PEN-FVと一緒にFUJIPETが来ています。この方のFUJIPETは何台修理したでしょうね。京都辺りのフリマなどで見つけてこられます。今回の個体は外観はシボ革剥離程度でそれほど悪くはないようですが、単玉のF11レンズが良くありませんね。派手に曇っています。シャッターは不動。また、分解歴がある個体で、点検すると接点を制御するバネなどが欠品していますね。
シャッターは単速1/50の簡単な構造ですので、全て分解洗浄の上、チャージ、レリーズレバーにグリスを塗布して組んであります。欠品している接点のバネは自作しておきました。洗浄して剥れていたシボ革を再接着をしたプラ製の本体とドッキングします。取り付けはなんと3本の木ネジです。
曇っていた単玉は手磨きで仕上げてあります。問題はホルダーとレンズの取り付けです。他のサイトでも指摘されている通り、ホルダーとレンズのネジが全く緩い状態で、測定するとどちらもφ25.2mmでした。それではネジ山が噛み合うはずがありません。どうしてこのような設計となっているのか首をひねります。調整の後は接着剤で固定していたようです。
組立て完成。シボ革の色は数種類存在しているようですが、この個体はグレーなのか黒なのか? 初期の個体は、フードは金属製で裏蓋の赤窓にシャッターが装備されていますが、この個体はフードはプラ製で赤窓シャッターは省略された後期(?)モデルでしょう。発売は1957年(昭和32年)だそうで、私が四つの時だなぁ。それを考えると中々デザインに凝ったカメラだと思いますね。巻上げダイヤルの逆転防止機構には、軸にはめて本体側に一端を固定したコイルバネで、一方向のみ回転可能とするバネ1個のシンプルなアイディア設計。(ヘキサゴン(六角)レンチをホルダーに固定しているバネと同じ構造)部品点数を最少として初心者(子供)向けに安価に市場に供給するという意図が分かります。現在流行のトイカメラとどちらが良く写るのでしょうね。