かなり使い込まれたと思われるPEN-S2.8 #4172XXで1964-10月、そう東京オリンピックの開催された月に生産された個体。シャッターの張付きで停止するとのこと。フィルムレールの腐食が目立ちますね。画像では写っていませんが、ファインダー窓の左部分に値札シールらしき糊残りがあります。ジャンクでワゴンに入っていた個体でしょうかね?
いえ、どんな状態からでも治しますよ。Kenkoのフィルターが付いていますが、シボリリングがクルクル回ってしまいます。フィルターを強く締めたのか、固着を緩めたのか?
ファインダー角のリンクル塗装の剥離が大きい。巻き戻しダイヤルのノブバネ板を止めるネジがノンオリジナルですね。
内部のホコリの堆積は例によって写らない。コレクションで大事にされた個体ではなく、シャッターは多く切られている個体です。製造年月は裏に捺印。しかし、一度もオーバーホールを受けていません。
ただ、レンズ部やファインダーは分解を受けていて、すごい接着ですね。駒数カガラスも脱落したものを貼り直してありますが、トップカバーに密着をしていません。
これすごいよね。光枠がめくれ上がっていますね。光枠の製法は、この個体のように、フィルムを接着したものと、蒸着メッキをしたものがあります。フィルム接着の場合は、不用意にアルコールなどで拭き上げをすると、剥れてしまいます。で、これもそういう事でしょ。
シャッター内の汚れも大きいですね。すべて分解して研磨する必要があります。
無給油でシャッターを多く切った個体は、部品の磨耗が進みます。チャージをすると↑と←が接触するのですが、衝撃のある接触を重ねる部分が磨耗変形して行きます。すると、チャージでゴリゴリっという抵抗感が出て、スムーズに巻上げが出来なくなります。
メーカーサービスでしたら、部品の交換をするところでしょうけど、そんなものは無い。よって修理屋は部品を修正するのです。今回は、精密砥石で研磨後、鏡面状に磨いておきました。スムーズに作動しています。駒数ガラスは再接着。ファインダーは清掃の上、レンズとミラーの接着をしてあります。修理した光枠はトップカバーに組み込んだ後で倒れのないように接着をします。その他、ターミナルの半田付けが剥離していましたので、再半田をしてあります。
レンズ関係も油と手垢でドロドロの状態でした。すべて洗浄をしてあります。PEN-Sのレンズと絞りはこのようになっています。絞りのクリック機構は内部に組み込まれていますが、PEN-Wは外見は同じように見えますが、絞りクリックは左手で保持しているプレートに絞り値の対応するスリッドが切られていて、それを板バネで押える機構です。分かりにくい説明ですね。要するにPEN-SとPEN-Wとでは設計が異なると言うこと。
裏蓋のモルト交換と開閉鍵のグリスを交換して完成です。オーナーさんは「安心して撮影したい」とのことでしたが、非力なシャッターが50年近くもオーバーホール無しで動いていた方が不思議なくらい。外観のコンディションは良いとは言えませんけど、巻上げもスムーズで、シャッターも好調ですから安心して撮影をして頂けると思いますね。