ちよっと暇なので、ジャンク不動のセイコー新10Aを作ろうと始めました。新10Aは戦後の昭和21から製造されたスモールセコンドの機械です。10型、サイズは23.3mmと非常に小径で、後期になるにしたがってケースが大型化して行きますが、私は、初期の機械に適正な小径のモデルが好きですね。ベースとした機械はリューズが抜けて欠品、キチ車、ツヅミ車などは錆び付いて使用不能、ピンセット先の4番車のホゾが折れているという機械でした。スモールセコンドは60秒で一回転する、この4番車に秒針が付いています。リューズは仮の組立用をつけています。
不良の4番車を交換しています。巻上げ用の角穴車、丸穴車を取り付けてザラ回しをして、パワーがスムーズに伝達されているかを確認しています。その後、アンクルを取り付けて、ピン、ピンと跳ねることを確認してピンセットのテンプを取り付けます。
アップで撮っていると大きさが分かりませんよね。こんなに小さい機械です。テンプが動いていますね。ゼンマイの巻上げ初期での作動が少し重い気がしますので、しばらくエージングをして行きます。
文字盤はS付の好ましいデザインです。普通、ジャンクですと、3時付近から汗の浸入により腐食が進んでいますが、この個体は清掃でまずまずの状態になりました。まず、秒針を取り付けてみます。小さい針でしょ。老眼の目にはきついですね。
時分針です。文字盤のインデックスもそうですが、針の中央には夜光塗料が塗られています。当時の夜光塗料は放射性物質を使用していましたね。ラジウムなどでしょうか?(知りません)現在では発光はしませんが、現在の夜光は光を蓄光して発光するもので、時間は限られますが、当時の夜光は放射線によって光りますので、長時間でも問題ありません。そういえば、子供の頃には夜光で光るドクロのおもちゃなんてありましたよ。水銀がおもちゃとして売られていたりで、あぶない時代でした。で、補修用の蓄光塗料は売られていますが、まぁ、そのままの方が味があって良いでしょう。針を磨きますが、研磨剤を使うとピカピカになってしまいますので、クリーニングペーパーで拭き上げるだけにします。
このように針が付きました。風防を取付ける前に、文字盤の埃や汚れを取り除いておきます。ケースは鶴のマーク入りですからセイコー純正ですが、バンドが付いていた部分は腐食により、ニッケルメッキが完全に剥離しています。ステンレスケースも存在しますが、割合は非常に少ないです。
すでにO/Hをしてある新10Aと並べます。左のケースは純正ではありません。ラグ幅が15mmと女性用のベルトしか市販されていませんので、自作をしたいと思います。デッドストックの個体とは違って、ジャンク上がりですから外観の程度は良くありませんが、65年以上前の時計ですから、返って重みがあって良いのではないかと思います。精度も良くて充分実用とすることが可能です。リューズは多分シチズンのもの。風防はクラック入りですが、このままとします。これでまた1台復活しました。