日曜日は久しぶりで一日中、自転車の整備をしていました。チェーンの交換などして楽しかったです。お陰で腕と膝が日焼けでヒリヒリしています。いつまで、この残暑が続くのでしょうね。しかし、好きなことが出来るのは幸せですね。で、最近はコンパクト系が多いですね。PEN PEN-S PEN-D3の3台が来ています。そこそこ問題の無い状態ですが、駒数ガラスにクラックやD3は前玉のコーティングが傷んでいます。
前回、PEN-Dをやったばかりですので、続けてD3をやろうと思います。トップカバー上面のフィルム位置マーク部分が僅かにへこんでいます。D系はファインダーブロックの大きな切りかきがあるため、この部分の強度が一番弱いのです。鏡胴部分のリング関係は非常にきれいで、あまり使われなかったのだと思います。#3154XXと後期の個体ですので、シャッターリングのクリックはコツコツと硬い感触です。これは、それまでスチールボール+バネ式であったものを、ピン+バネ式に変更してあるためです。クリック感は強く出ますが、何かスムーズでない感触で、私はあまり好きではありません。では、分解して行きます。
これです。この部品がシャッターリングのクリック感を出していますが、それまでのスチールボールからピンに変更されています。スチールボール式は、次第にクリック感が弱くなる傾向があって、その対策で変更されたものでしょう。しかし、潤滑が切れると硬いフィーリングになりますね。
前回のPEN-Dと同じアングルで撮っています。シボリリングを規制するブラシは3ヶ所ですね。作動も重めです。中には2ヶ所という個体もありますので、使用数は、製造時期ではなくて、その個体の組み上がった時の回転重さで調整使用していたのではないかなぁ? とも思います。潤滑はカラカラで、汚れも多いですね。
UP画像が増えると3台やらなければならないので省略気味で行きます。すでにシャッターユニットは完成して、洗浄した本体に組み込んであります。スプロケット軸とスプール軸を取り付けます。D2.3の場合は、スプール下部に電池室を設けてあります。Dでは要らなかった部分ですから、苦肉の設計ですね。
モルト接着、ダイヤルカバーを取り付けて、カムなどを組んで行きます。部品の状態は非常に良好です。電池室からのリード線が、リンケージの真下を通る不自然な通し方をしています。ここも追加設計なので、この位置しかなかったのでしょう。
カム抑え板部分に製造捺印がされていますので、清掃で消さないように注意します。「67-3」となっています。本体の完成と同月です。この個体のように、後期になると、締め付けナットの周り止めが追加されるようになります。(それまではネジロックの塗布のみ)特に新しい技術ではありませんが、これは良い変更と思います。
D3は新しい電池を入れて完成です。次はPEN-S #3018XXですね。巻き戻し軸の設計は、まだ変更前のタイプです。過去に分解を受けており、シャッターは作動していて、全体の状態は悪くはないと思いますが、ヘリコイドグリスはすでに抜けてカラカラの状態です。
リペイント屋なので、ちょっと気になるのが塗装の肌です。両側共画像のようなゆず肌状態。コストの掛けられない製品ですから、塗装の品質(良品限度)はあまり高くはなく、荒れている個体もありますが、これは荒れ過ぎだなぁ。私の基準であれば、間違いなく塗り直しです。そもそも、こんなに下手に塗らないし・・・
駒数ガラスは持病のクラックが入っています。今回は3台共交換することにしています。
シャッターの地板を点検します。あれっ? ↑の部分に円周状に傷があります。ヘリコイド部を強く締め込み過ぎるとクラックが入ることがありますが、それか?とルーペで観察しました。どうもクラックではないようです。多分、レンズの後端が衝突しているのだと思います。ヤレヤレです。
と言うことで、地板は再使用として組み込みました。古いグリスを洗浄したヘリコイド部分。後玉外側の部分が衝突したようです。正規の調整が出ていれば衝突はしません。
シャッターを組み込む前の画像。シャッターの製造捺印は「38.3」となっていますが、本体側は「2.8」となっています。通常、シャッター完成と本体完成は、同月か本体が翌月が普通ですが、この個体は本体の方が早く完成していることになりますね?。私の資料によるとシャッター完成捺印「38.3」は#340884と言う個体が存在していて、その他付近の個体も、ほぼ整合性のある記録となっています。
まぁ、調子よく完成しているので良しとします。最後はPEN #3731XXというタダペンですね。本体の塗装はかなり劣化しています。
こちらも駒数ガラスにクラック入り。ファインダーの前面保護ガラスやミラーは接着が剥離して脱落しています。
ここで、シャッターを分離してみます。捺印は奇しくも「38.3」ですね。↑のPEN-Sと同じ月の製造です。本体側は・・「3-3」ですから同月完成で整合性は取れています。
PENのシャッターはこれだけです。スローガバナーなどの部品は直接地板に組み込む古い思想の設計。構造は簡単なので、現存の個体でもシャッターは作動するものが多いのですが、ピンセット先のように、使われている細いバネが張力を無くして不調となっている場合があります。この個体は、シャッター羽根の復帰が緩慢な状態です。
シャッターリング(カム板)などをセットしています。ご覧のように、各部品は完全に洗浄をしてピカピカにしてあります。レンズの後玉にはコーティングの劣化が認められますが、曇りはありません。