今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

日焼け兄弟PEN-W・Sブラックの巻

2016年08月09日 17時42分29秒 | ブログ

今日の関東地方は37.7℃だったそうで、どうりで朝から暑かったです。普段は控えているエアコンを入れっぱなしで作業をしていましたよ。昨日の閲覧数を見ると上昇傾向で、やはり頑張ると見てくださるのだなぁと分かりますけど、UPするのも大変なんですね。( ´艸`)

で、真夏で日焼けをした子供たちが里帰りをして来たみたいです。PEN-SブラックとPEN-W兄弟です。以前でしたら羨望の組合せでしたが、最近のクラカメ人気低下により、入手が容易になって来たのですかね? 私はマニアではないので所有していませんけど、今度探してみようかな? まずは、PEN-Sブラック #1667XX からO/Hします。PEN-Sのブラックは発売初期に製造されたもので、この個体はシャッター完成(コパル)1961-4月、本体完成1961-5月ですから、かなり初期です。その割には程度は悪くないと思いますよ。

ずっとPEN-Wをやっていたので、PEN-Sの出っ張ったレンズはエレガントじゃないなぁと感じます。メカはシャッター不調、ピントリングはグリス切れでクルクル回ります。ついでに後ろのシャッターリングも回わっちゃいますね。これはリングナットが緩んでいるのでしょう。

この個体は未分解機です。思った通りリングナットが緩んでいました。工場での組立時に緩み止めのネジロックが塗布されていないのです。

 

カバー内部も汚れ放題ですが、ファインダーカバーは剥がされた形跡がありません。

 

取りあえず、すべて洗浄をして、さっぱり汗を流していただきました。

 

 

接着剤の硬化時間の都合で、ファインダーのレンズ分解、清掃から行っていきます。初期のファインダーは2枚の対物レンズと前面の保護ガラスの間に無駄なクリアランスが無く、ピタッと位置が決まってくれます。

 

シャッターは開いたままで停止して、忘れた頃にパシャッと閉じます。当然シャッターも未分解ですが、パーツの状態は良いと思います。初期のユニットの見分け方。12時位置のネジ頭がスリ割(-)です。中期以降は地板にカシメられた軸に対してナット留め(逆になる)になります。組立難易度の低減(軸に対して部品を嵌めた方が楽)と軸の位置精度を上げるための変更でしょう。B(バルブ)が利かなくなるのです。

初期の個体はスプロケットはアルミアルマイト地、スプールはグレーですが、本体のダイカストの加工精度が安定せず、ナットには調整用のワッシャーが入っている個体が多くあります。この個体は2枚です。また、ピンセット先のクラッチの先端が削られています。これも工場での調整と思われます。

同じような画像が続くので簡単に・・。本体メカ部の組立完了。

 

 

接着硬化をしたファインダーを組み込みます。カウンターガラスにクラックが入っていますが、今回はこのままとします。

 

ファインダーのリンクル塗装で、PEN-Wと印象が変わりますね。製品の仕様を決める段階で、いろいろな検討がされたのでしょうね。

 

同じような画像で自分でも分からなくなります。次のPEN-W #1035XXです。現在はリオオリンピックが開催されていますが、この個体の製造は1964-10月。そう、第18回東京オリンピックが開催されたその月です。私の印象ではそれほど昔ではないのですが、52年前かぁ・・歳を取るわけです。その割には程度は悪くありませんね。塗装もきれいな方です。ファインダーは曇っていますが、シャッターは作動します。

分解洗浄で組み立てています。この個体#1035XXでは、スプロケットはアルミの黒アルマイトですが、先日の#1161XXでは、プラの成形品となっていました。良く見なければ分からないコストダウンが行われています。

 

本体の塗装状態も悪くないですね。シャッターは初期型とは違いますよ。見比べてください。

 

オリジナルの塗膜を良く残している個体です。かなり艶消しが強いことが分かります。

 

塗装のコンディションが良い個体のレンズは、やりは程度はよろしいです。コーティングにうす曇りとバルサム黄変は仕方がないところ。

 

レンズ部の出っ張りを比較してみると・・

 

 

2020年にまた東京オリンピックが来る。みなさん、それまで頑張りましょう。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/