今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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やっと来たよPEN-Fの巻

2016年08月26日 21時25分04秒 | ブログ

台風10号の進路が気になりますが、今日は、関東地方は暑い一日でした。午前中は別の仕事で半舷上陸していまして、午後から作業開始です。コンパクトペン以外がやっと来てくれましたね。PEN-F #2524XX(1966-1月製)とPEN-FTの発売が近い頃の製造です。外観は非常にきれいで作動も問題なし。一見、未分解の個体と思ったのですが・・ボトムプレートを外してみると、水油が溜まっていますよ。このカメラは大量の水油は使っていませんので、工場生産のままではないことが予想されます。

トップカバーを開けて見ると・・分解された形跡が無い。変だなぁ??

 

 

いえいえ、分解されていますね。シボ革に破れた痕がありますね。乱暴に剥がすと生地が切れてしまうのです。

 

前板にピンセットのような傷が付いています。

 

 

結果的にシャッターユニットも本体から分離されていました。問題は、スローガバナーが油のお風呂に浸かった状態です。

 

見にくいですが、中央の丸いカシメ部分が光っているのは油貯まり。

 

 

昭和53年(1973年)に札幌のカメラ店で中古販売されたということ?

 

 

まっ、いいでしょう。本体を洗浄して組み立てて行きます。スプロケット軸の部品構成。

 

スプールギヤは対角に開いたカニ目孔で締め込みますが、すると下のカウンターギヤの歯に工具が当たるという難しい設計。

 

機械は疲労はしておらず、ブレーキも利いていますので再使用とします。

 

 

スローガバナーを分離。超音波洗浄をします。

 

 

メンテナンスの終わったシャッターユニットを本体に組み込みました。

 

 

底部の状態。古いグレー色のネジロックはすべて洗浄してから組み立てます。

 

今日の土曜日は雨の中、通院で新宿へ行きました。夏の旅行シーズンからか、新宿駅の外国人観光客がいつもより溢れていますね。中華系か韓国の若者が多いようです。帰りに中古屋さんに寄って、素性は良いのに残念な境遇に置かれた後期型のPEN-FTを救出して来ました。手が空いたら仕上げて欲しい方にお譲りしますので少し待っていてください。そんなことで作業は進んでいません。本体側のメカ部は完成していますので、前板関係をメンテナンスして行きます。PEN-Fはプリズムの黒点腐食が多いのですが、この個体はほぼ満点ですね。推測では、Fの後期になってプリズムの耐候性を上げるための製造工程の改良が行われたと思います。保存環境だけでは説明がつかないからです。(雨のため新宿の画像は撮りませんでした)

ここ数日、ぐずついた天気が続いています。今週末は子供のころに住んでいた隣の立川の諏訪神社のお祭りだったのに残念でした。しかし、子供のころの記憶でも、境内の夜店は足元が泥んこでびちゃびちゃの記憶が強いのです。ちょうど季節の変わり目なんでしょうね。

では、組立です。ファインダーレンズの清掃と新しいモルトを貼って取付けです。レンズの状態は非常にきれいです。

接眼プリズムのコーティングは曇り気味、プリズムの角にピリが入っています。衝撃があったのでしょう。こちらも清掃とモルトを貼って取り付けます。

 

全反射ミラーは腐食は無いのですが、反射率は低下傾向ですので、オーナーさんのご希望で新品と交換します。

 

これでメカ部は完成です。

 

 

シンクロターミナルとリード線の取付け。ここも米谷式設計ですね。カバーの巻き戻しダイヤルの落とし込みが干渉をして、ドライバーが入りませんね。工場ではどのような工具を使ったのでしょうね。未分解機にはスリ割の痛みは無いので、流石、組立現場はプロです。

レンズは38mmが2本と100mmが来ています。まず、カメラ本体に付属していた個体。F用としては非常にきれいです。しかし、絞り羽根に油付着で開閉の作動が緩慢。オーナーさんの試写でも、露出オーバーになったようです。

未分解かとも思ったのですが、分解を受けていますね。ヘリコイドグリスがホワイト系が使われていますが、F用は普通のヘリコイドグリスの個体が多いです。FTになる直前に変更をされたものか、後年に入れ替えられたものかですね。

すべて脱脂洗浄をして組み立てて行きます。しかし、脱脂のままではスムーズに作動しないので注油は必要です。

 

清掃をした後玉を取付けて、マウントをセットします。

 

 

PEN-Fの後期なので非常にコンディションが良い個体でした。90点ぐらいは付けちゃいます。巻き上げ快調、シャッターのショックも良くコントロールされています。あとは、残りのレンズです。

 

もう1つの38mmは割愛。で、100mmですが、あまり使用された形跡が無い個体ですが、こちらも絞り羽根に油が回って作動が重くなっています。その他、レンズに曇りも出ていますね。プレートのネジが1本欠落しています。

分解洗浄で組み立てます。後玉はきれいになりましたね。

 

 

絞り羽根もきれいになりました。

 

 

原因は、ヘリコイドグリスが流れ出して、絞り羽根と作動機構部に付着するため。

 

非常にコンディションの良い個体になりましたね。最後に欠落していたネジを取り付けておきます。

 

カメラ本体とレンズの素性はすばらしく、オーナーさんの選択眼は確かだと分かります。良いコンディションを維持してください。

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