うちには珍しいゾナー付のローライ35Sブラックのシンガポール製です。小さなボディーにずっしり重いメカが詰まっている感のあるカメラで、ペンファンの方もお好きではないでしょうかね。シャッターの低速不調とファインダーの曇り(カビ)の改善をします。操作するには、色々と流儀のあるカメラですが、分解も似たようなもので、トップカバーを分離するためには、どうしても巻き戻しレバー軸を外さなくてはなりません。ご覧のような軸部がスプリングピンによって保持されています。これを取り出します。
外観からのイメージとは違って、内部のメカは、ライカのような作りではありません。スローガバナーなどは、非常にラフな作りで、ペンの方が精密感があるほどです。ガンギ車とアンクルとの接触面が荒れています。その他を修正してスムーズに作動するようにしておきます。
ファインダーです。本体はプラスチック製で、ドイツ製のプリズム仕様ではないため、空気に触れる面が曇りやカビが生えています。対物レンズの接着を分離して各面を清掃しておきます。
ファインダーブロックを本体に組み込んだところ。対物レンズの接着はみ出し部分は硬化してから修正します。
ファインダーブロックには、埃の侵入防止で元通りにテープを貼っています。次に巻上げレバー部の地板を取り付けます。
この長いプレートは、レンズのロック解除ボタン用です。狭くて奥深い部分のピンと接合するため、この辺かな?と見当をつけて差し込みます。レンズを沈胴させるためには、このボタンを押すことのほかに、巻上げがされていることが必要です。
アルミ製のカバーですから、不用意にへこませている個体が多いですが、この個体は非常にきれいですね。ファインダーもクリアーになって、低速も快調に切れています。