追加で、ヤフオクで落札したセイコーLMスペシャルが到着しました。(左)右の個体は私が愛用しているもので、お揃いですね。ガラスの風防とケースはキズが多いですが、研磨をされていませんのでエッジがきれいに立っています。私の方は、すでに研磨をされてオリジナルのカットが分からない状態でした。あ~、こういうカットだったんだぁ。。
紺の文字盤はまぁまぁの程度ですが、短針を押し込み過ぎて文字盤にキズをつけています。全体に針の状態が悪いですね。
文字盤を外してみると・・日曜車の状態も良くありません。あまり丁寧でない修理を受けて来たようです。
動くことは動くのですが、全く測定不能の状態です。テンプの振り角が極端に小さく、したがって、1分で5秒ぐらい進みます。たぶん、ひげぜんまいに問題があるのでしょう。
腕時計の到着前に、へこんだフードの修正と洗浄をしていました。同じ精密機械と言えども、サイズが違いすぎて、目の倍率を変えないと見えません。では、分解をして行きます。
Cal 5206Aは非常に小型で薄く設計されており、香箱車も非常に薄くなっています。これで8振動の強力なゼンマイが入っているとは・・
小さい機械なのに部品点数は非常に多いですね。しかも、各部品のサイズが非常に小さい。老眼にはきびしい機械です。
すべて洗浄をして組み立て開始。二番車から組み込んで行きます。
筒カナは過去の修理で詰められていますね。
特徴的なのは、角穴車が日の裏側にあること。
カレンダーの瞬時切り替えなど高級メカを搭載しているため、部品点数は非常に多く、同じLMでも56系の機械と比較して倍ぐらいあるんじゃないの? 分解は紛失に注意です。ほぼ同様の性能であれば、部品点数の少ない方が組立工数も少なく、コスト的には優秀な設計なのでしょうけど、私は、亀戸の52系の方に魅力を感じます。
あらよっと。ひげぜんまいの変形を修正して、こんなところでどうでしょうね。
文字盤のインデックスの腐食を磨いてあります。針は過去の分解により傷が多く、長針は接着剤が着いていました。秒針はちょっと長いと思いますね。このモデルは、他のモデルより文字盤サイズが小さいので、他のモデルからの流用かも知れません。しっぽ側の曲がりを修正して組んであります。
調整が終わりましたのでケーシングと最後に自動巻き機構を取り付けます。
切換伝エ車と一番伝エ車をセットします。
新しいパッキンをセットして裏蓋を閉めます。
5206-6080は1971年12月製ですから、1973年発売のM-1より少しお兄さんになるんですね。どちらも日本の精密機械工業の円熟期の製品です。