに、「結論に 至るべき完全かつ率直な討議が維持されるべき」というものです。
また二次勧告では「経済的理由による解雇の後に再び雇用される 職場復帰 労働者に
関して、彼らの見解が十分に重きをおかれることを目的として、今後の採用計画にお
いて、全ての労働組合との協議が確実に実行されることもまた期待する」として、被
解雇者と労働組合の見解に基づき協議されることを要請しています。客室乗務員につ
いては解雇以降 5600 人以上を採用している一方で、 ILO 勧告を履行せず、 2016 年 10
月に 労働組合と 私たちが策定した 統一要求 にも答えていません。
2018
年 4 月の経営協議会で、赤坂社長は「出来るだけ早く解決 したい」と発言、 5
月 14 日には「解決に踏み出す」との会社発表がありました。これを受けて、これま
で 13 回の特別協議が開かれましたが、会社提案は新規採用にあたって被解雇者にも
応募資格を与えるというだけのものでした。新たな募集に対して客室乗務員原告団か
ら延べ 21 名の応募がありましたが採用はゼロでした。パイロットについても新規採
用が実施されましたが、JALに乗員として職場復帰できたパイロットはいません。
日本航空は
2015 年 6 月、東京 2020 オリンピック・ パラリンピック組織委員会と
オフィシャルパートナー契約を結びました。組織委員会は「持続可能性に配慮した調
達コード」を策定して環境・人権・労働の各分野での国際条約や基準、行動規範の尊
重・遵守をパートナー企業に求めています。
破たん以降、労働条件の低下や環境整備の遅れから、客室乗務員の退職者は年間
400 人から 600 人となっています。日本航空の職場はどこも慢性的な人手不足状態が
続いています。そうした中、国土交通省 から 1 年の間にパイロットの飲酒問題で 2
度の事業改善命令を受けています。飲酒事件が相次ぐ背景として、高稼働 勤務と職場
の閉塞感が指摘されています。職場の閉塞感と解雇争議は決して無関係とは言えませ
ん。安全の基盤となる労使の信頼関係確立のためにも、日本航空は争議解決の決断を
すべきです。
2020年 1 月 15 日 JAL 不当解雇撤回争議団
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