守田です。(20111125 23:00)
ここ数日、矢ケ崎さんの講演録を、分割して掲載していますが、そこで語ら
れたことをさらに証明するような社会的事象が続いています。深刻な被曝の
兆候と思われる事態で、一つ一つに胸が痛みますが、今、私たちの前にある
危機をきちんとつかむために、お知らせせねばと思います。
今回、お知らせしたいのは、読売新聞に載った、「今秋マイコプラズマ肺炎
やRSウイルス感染症などの患者が増えている」という記事です。ただし、
この見出しはやや不正確で、例年、冬に流行していたそれぞれの感染症が
今年は6月ごろからはやりだし、感染症の流行しにくい夏にもどんどん感染
が増えて、秋になってさらに増えていることに特徴があります。参考に東京
都の感染情報や、ここ数年の年間を通した感染との差異を示すグラフのアド
レスも示しておきます。これらをみると、例年とまったく違った感染グラフ
ができていることがわかります。とにかくこの10年間の中で圧倒的な増加
です。
放射線被曝が起こった場合、免疫力の低下が起こり、あらゆる感染症にか
かりやすくなります。とりわけもともと免疫が低下している人々は、ダメー
ジを受けやすく、チェルノブイリの事故の後には、エイズ患者の死亡が急増
しました。無論、そうはいっても、今回のマイコプラズマやRSウイルス感
染症と被曝との因果関係がはっきりと証明されているわけではありません。
とくにマイコプラズマの場合は、西日本で全般的に発生が高くなっており、
とくに沖縄が高い点など、福島の事故だけでは説明がつきにくい事象もあり
ます。
しかしこうした例年と違う症例に着目し、放射線の影響の可能性を考えて、
れぞれで免疫力を高める努力を重ねていくこと、食品からの被曝を避ける、
ないしは極力減らす努力を続けていくこと、がれきの焼却によるさらなる被
曝を生まないようにしていくことなど、被曝対策を強化していくことが重要
です。
この点で重要な情報としてお伝えしておきたいのが、矢ケ崎さんが講演の
中で触れていた、チェルノブイリ事故後にアメリカで得られた感染症拡大の
データです。これは肥田医師が翻訳された、アメリカの、ジェイ・M・グール
ドが書いた『死にいたる虚構-国家による低線量放射線の隠蔽』の第二章
「チェルノブイルのフォールアウト」に書かれています。
そこでこの章から重要なポイントをいくつか引用しておきます。
「政府のデータでは1986年5月の合衆国死亡率も統計的に有意の増加である
ことを示している。統計では1986年5月の合衆国死亡率は前年同月よりもな
んと5.3%も増加している。これは1000分の1以下の危険率で統計的に有意性
があり、そればかりでなく5月度死亡で見る年度増加率は実際に、合衆国の
過去50年間のうちで最高であった。それに続く3ヶ月間の死亡率増加も高率
であった」(同書p11)
「1986年の夏にきわだって増加したのは、乳幼児、感染症疾患をもつ若年成
人、高齢者の死亡であった。これらの人たちには免疫系が相対的に脆弱であ
るという共通点がある。そこに免疫障害を起こす原因が加われば病気やスト
レスに対しての抵抗を妨害することになる。免疫機能が低下している高齢者
はそれまでに既に病気の状態といえるので、チェルノブイルの放射能は免疫
系の抵抗力を一層、弱体化されたであろう。
酔いをさませるほど驚かせる統計は、これまでになく死亡率を増加させた若
年成人の場合であろう。肺炎、感染症疾患、特にエイズ関連疾患による著し
い死亡率増加は1986年5月にピークとなり、ついで夏期に続くが、この背景に
は免疫障害があると思われる。普通ならば、夏は感染症疾患による死亡率は
もっと少なくなるものである。というのはインフルエンザなどの流行などは
大抵、冬に起きるのだから」(同書p13)
これらからも、被曝の影響で感染症の増加が起きた可能性や、もともと免疫
力が弱っていた人の死亡が増えたことが明らかで、日本でも同様の統計が欲
しいところですが、何せ3月の大災害で、多くの医療機関が被害を被り、地震
と津波によって亡くなられた方、またその後のストレスの中で亡くなられた
方も大変多く、なかなか有意な統計は出てこないのが実情かと思われます。
いずれにせよ、昨日、掲載した町田市の症例などと合わせ見るとき、被曝に
よりさまざまな疾患が増えているのは確かだと思います。こうした事態を前に
私たちがなすべきことは、まずは「腹をくくること、開き直ること、覚悟を
固めること」です。その上で「免疫力を上げる」ことが重要です。
同時に、もう実現不可能だとしてあきらめてしまわずに、汚染ゼロの要求を
政府に出していくことが必要です。とくに汚染のない地域、ないし東日本と
比べるならばかなり少ない地域で、食料の大増産を行うことが重要です。そ
れを被災地に供給したいし、しなければならない。政府や各地の行政に、
国民・住民の安全を守る義務をつきつけていくこと、あきらめずにこれを
続けることが大事です。
知恵を絞って、病の拡大に立ち向かっていきましょう!
***********
今秋、マイコプラズマ肺炎やRSウイルス感染症などの患者が増えている
読売新聞 2011年11月24日16時10分
国立感染症研究所によると、11月第2週(7~13日)のマイコプラズマ
肺炎の平均患者数は2001年以降の最高値を記録。
九州、山口、沖縄では全国平均を上回る県もある。西日本では寒暖の差が
激しい不順な天候が続いており、感染研は「予防のため体調管理などに気を
つけてほしい」と呼びかけている。
◆マイコプラズマ肺炎 患者数が最多◆
感染研が全国約500の医療機関(定点機関)の報告をまとめたところ、第
2週の平均患者数は1医療機関当たり1・25人で、01年以降の10年間
で最も高かった0・72人を上回った。九州、山口、沖縄では沖縄県5・14、
長崎県1・73、山口県1・44。福岡県も第1週の0・4から0・73に
増加。北九州市では小学校の学級閉鎖も報告されている。
マイコプラズマという細菌による呼吸器系感染症。感染研の安井良則・感染症
情報センター主任研究官は「症状が風邪に似ていて外来ですぐ診断するのは難
しく、重篤化してしまうケースもある」と指摘する。
ワクチンはなく治療は抗生物質が中心だが、薬が効かない耐性菌の増加が拡大
の要因になっている可能性もある。「今年はこれまで使われてきたマクロライ
ド系の抗生物質が効かないケースが多い。03年以降、耐性菌が増え、今では
8割を超えるという報告もある」と安井研究官。別に効果がある抗生物質は
あるものの、幼児の歯形成への副作用が懸念されるため、医療現場では難しい
対応が続く。
◆RSウイルス 乳幼児に多く◆
RSウイルス感染症は乳幼児が感染しやすい呼吸器系感染症。今年は全国的に
例年を上回る患者数が報告され増加傾向が続く。福岡県の1医療機関当たりの
平均患者数は、11月第1週の0・51から第2週は0・76になった。
本来は冬に流行しやすいが、今年は6月頃から都市部を中心に感染が広がり
始めた。新規患者数は10月中旬にいったん減少したものの、再び増加傾向に
転じた。感染研は「感染の勢いは落ち着き始めているが、もともと冬にピーク
を迎える感染症。12月の動向が気になる」とする。
◆インフルエンザ 年明けに流行か◆
山口県では9月に周南市の幼稚園で集団感染が発生し、クラスが閉鎖された。
新型インフルエンザ(H1N1)が発生した09年を除くと、同県で最も早い
時期の集団感染発生となった。その後は落ち着いた状態が続いてきたが今月
21日、山口市の小学校が学級閉鎖された。
同県以外の発生ペースは遅く、今のところ確認されているウイルスのほとんど
はA香港型。しかし昨季と同様の傾向をたどれば年明け以降にH1N1型が
流行する可能性もある。感染研は「いずれの感染症もうがいや手洗いで、ある
程度予防できる。患者との濃厚な接触を避けるなど注意してほしい」として
いる。
◆マイコプラズマ肺炎=天皇陛下や皇太子ご夫妻の長女、愛子さまも一時、
感染の可能性があるとされた。感染者の大半は14歳以下。乾いたせきや発熱、
頭痛などの症状のほか、重篤になると脳炎などを引き起こす場合もある。せき
や接触で広がり、潜伏期間は2~3週間。
◆RSウイルス感染症=多くは鼻水やせき、のどの炎症などで治まるが、乳幼
児では重篤な肺炎や細気管支炎を引き起こす場合もある。免疫ができにくいた
め、流行期に何度も感染する可能性もある。ワクチンや抗ウイルス薬はなく、
酸素吸入や点滴などの対症療法が中心。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111124-OYT1T00764.htm
*****
東京都におけるマイコプラズマ肺炎の発生状況
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/mycoplasma/mycoplasma.html
*****
マイコプラズマ肺炎、急増=過去最多で高止まり-被災地も要注意(9月29日)
http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_soc_health20110929j-01-w370haien
ここ数日、矢ケ崎さんの講演録を、分割して掲載していますが、そこで語ら
れたことをさらに証明するような社会的事象が続いています。深刻な被曝の
兆候と思われる事態で、一つ一つに胸が痛みますが、今、私たちの前にある
危機をきちんとつかむために、お知らせせねばと思います。
今回、お知らせしたいのは、読売新聞に載った、「今秋マイコプラズマ肺炎
やRSウイルス感染症などの患者が増えている」という記事です。ただし、
この見出しはやや不正確で、例年、冬に流行していたそれぞれの感染症が
今年は6月ごろからはやりだし、感染症の流行しにくい夏にもどんどん感染
が増えて、秋になってさらに増えていることに特徴があります。参考に東京
都の感染情報や、ここ数年の年間を通した感染との差異を示すグラフのアド
レスも示しておきます。これらをみると、例年とまったく違った感染グラフ
ができていることがわかります。とにかくこの10年間の中で圧倒的な増加
です。
放射線被曝が起こった場合、免疫力の低下が起こり、あらゆる感染症にか
かりやすくなります。とりわけもともと免疫が低下している人々は、ダメー
ジを受けやすく、チェルノブイリの事故の後には、エイズ患者の死亡が急増
しました。無論、そうはいっても、今回のマイコプラズマやRSウイルス感
染症と被曝との因果関係がはっきりと証明されているわけではありません。
とくにマイコプラズマの場合は、西日本で全般的に発生が高くなっており、
とくに沖縄が高い点など、福島の事故だけでは説明がつきにくい事象もあり
ます。
しかしこうした例年と違う症例に着目し、放射線の影響の可能性を考えて、
れぞれで免疫力を高める努力を重ねていくこと、食品からの被曝を避ける、
ないしは極力減らす努力を続けていくこと、がれきの焼却によるさらなる被
曝を生まないようにしていくことなど、被曝対策を強化していくことが重要
です。
この点で重要な情報としてお伝えしておきたいのが、矢ケ崎さんが講演の
中で触れていた、チェルノブイリ事故後にアメリカで得られた感染症拡大の
データです。これは肥田医師が翻訳された、アメリカの、ジェイ・M・グール
ドが書いた『死にいたる虚構-国家による低線量放射線の隠蔽』の第二章
「チェルノブイルのフォールアウト」に書かれています。
そこでこの章から重要なポイントをいくつか引用しておきます。
「政府のデータでは1986年5月の合衆国死亡率も統計的に有意の増加である
ことを示している。統計では1986年5月の合衆国死亡率は前年同月よりもな
んと5.3%も増加している。これは1000分の1以下の危険率で統計的に有意性
があり、そればかりでなく5月度死亡で見る年度増加率は実際に、合衆国の
過去50年間のうちで最高であった。それに続く3ヶ月間の死亡率増加も高率
であった」(同書p11)
「1986年の夏にきわだって増加したのは、乳幼児、感染症疾患をもつ若年成
人、高齢者の死亡であった。これらの人たちには免疫系が相対的に脆弱であ
るという共通点がある。そこに免疫障害を起こす原因が加われば病気やスト
レスに対しての抵抗を妨害することになる。免疫機能が低下している高齢者
はそれまでに既に病気の状態といえるので、チェルノブイルの放射能は免疫
系の抵抗力を一層、弱体化されたであろう。
酔いをさませるほど驚かせる統計は、これまでになく死亡率を増加させた若
年成人の場合であろう。肺炎、感染症疾患、特にエイズ関連疾患による著し
い死亡率増加は1986年5月にピークとなり、ついで夏期に続くが、この背景に
は免疫障害があると思われる。普通ならば、夏は感染症疾患による死亡率は
もっと少なくなるものである。というのはインフルエンザなどの流行などは
大抵、冬に起きるのだから」(同書p13)
これらからも、被曝の影響で感染症の増加が起きた可能性や、もともと免疫
力が弱っていた人の死亡が増えたことが明らかで、日本でも同様の統計が欲
しいところですが、何せ3月の大災害で、多くの医療機関が被害を被り、地震
と津波によって亡くなられた方、またその後のストレスの中で亡くなられた
方も大変多く、なかなか有意な統計は出てこないのが実情かと思われます。
いずれにせよ、昨日、掲載した町田市の症例などと合わせ見るとき、被曝に
よりさまざまな疾患が増えているのは確かだと思います。こうした事態を前に
私たちがなすべきことは、まずは「腹をくくること、開き直ること、覚悟を
固めること」です。その上で「免疫力を上げる」ことが重要です。
同時に、もう実現不可能だとしてあきらめてしまわずに、汚染ゼロの要求を
政府に出していくことが必要です。とくに汚染のない地域、ないし東日本と
比べるならばかなり少ない地域で、食料の大増産を行うことが重要です。そ
れを被災地に供給したいし、しなければならない。政府や各地の行政に、
国民・住民の安全を守る義務をつきつけていくこと、あきらめずにこれを
続けることが大事です。
知恵を絞って、病の拡大に立ち向かっていきましょう!
***********
今秋、マイコプラズマ肺炎やRSウイルス感染症などの患者が増えている
読売新聞 2011年11月24日16時10分
国立感染症研究所によると、11月第2週(7~13日)のマイコプラズマ
肺炎の平均患者数は2001年以降の最高値を記録。
九州、山口、沖縄では全国平均を上回る県もある。西日本では寒暖の差が
激しい不順な天候が続いており、感染研は「予防のため体調管理などに気を
つけてほしい」と呼びかけている。
◆マイコプラズマ肺炎 患者数が最多◆
感染研が全国約500の医療機関(定点機関)の報告をまとめたところ、第
2週の平均患者数は1医療機関当たり1・25人で、01年以降の10年間
で最も高かった0・72人を上回った。九州、山口、沖縄では沖縄県5・14、
長崎県1・73、山口県1・44。福岡県も第1週の0・4から0・73に
増加。北九州市では小学校の学級閉鎖も報告されている。
マイコプラズマという細菌による呼吸器系感染症。感染研の安井良則・感染症
情報センター主任研究官は「症状が風邪に似ていて外来ですぐ診断するのは難
しく、重篤化してしまうケースもある」と指摘する。
ワクチンはなく治療は抗生物質が中心だが、薬が効かない耐性菌の増加が拡大
の要因になっている可能性もある。「今年はこれまで使われてきたマクロライ
ド系の抗生物質が効かないケースが多い。03年以降、耐性菌が増え、今では
8割を超えるという報告もある」と安井研究官。別に効果がある抗生物質は
あるものの、幼児の歯形成への副作用が懸念されるため、医療現場では難しい
対応が続く。
◆RSウイルス 乳幼児に多く◆
RSウイルス感染症は乳幼児が感染しやすい呼吸器系感染症。今年は全国的に
例年を上回る患者数が報告され増加傾向が続く。福岡県の1医療機関当たりの
平均患者数は、11月第1週の0・51から第2週は0・76になった。
本来は冬に流行しやすいが、今年は6月頃から都市部を中心に感染が広がり
始めた。新規患者数は10月中旬にいったん減少したものの、再び増加傾向に
転じた。感染研は「感染の勢いは落ち着き始めているが、もともと冬にピーク
を迎える感染症。12月の動向が気になる」とする。
◆インフルエンザ 年明けに流行か◆
山口県では9月に周南市の幼稚園で集団感染が発生し、クラスが閉鎖された。
新型インフルエンザ(H1N1)が発生した09年を除くと、同県で最も早い
時期の集団感染発生となった。その後は落ち着いた状態が続いてきたが今月
21日、山口市の小学校が学級閉鎖された。
同県以外の発生ペースは遅く、今のところ確認されているウイルスのほとんど
はA香港型。しかし昨季と同様の傾向をたどれば年明け以降にH1N1型が
流行する可能性もある。感染研は「いずれの感染症もうがいや手洗いで、ある
程度予防できる。患者との濃厚な接触を避けるなど注意してほしい」として
いる。
◆マイコプラズマ肺炎=天皇陛下や皇太子ご夫妻の長女、愛子さまも一時、
感染の可能性があるとされた。感染者の大半は14歳以下。乾いたせきや発熱、
頭痛などの症状のほか、重篤になると脳炎などを引き起こす場合もある。せき
や接触で広がり、潜伏期間は2~3週間。
◆RSウイルス感染症=多くは鼻水やせき、のどの炎症などで治まるが、乳幼
児では重篤な肺炎や細気管支炎を引き起こす場合もある。免疫ができにくいた
め、流行期に何度も感染する可能性もある。ワクチンや抗ウイルス薬はなく、
酸素吸入や点滴などの対症療法が中心。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111124-OYT1T00764.htm
*****
東京都におけるマイコプラズマ肺炎の発生状況
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/mycoplasma/mycoplasma.html
*****
マイコプラズマ肺炎、急増=過去最多で高止まり-被災地も要注意(9月29日)
http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_soc_health20110929j-01-w370haien