セイコーの人気クロノグラフ5SPORTS Speed-Timer6138-0030は現在でも人気が高くて程度の良いものは非常に高価です。特に私は画像中央のブルー文字盤が好きで、水の侵入した不動機を復活させようと思います。実際には、カメラ作業の合間を見て時間を掛けて行っていますので、すでに記憶のない画像もあったりします。
ケースは軽く研磨をして洗浄してあります。この機械のウィークポイント、プッシュボタンから侵入した水による錆が発生していて固着が認められます。このままの部品構成では復活は出来ないと判断しました。
貴重なハードレックスの純正風防を使用します。
機械は手持ちの同じcal.6138Bから調達して仕上げることにします。左がオリジナル搭載の国内用ユニット。現在はジャンクのユニットを調達することも容易ではなくなりました。
分解をして行きますよ。普通の腕時計よりプッシュボタンが2つ多いですから、パッキンの劣化により防水効果が薄れると水の侵入する危険性が高くなりますね。よって、入手するユニットは錆びや汚れが進んでいるものが多いのです。しかし、何層にも組み立てられた非常に複雑な構造がお判り頂けますでしょうか?
すべて分解洗浄をしたところ。普通の機械より何倍も時間を掛けた洗浄をしました。地板の枚数が多いこと・・
では、注油をしながら組み立てて行きます。
ひっくり返して日の裏側。地板がサンドイッチになります。
香箱の蓋には伝エ車が付いています。
輪列を組み立てたところ。秒クロノグラフ車がスムーズに回転するか? ただし、この段階では受けが付いていません。
受けを付けて、テンプをセットしました。快調に作動を始めました。良かった~。しかし、分厚い機械になって来ましたよ。この上に更に自動巻き機構が載ります。
カレンダー機構を組み立てます。日車を取付けて・・曜車は当然国内用(漢字表記)を選択します。
これで、自動巻き機構を除いてメカ部の組立は終了です。あとは、文字盤と針の取付ですが、年末の混雑で未だアメリカから到着しません。
実際には、日数を掛けて作業をしていますので画像数が多くなってすみませんね。で、機械の方は中断しておいて。。SSベルトはアフターパーツも出回っていますが、それも高価なので、手持ちのベルトを仮に取り付ける算段です。このモデルはケースとのフィッテング形状が特殊で、オリジナルの部品になっています。そこで、普通の弓環のものを改造しました。実際には、幅が1mmほど足りませんが。。
この部品のリプロ部品もイーベイなどでは出品されていますが結構高価です。研磨をしたフィッティングをケースに合わせてみます。う~ん、やっぱり1mm足りないね。まぁ、使えないことはありません。
特に水気の入った針は劣化が進んでいます。時分針は夜光塗料が劣化してみすぼらしい状態。秒針の蛍光塗料も経時劣化が激しいので、殆ど色素が無くなっています。
塗装を剥離したところ。時分針は下地に黒めっきが施されていますが、それも腐食をしている状態。
時分針は黒塗装の後、蓄光塗料と先端白の塗装をしてあります。秒針は、現存している個体の画像を見ると、退色しているか再塗装をされたものが多く、オリジナル色が判然としません。やっと見つけたデット品画像から、少し派手目の蛍光レッドとしました。しかし、針の塗装はサイズが小さく精密な塗装が要求されますので満足な仕上がりにはなっていません。メーカーさんの製造方法を見たいところ。研究の余地が大です。
マジックレバー式の自動巻き機構は、たったこれだけの部品構成。(両方じゃないです)左側のオリジナル部品は伝エ車の摩耗が進んでおり、右側のセットを使用することにします。
去年の12/10にセカイモンを通してe-bayで手配をした文字盤とベゼルプレートが今日現在、いまだ届きません。成田税関までは来ているようですが、運悪く連休に入ってしまって通関が遅れているようです。しかし、もう少しリードタイムの短縮が出来ないものでしょうかね? で、ベゼル仕上げの下準備として、傷が多いオリジナルのブルーのプレートを分離しようと試みましたが、簡単には外れません。オリジナルは大切にしたいので、ドライバーなどてこじって損傷もさせたくないし・・そこで、旋盤にてジュラコンの押し出し治具を作ってみました。
やっと分離しましたが、ベゼルのエッジが爪になっていて、プレートを嵌め込んである式でした。両面テープで貼ってあるのかと思っていました。この後ベゼルの傷を修正しておきます。
1カ月掛かって、やっと文字盤とベゼルリングが到着したのだが・・印刷文字とカレンダー窓の色については、仕向地によってバリエーションがあるので問題としない。問題は、左のオリジナルでも殆ど退色して見えにくいが、6時▢中に橙(黄)で40.50.60が印刷されているのですが、右のリプロ品には全く印刷されていない。e-bayの画像では、ちゃんと印刷されているのです。このパーツは出品者の封筒から、フィリピン製と推測されます。
ベゼルリングはブルーの色は微妙に違うが、左のオリジナルも変化をしているので何とも言えませんね。左のオリジナルは内周の目盛り部分が斜めにカットされていて良い感じですが、右のリプロ品は平面なのは仕方がないところ。
寸法的には適合すると思いますが、裏面の形状の違い。左のオリジナルは平面で、右のリプロ品は段付きに加工されています。まぁ、付いてくれれば問題はありませんが・・
大分長いこと中断をしておりまして・・「どうなった?」とお問い合わせを頂くケースが多いもので。バレンタインデーで普段は控えているチョコレートを頂きました。ケースは部品入れに使います。文字盤の件ですが、セカイモンさんで出品者に交渉を頂き、良品を「追走」するという約束になったのですが、半月経過しても連絡がありません。で、問い合わせをしてみましたが、出品者は追走したとの連絡が有ったとのことでしたが、郵便のTRK#を連絡してこないそうです。まぁ、あまり関心出来ない出品者ということになりますので、同じように落札をお考えの方はご注意された方がよろしいかと・・
仕方ありませんので、印刷不良の文字盤で組んで行くことにします。
機械に取り付けてみましたが・・12時間計と30分計の穴位置が合いません。文字盤が左に寄ってしまいます。取付足の位置がアバウトなようです。よって、針を着けると目盛りに合わないのです。価格の割にはそこそこの出来なのに惜しいですね。
クロノグラフの秒針軸は針の固定のため丸ではなく、カットしてありますから、古い針を再塗装で使ったため、取付位置に癖がついていて真っ直ぐに取り付きません。リプロ針を使った方が良かったかも知れませんね。
本来はベゼルプレートはケースに取付け前にセットしておくのかも知れませんが、そうすると文字盤の0時に「60」をピッタリと一致させることが難しいので、ベゼルのみを取付け後、機械をセットしてからプレートを貼るようにしました。
どう? 秒針の蛍光色が少し派手目なため豪華な面構えになりましたね。リプロのベゼルプレートはTACHYMETERが金に印刷されているものなど、数種類が流通しているようですが、今回使用したものは、接着など一切必要なく、かっちりとはまり込んでくれました。文字盤と違って、こちらは良い精度です。文字盤と価格が殆ど変わりませんけどね。
自動巻き機構を組み込みましたが、マジックレバーと伝エ車が摩耗をしていました。正確に巻上げ出来ませんので、他の個体から調達して組み込んであります。
以前に加工をしておいた汎用のSSベルトを取り付けました。そのうち、このモデル用のリプロベルトと交換するつもりです。
このモデルは1974年製ですから昭和49年ですね。右は戦後の昭和25年頃の製造と思いますが、比較すると同じ人の腕に嵌める時計なのに、この大きさの違いにはびっくり。24年でこれだけ日本の製造業は発展したのですね。文字盤や針など、新しいパーツが入手出来ましたら、また、UPするつもりです。
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