今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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SEIKO LM スペシャル 2題の巻

2015年10月11日 21時32分43秒 | ブログ

52系機械を搭載したロードマチック・スペシャルです。製造は亀戸で、普段慣れている諏訪精工舎の機械とは設計の流儀が異なり、高級なメカに感じます。同じLM Specialでも機械は2系統あって、5206Aと5216Aがあります。基本的には同じですがカレンダーの送り機構が変更されています。まず、5216Aから始めてしまいました。こちらのカレンダー送りは一般的な少しづつ日曜が変わって行くという方式。揺動レバー式(画像)になりますね。亀戸最後の優秀な機械になります。(8振動)画像を撮り忘れて、すでに組み立てています。

 画像の組立順は正しくありませんが、秒カナのセットを示したところ。

 

 

 諏訪とはだいぶ眺めが違いますね。輪列をセットして一番受けを載せます。

 

 

カレンダー機構を組み立てます。早送りは揺動レバーによります。

 

 

 薄型の機械ですね。文字盤と針を取り付けます。秒針は軸の上部がフラットに仕上げられている高級タイプです。

 

だいぶ調整が狂っていましたね。テンプの調整装置にはダイヤアジャストというアオリ調整装置が付いています。

 

左が完成した 5216Aを搭載した5216-6050で、右が手元にあった5206Aを搭載した5206-6080で、こちらの方が発売は先ですね。

 

で、2つ目の個体が5206Aです。ちょっとややこしいです。私の好きなケースですね。文字盤も特殊で洒落ています。こちらがカレンダーの切り替えが瞬間送りになっていて、高級メカなんですね。しかし、故障も多いようで、画像のように曜車は変わっても途中で止まる。日車は全く変わらないという故障状態です。

んでもって、ピンセット先の部分が瞬間送りの機構になります。日送ツメと曜送ツメの動きが悪いのですね。

 

 

まず、分解の前に香箱のゼンマイを開放しておく必要がありますが、自動巻機構の一番伝エ車、切替伝エ車を外さないと解放できません。

 

 

同型式の機械なので、ちょっとこんがり気味ですみません。今度は分解しているところ。随分と諏訪製とは眺めが異なりますが、決して難しいというものではありません。流儀ですね。秒針カナ押エバネを外して秒針カナ、三番車、四番車などを外していきます。

長くなるので途中割愛。すでに組立に入っています。技術解説書には個所ごとに使われる油脂が指定してあります。順番に組み立てて行けば問題なく完成します。

 

ピンセット先は秒針を止める規正レバーです。このレバーを作動させる規正レバーバネがあって、組立時、気を付けないと飛んで行ってしまいます。

 

ひっくり返し。カレンダー機構の中間車軸にS-4グリスを塗布してセットします。

 

文字盤と針が付きました。あまり見かけない特殊文字盤で良いですね。回転錘は薄型ですが、裏側に腐食がありますね。

 

材質は何なのでしょうね。緑の樹液のようなものが分泌しますね。削り落として、中央のベアリングに注油しておきます。

 

 

こちらの個体の方が素性は良いかなぁ・・。少し進み気味に調整をしておきましょう。

 

このラウンドしたケースは私が高校の入学時に初めて高島屋の時計売り場で購入したセイコー5 DXと同じラグがラウンドしたタイプで大好きなんです。同型ケースの左上がセイコー5、左下が56のロードマチック(LM)です。比較してみると右のLM specialの方が薄く小ぶりなことが分かります。

基本的に同じ機械ですが、カレンダーの送り機構が異なる2モデル。瞬間送りの5206Aの切替時はバシャッと音がして迫力がありますよ。但し、定期的なメンテナンスが必要のようです。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/