連休の間に頑張りましたので、ちょっとサボっていました。カメラの予定もあるのですが、気分転換に手持ちの時計をレストアすることにします。SEIKO EXTRA FLAT というスモセコ最後のモデル。機械は新10Bで亀戸製です。新10Bの製造開始は1948年ですから、戦後復興の最初の時計というところでしょう。このエクストラフラットはケースが大型化していますので50年代に入ってからの製品でしょう。すでに中三針のスーパーが1950年に発売されていますから、しばらくは並行で生産されていたものと思われます。で、状態は不動で点検のところ天真が折れています。
風防の劣化がすごいことになっていまして、文字盤がよく見えない状態でしたが、意外に文字盤の程度はこの時代の個体としては悪くはないのはラッキーでした。28.2mmのトキライトが手持ちにないので、ベゼルを磨いて汎用の風防をセットしたところ。現在、入手可能の風防は角と袴の部分が緩やかなドーム形状ではないので気に入りませんが・・
ケースが大型化をしたので、結果的に薄く見えるのが良く分かりますね。ラグの1本が曲がっていました。冷間で修正をすると折れる可能性があるので熱を加えて少しずつ修正をしました。軽く研磨とヘアーラインを入れます。鶴のマークがありますので、純正のケースです。この手のケースは磨く部分が少ないので楽ちんです。
では、テンプを分解していきます。まずヒゲゼンマイを分離します。
振り座を分離します。
天真を抜きます。
これで分解完了。天真の上ホゾが折れて下ホゾも摩耗しています。これでは動きませんね。
新しい天真と比較します。といっても見えませんね。新品のホゾは長いです。
ポンス台にて組立をしましたが、画像を撮り忘れていました。(暑いので) 地板に受けでセットしてあがきなどを確認します。非常にスムーズに回転しています。
振れ見にセットして、バランスと振れをチェックします。非常に良好です。
ヒゲゼンマイを取付けてテンプ完成。ふぅ、あとは普通に組み立てて行くだけですね。
え~と、ちょっとご連絡を入れさせてください。チュードルの北海道の渡〇さん。メールをお送りしていますが、何かの問題でエラーメールとなって、そちらに届いていないようです。(ご返事がないので)お手数ですが、ご連絡したいことがありますので、一度メールを頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
香箱、輪列に注油をしながら組み立てていきます。石数は少ない割には異常摩耗はなく一安心です。
最後にテンプ周辺を組んでみると・・スムーズに動いてくれない。ヒゲゼンマイの接触などを修正しても改善しない。アンクルを観察してみると、なんとアンクル竿部分が曲げられていることが判明。その他に、テンプ受けも天真の摩耗を修正するために距離を短く曲げられていましたので、それらの辻褄を合わせるために曲げられたのでしょう。昔の修理では良く行われていたようです。左が曲がったアンクル。これを修正します。
古い機械ですから、途中の修理でオリジナルを崩す工作をされているケースが多いので一つずつオリジナルのセッティングに直していきます。そしてやっと各姿勢で安定した作動を示すようになってきました。
風防の状態からすると文字盤は劣化が少ない方ですね。軽く磨いた針を取り付けます。しかし、6時は文字の殆どが見えないデザインは面白いですね。まぁ、分かりますけどね。
ケーシングをした状態。Cal 新10Bです。チラネジ付の小径のテンプは、ちょこちょことした動きで安定性は今ひとつという感じですね。後のマーベルやクラウンなどでは、大型化されていきます。
はい、こんな感じになります。やはり風防が少しミスマッチな感じです。
裏側。はまぐりケースって言うのかな? 丸っこい裏蓋は私は好きです。
お約束のベルトをセットした画像。じつは、この個体にもジャバラベルトが付いていましたが、当時の植木等のステテコ腹巻スタイルには似合っていたのでしょうね。革ベルトにするとぐっと良くなります。セイコー最後のスモールセコンドモデルです。秒針が目立たないので時がゆっくりと流れていくような感じがして、これも捨てがたい魅力だと思いますね。
http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/