今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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どこまで続くPEN-Wの巻

2016年08月24日 10時18分07秒 | ブログ

〽どこまで続くPEN-W三日二夜を食もなく雨降りしぶく鉄兜かぁ。PEN-Wが続きますねぇ。で、一見ハゲの少ない個体に見えますが、これ自然乾燥塗料によるリペイントです。全体的には稚拙ですが塗装は下手ではないと思います。

塗装面がポツポツしていますね。これは手汗による真鍮のピンホール腐食で、元のコンディションはかなり悪いと分かります。塗装前の下地研磨を当て板を使っていないため、角がダレ気味です。

 

見にくいですが、リベットは分離せずにそのまま塗装をされています。よって、リベットの側面には塗料が付着しています。

シャッターは、ゆっくりと作動する状態。ファインダーの曇りは激しいです。塗装に就いては見ないことにしてオーバーホールのみ実施します。

では始めます。人様の手が入った個体はいろいろありそうで、永くなりそうな予感がします。まず、塗装のために駒数ガラスを分離したのか、自然に剥がれたものか知りませんが、再接着が不完全ですでに剥がれています。どなたでも作業は出来るのですが、「完全な作業」をすることは意外に大変なんです。

裏蓋は塗装時に圧板も分離せず、マスキングもしないので、塗料が回っています。

 

ファインダーの分解。カバーを接着している古い接着剤は完全に取り去っておきます。これをやらない方が多いです。前面保護ガラスを分離せずに塗装をしたため、塗料が回っています。お手軽作業はダメです。

 

シャッターは、前回と同じ39-9(1964-9月製造)です。白いネジロックを溶かさずにネジを緩めようとすると、このようにスリ割りを壊します。シャッター羽根はドロドロでゆっくり動く状態。本来は油が回るはずがないのです。

あぁ、これも水油が点されていますね。これではシャッター羽根に油が回ってしまいます。羽根も先端が折れ曲がっています。

 

分離して見ると・・こりゃダメだ。

 

 

すべて洗浄して組み立てました。接着が終わったファインダーをカバーに取り付けます。接眼部の防塵カバーが取り去られたまま。追加しておきます。

 

例の調整ワッシャーも取り去られています。追加しておきます。駒数ガラスはお約束のクラック入りですが、交換のご希望がありませんので、清掃のうえ再使用としました。

 

駒数部分のキー付きワッシャーが欠落して組まれていました。これが無いと、正確に針が動きません。(動くことは動きます)只のワッシャーではありません。

 

レンズも過去に分解を受けていますが、悪くはないですね。

 

 

後玉も多少の曇りはありますが、良い方です。清掃をして組みます。

 

 

ヘリコイドグリスを塗布して組立、ピント調整をして完成。ところで、このmarumiのフィルターですが、個体差があるのかも知れませんが、ねじ込むと、レンズホルダー(黒い部分)と接触をして絞りが回転しなくなります。フィルターのネジ部を0.2mm程度削ってやれば問題は無いです。

ということで、自然乾燥塗料は工業製品には全く不適で、溶剤やアルコールでさえ塗膜を侵してしまうので、作業は非常に困難になります。出来るだけメーカー品質に近づける組立作業。これが難しくて日々努力をしています。

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